写真家 佐々木豊 氏から見たα7R Vの魅力
写真家 佐々木豊 氏
ただ撮るのではなく、自分のエッセンスをどこかに入れること。 そう思って撮らなければ、写真に魂が生まれてこない。 そう語るのは航空機撮影を主に行う写真家 佐々木豊 氏。 今回の記事では、α7R Vの魅力について佐々木豊氏に聞いた。
佐々木豊/写真家 1966年京都府生まれ。これまでモータースポーツや様々なスポーツ競技を撮影。雑誌などに作品を発表。その経験を活かし、現在は航空機撮影を主に行う。どんなシーンでも自分独自の視点とエッセンスをちりばめることに主眼を置いて撮影に挑む。伊丹空港を中心に全国各地の空港で活動。日本航空写真家協会(JAAP)準会員。ソニープロサポート会員。 https://www.instagram.com/yutaka747/
――αを使うようになった理由を教えてください デジタルカメラの心臓部であるイメージセンサーが秀逸だと感じたことが一番の要因です。 高精細感、ダイナミックレンジ、色彩再現性、全てにおいて私のイメージするものに合っていました。そして、高性能な純正レンズが豊富にあることも大きな理由です。イメージセンサーの良さを余すことなく伝える描写性能に加え、レンズの剛性も高く信頼性も高かった。AFや手ブレ補正の性能も素晴らしく、ボディ・レンズ共に期待に応えてくれたことが、αを使うようになった大きな理由です。
―――プロフェッショナルとして大事にしているポリシーを教えてください。 仕事で写真を撮るにしても、ただ撮るのではなく自分のエッセンスをどこかに入れること。そう思って撮らなければ、写真に魂が生まれてこないと思っています。 そして、それは見る人にも伝わると思っています。
―――佐々木さんが思う、航空機撮影の醍醐味を教えてください 一般的に皆さんが思い浮かべる飛行機像があると思うのですが、そのイメージを写真を通じて飛び越えて行きたい。飛行機でこんな写真表現があるんだ、写真で飛行機を表現するとこういうこういうものになるんだと感じていただき、なおかつ、それが「美しい」とか「かっこいい」という印象を持っていただけるものにしたい。そして何より自分が納得いく「絵」に仕上げたい。飛行機はいわゆる輸送の手段でもあります。毎日飛んでいる中でいかにその瞬間を見つけ出し、切り撮るかが一番の醍醐味であり面白さですね。
―――作品を撮るにあたり、機材に求める機能、性能は何ですか? 飛行機の機体は金属やメカ部分が多く、特に細かい部分の描写性能が問われます。なので、カメラには、より細かく、よりリアルな表現ができる性能を求めます。また色の再現性も重要です。朝日や夕陽、真っ青な青空にある美しい機体を、どれだけイメージ通りに再現できるかが重要です。また動いているものを撮影するので、当然ですがAF性能も重要です。夜に撮影することも多いので、暗所でのAF性能も重要です。 私が使用しているα7Rシリーズは、とにかく高精細で細かい部分の描写が特に優れている。飛行機の金属感や、メカの細かい部分までリアルに描写してくれます。また、今回のα7R VはAIプロセッシングユニット搭載によるAF性能の進化が素晴らしい。リアルタイム認識AFで飛行機をカメラが認識し精度高く追いかけてくれて、ピントはほぼ100%カメラ任せでOK。しかもフォーカスエリアも気にすることなく撮影ができました。 ほかにも、私はα1も多く使用しています。α1の一番の魅力は、電子シャッター撮影時のブラックアウトフリーで、動いている物は非常に撮影しやすくチャンスを逃さないです。画素数も有効約5010万画素と十分な画素数を有していますので、今はどちらかと言うとα1をメインで使用しています。 α7R Vとの使い分けは、どちらかと言うと動きの少ない場合にα7R Vを使用し、動きの大きな場合はα1を使用するという感じです。
―――今回の新商品α7R Vに関して、最初に知った際はどのように感じられましたでしょうか。 α7R IVを使っていて画素数に関しては約6100万画素のままでしたので、解像度に関する進化はそれほどないのかと思いましたが、映像エンジンが新しくなるのでその辺のアップデートは気になりましたね。またAIプロセッシングユニット搭載による被写体認識性能はどうなのかは特に気になりました。 こちらは夜の駐機場で撮影した写真ですが、この解像感はさすが有効約6100万画素と感心するリアリティーだと感じましたね。ワイパーの細かい部分の描写や、機体の質感表現はさすがと思わせる性能で、PCで等倍に拡大してまじまじと見てしまいました。
そして、それほどないのかなと感じた画質に関する進化ですが、実際に撮影をすると青空の表現が良くなったと感じました。青がそのまま青く表現できる。これは結構大事なことです。また、青から徐々に変わっていくグラデーションもきれいに表現できていると感じました。
