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FE 50mm F1.4 GMはいつでも持ち出したくなる G Master
写真家 福田健太郎 氏
福田 健太郎/写真家 1973年、埼玉県川口市生まれ。幼少期から自然、風景、その土地に暮らす人々に憧れ、18歳のとき写真家を志す。写真家 竹内敏信の助手を経て、1997年より活動を開始。日本を主なフィールドに、生命に溢れる万物の姿を追い求め続けている。写真集に「泉の森」、「春恋し〜桜巡る旅」など。 公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS) 公益社団法人 日本写真協会会員(PSJ) https://www.youtube.com/c/KentaroFukuda https://www.instagram.com/kentarofukuda508
ーー新しい FE 50mm F1.4 GMは、これまでと比べて変化はありましたか?
ソニー純正、Eマウントの大口径標準単焦点レンズは全部使ったことがあり、FE 50mm F1.4 GMはいったいどんなレンズなのか、とても楽しみにしていました。じっくり長い時間、撮影を共にしまして、これまでのレンズとは違う印象を受けました。 いきなり余談になりますが、人生で初めて買ったレンズが50mm F1.4の単焦点なんです。30年ほど前になりますが、写真を趣味としていなく、自分のカメラがないのに写真家になるって覚悟を決めて。(笑)それで、新宿のカメラ屋さんにひとり出掛け、写真の基本を学ぶのによいレンズを聞いて買ったのです。 手に入れたレンズで、街や人物のスナップ、自然や風景など、心に触れたものをなんでも撮りました。写り方の変化やカメラの基本を徹底的に体で覚えて行ったのです。古い昔の学び方ですかね、18〜19歳の頃です。
ーー異国情緒漂う街の写真もありますが、スナップ撮影はいかがだったでしょう?
FE 50mm F1.4 GMを受け取り、α7R Vに装着した姿を眺めていると、旅をしたい気持ちが自然と湧いてきました。それで、どこへ行こうか調べていたら、3年ぶりに長崎ランタンフェスティバルが開催されることを知りました。長崎市内は修学旅行で一度訪れたことはありますが、記憶が曖昧になっていて、2023年の出合いを写真に残すのも、素敵な巡り合わせかなと思ったのです。 ランタンが灯された夜の街は美しく、龍踊りの竿を持つ人の真剣な眼差し、観光で訪れた人々の楽しそうな表情が印象的でした。FE 50mm F1.4 GMは明るいレンズなので、夜の撮影でもISO感度を極端に上げなくても速いシャッタースピードが得られ、軽快な手持ち撮影が行えました。
ーーこれまで多くのG Masterをご使用いただいてきた福田さんにとって、今回、FE 50mm F1.4 GMの描写性能はいかがでしたか?
大口径の単焦点レンズですから、ぼけの描写はどうなのだろうって、多くの人は気になるところだと思います。私もそのひとりなわけですが、ピントが合った部分は絞り開放から実にシャープで、11枚羽根の円形絞りもあって、前ぼけ・後ぼけ、どちらも美しく滑らかに移行します。そして、2枚の超高度非球面XAレンズによるところが大きいのでしょう。年輪ぼけ・玉ねぎぼけなどと言われる「輪線ぼけ」の出現は私の撮影では確認できず、発生は抑制されているようです。 それから、画面内に眩しい太陽の光を直接入れた場合、角度によってはゴーストが現れるものの激しくはありません。ナノARコーティングIIの採用で逆光時でもコントラストは良好で、クリアな気持ちよい描写を提供してくれます。緻密な風景のディテールを克明に描き出し、繊細な質感や立体感、そこに漂う空気感さえも届けてくれる描写はすこぶる気持ちよいです。
ーーFE 50mm F1.4 GMは小型・軽量設計になっていますが、手に取ってみていかがでしたでしょうか?
コンパクトなサイズにまとまっているのは嬉しいですね。高い描写性能を誇りながら約516gと軽量で、レンズ外寸の最大径は80.6mm、長さは96mm。坂の多い街を1日中歩いて撮影を繰り返しましたが苦になりませんでした。今回はα7R Vとの組み合わせがほとんどで、左手をすっと下から支えるようにすると、親指と人差し指は自然とフォーカスリングに触れます。カメラとレンズのバランスがよいので構えやすく、とても軽く感じました。
ーー福田さんはズームレンズを普段使うことが多いかと思いますが、単焦点レンズが生きる場面を教えてください。
そうですね、絞りF1.4はF2.8よりも2段明るく、F4より3段も明るい。大きなぼけを生み出しやすいことのほかに、夕暮れの美しい空や月明かりに照らされた地上風景、星空、ホタルの撮影など、暗いシーンで活躍します。より速いシャッタースピードでの撮影ができたり、ノイズを抑えてキレイに仕上げることができます。厳しい状況下ほど威力を発揮し、明るい単焦点レンズは撮影領域と表現の幅を確実に広げてくれます。
ーー動画撮影はいかがでしたか?
焦点距離50mmは標準レンズと言われるように、人間の視角に近く、自然な遠近感を持つ描写ですので、動画撮影でも大いに活躍すると思います。 AFは高速で正確、静粛に追随しますし、今回私が使用したα7R Vとの組み合わせでは、「アクティブモード」*1で強力な手ブレ補正効果が得られますし、フォーカシング中の画角変化を補正する「ブリージング補正機能」*2にも対応していますから、より安定した映像を撮ることができました。 フィルター径が67mmを採用しているのもいいですね。FE 24mm F1.4 GM、FE 35mm F1.4 GMは、フィルター径が同じだけではなく、レンズのサイズ感や重さも近いです。ジンバル使用時にレンズ交換する際、バランス調整の手間をだいぶ省くことができるので、この明るい単焦点3本をセットに撮影を進めるのは非常に合理的です。動画撮影では明るさ調節のためにNDフィルターを用いることが多くなり、かさばるフィルターを共有できることも大きなメリットです。
ーーこのレンズについての総評をお願いします。また、αユーザーに向けてアドバイスがあればお願いします。
携行性に優れ、高い描写力とAF性能を併せ持つ、バランスのよさから総合評価の高いレンズというのが私の感じた印象です。日常的に使いやすい焦点距離なので扱いやすく、G Masterの魅力や交換レンズの楽しさを存分に味わうことができます。 焦点距離を可変できるズームレンズの便利さはないので、まずは自分で動いて、「距離と角度」を探ってみてください。必ず写りに変化が生まれ、大口径単焦点レンズならではの、大きなぼけと浮遊感のある描写をぜひ楽しんで欲しいです。
*1 アクティブモードでは撮影画角が少し狭くなります。 *2 動画撮影時のみ有効。本機能を用いると、画角と画質がわずかに変化します。また補正しきれない場合があります
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