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FE 20-70mm F4 Gを手にして変わったズームレンズへの思い

フォトグラファー wacamera 氏

α Universe editorial team
α7 IV,FE 20-70mm F4 G 70mm,F4,1/2000秒,ISO100

旅をする上でのカメラマンの悩みといえば機材の重さだろう。私自身、海外へ行く際に悩むのは、着る服の枚数より持っていくレンズのことだ。このレンズはまずその悩みを大幅に軽減してくれると感じる。なぜなら、これ一本で20mmから70mmをカバーしてくれるからだ。カバンに忍ばせておいても500mlのペットボトルより軽い。そのメリットは些細なことに見えるかもしれないが、非常に大きなことである。実際、1〜2時間このレンズだけで雪の中を撮影したが、肩への負担もなく子供のように走り回ることができた。また、この写真のように被写体と少し距離のあるシーンでも70mmを使えば背景のぼけは十分得られ、ポートレート撮影においても有効だ。肌の質感、髪の毛の描写も文句なしである。

α7 IV,FE 20-70mm F4 G 20mm,F4.5,1/640秒,ISO100

私は普段から35mmを愛用しているが、時々「もう少し広かったらな…」と思うことがある。まさにこのシーンではそれを感じた。太平洋側に住む者としてなかなか見ることができない、浜辺に雪が積もっている特別な場所を効果的に残したいと思い、20mmで撮影した。波で削られた雪と、押し寄せるたびに同じ表情は見せない波に挟まれる人物。景色の中に人物を入れることで、この場所がどれだけ広く大きいかを表現した。人物には歩き続けてもらっているが、もちろんオートフォーカスは正確で即座に捉えてくれる。20mmで撮影した後、同じ位置で70mmでも撮影してみたが、やはりこの景色には20mmがマッチした。そうやって同じシーンで画角を変えて撮ることでシーンにあった焦点距離を学ぶことができるのも、このレンズのメリットと言える。

α7 IV,FE 20-70mm F4 G 70mm,F4,1/8000秒,ISO100

鳥取砂丘に雪が積もるかもしれない、と聞いて撮影に出向いた。生まれて初めての砂丘ならぬ雪丘は、20mmという人の目を超えた画角でおさめるのにぴったりの場所だった。よく見ると、画像の中心にソリを持った親子の姿が見える。そしてその人物の上部には、馬の背から転げ落ちている無数の雪玉が見える。その一つ一つがはっきりとわかるぐらい細かく描写していることに驚きを隠せない。またこの写真は、一見空が真っ暗なモノクロ写真に見えるが、実はカラー写真である。たまたまこの先に見える空は猛吹雪で暗く、砂丘にだけ横から太陽の光が注ぐという神秘的なシーンで、雪に落ちる影のグラデーションの階調や空と雪の境界線も、広角で撮影することで画面全体がシャープにキレのある写真に仕上がった。

α7 IV,FE 20-70mm F4 G 20mm,F4,1/2000秒,ISO100

雪原を走りながら撮影した。20mmという、標準ズームレンズでは味わえない広角のダイナミックさが心地よい。この場所においては私自身も歩いて動いているが、α7 IVのボディと相まってとにかく軽いことが撮影中にも感じられた。機動性、とよく言うが、間違いなく軽さは正義である。重いというだけで使わなくなるレンズが増えてくるからだ。特に、動きに制限が出るこのような場所では、500gを切るこのレンズに多く助けられたのは言うまでもない。小さく軽いにも関わらず20mmから70mmまでカバーできるFE 20-70mm F4 G、カメラマンにとってはまさに聖剣のような存在になるだろう。

α7 IV,FE 20-70mm F4 G 70mm,F4,1/2000秒,ISO100

ズームレンズと聞くと、ぼけ感は一体どうなのか?と思う方も多いだろう。私自身もその1人だが、このレンズを使って驚いたのは、テレ側で撮影すると驚くほど滑らかにぼけを表現できることだ。また、70mmで最短撮影距離は25cmというから驚きだ。この写真のように背景は優しく、そしてピントが合う範囲ではキリッとシャープに、袖についた雪や水滴までもきっちりと描写してくれている。またこのように、モデルさんもカメラマンも雪の中に入り身動きが取りにくい撮影において焦点距離を変えたい場合、単焦点レンズではカメラマンが動くしかないが、ズームレンズを使えば時間と手間をかけることなく撮影が可能になると感じた。

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