気になっていた被写体の認識性能ですが、やはりこれは一番のアップデートであり「ついにここまで来たか」と思わせる性能でした。 2022年11月の発売後、α7R Vを手に取ってからは基本的に被写体の認識対象を『飛行機』にしてすべて撮影してきましたが、ほぼピントを外すことなく、AF追従性能も非常に高く撮影できました。とにかく飛行機のピントを追わせることも、カメラ任せにできる(今まではフォーカスエリアを飛行機に合わせないといけなかった)ところが画期的でしたね。
私の場合、そんなに連写性能が必要な場面って無いのですが、それでも2カ月強撮ってきて、連写性能に不満を持つことはありませんでした。月を貫く写真でも10コマ/秒あれば十分ベストカットを選ぶこともできます。(ちなみに月の写真は連写しています) 連写性能は高ければ高いほど良いですが、有効約6100万画素でこれだけ撮れれば十分でしょう。と、言ってしまったら進歩が止まってしまいますので、もっと連写性能は欲しいと言っておきましょう。
α7R Vは、高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正8.0段ということで、手持ち撮影も試しました。正直驚きました。レンズ内手ブレ補正のないレンズで、本体のみでの補正性能を試しましたが、今まで手持ちでは撮影できなかったシャッター速度での撮影が可能になり、より撮影の幅が広がったと感じています。三脚が使用できない、三脚を立てると手間がかかる等、即座に撮影したいときに三脚でしか撮影できなかったシャッター速度で手持ち撮影ができる。これは機動性と言う意味でもアドバンテージがあります。
―――作品作りにおいて、APS-C/Super35mmモードでの撮影や、撮影後のトリミングは実施されますでしょうか? 私はトリミングを前提に撮影することは基本的に無いのですが、後からトリミングしたほうが良い写真は出てきます。そういう時にこれだけの高画素であれば、トリミング後でも十分な画素数が維持できる。トリミングした写真も、十分大伸ばしにも耐えられる画質を維持してくれます。有効画素数6100万という高画素だからこそトリミングしても十分な画素数をキープし、迫力ある作品にできた。
―――今回α7R Vで動画の撮影もされていましたが、いかがでしたでしょうか? 普段あまり動画の撮影はしないのですが、今回α7R Vでチャレンジしてみました。 基本的にある程度 動画の設定をした後、RECボタンを押してほぼ全てカメラ任せで撮影しました。私がした事と言えば三脚でパンをしただけで、かなり質の高い映像が録れました。今後はスロー動画や様々なシーンを組み合させた動画など、いろいろ録っていきたいと思いました。
―――ファインダーやモニターについてはいかがでしたか? まずファインダーですが、高精細になってより画像の認識がしやすくなっていました。また約944万ドットあるので、撮影後の画像確認が見やすくカメラ内でセレクトがしやすいですね。なので、撮影の合間にファインダーをのぞきながらセレクトをすることが多いです。そうすることで、あとでのセレクト作業も楽になりました。 マルチアングル液晶モニターは、正直なところ飛行機撮影には使用しないかと思っていましたが、カメラを地べたに置いて撮影したいシーンが出てきて、その時に重宝しました。
―――α7R Vのスタミナ性能についてはいかがでしたでしょうか。 私は縦位置グリップを使い2個のバッテリーを常に入れているので、丸一日ハードに撮影しても問題ないです。2個を常に満充電で使用しますが、だいたい1個あれば1日の撮影はカバーできる感じで、北海道の極寒地での撮影でも、特に問題になることはありませんでした。
―――α7R Vと併せて使用したいソニー純正のレンズやアクセサリーがあれば教えてください。 新しく出たFE 50mm F1.4 GMは使ってみたいですね。FE 50mm F1.2 GMは使っているのですが、それをも凌駕する解像性能と聞いているので、ぜひこの高画素機で撮影してみたいです。
―――最後にαを使い続ける理由を教えてください。 αに共通している点で、どのモデルもサイズ感が同じで機種を持ち替えて撮影しても使いやすい点です。 持った感じが違うと感覚が変わって持ち替えて撮影する場合は、違和感があるんですよね。 そういう意味で、ソニーのαはそういうことが無い。 高画素機でありながらも、それを感じさせない使い勝手の良さや操作感も素晴らしい。 α1とシーンによって持ち替えて撮影することがありますが、同じ感覚で撮影ができます。 また、レンズ交換時シャッターが閉まる機構を採用していますので、ゴミの付着が非常に少なくなったのと、万が一、ゴミが付いたとしても強力なクリーニング機能で、センサーにゴミが写りこむ写真が激減しましたね。 新しい機種が出るたびに、その進化が写真にも大きな影響を与えてくれています。 良いカメラを持つと良い写真が撮れるイメージが湧いてきます。技術の進歩に終わりはないと思っています。その進歩に我々撮影者も、もっと良い写真が撮れるように進歩していきたいと思います。
―――ありがとうございました。
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