α Universe editorial team
伊豆急行線 河津駅付近
α7R Xで撮影した河津桜。繊細な屏風絵のようで、肉眼で見ているよりも鮮やかでいきいきと表現できた。長年求めていた手応えを感じた1枚だ
ピンクの桜で埋め尽くす
春満開! 伊豆急行の河津桜
今回の舞台は伊豆急行線の河津駅付近。駅の近くを流れる河津川沿いには、地名に由来した品種である河津桜が約850本も植えられている。河津桜はソメイヨシノなどの一般的な桜よりも1カ月以上も早い、2月中旬ごろに満開を迎える桜として知られている。伊豆急行といえば、海と絡めた絶景が狙い目だが、今回は思い切って河津桜だけに絞って撮影した。どうせなら、誌面いっぱい、桜で埋め尽くそう。
30年以上前に初めて訪ねて以来、この場所で河津桜と列車を数え切れないほど撮影してきたが、どこか物足りなさを感じていた。毎回きれいな写真は撮れるのだが、自分の目で見た花の美しさが表現できていない気がしていた。しかし、今回α1とα7R Xで撮影した写真を見たとき、初めて肉眼を超える美しさを表現できたという手応えを感じられた。
幾重にも枝を伸ばし1カ所に複数の花が咲く桜は、光が当たると複雑な明暗差が生じる。人間の目は実に都合よくできていて、明暗差があってもうまく補間して花の色の美しさだけを認識することができるが、写真ではそう簡単にはいかない。1本の木に内包している複雑な明暗差を違和感なく描写できなければ、花の色が浅くなったり、濁ったように見えてしまう。その点α1とα7R Xは、花の鮮やかな色彩を表現できるだけでなく、広いダイナミックレンジを生かして大きな明暗差も違和感なく補間し、肉眼で見たとき以上の感動を写すことができるのだ。αで捉えた誌面に咲き乱れる河津桜の美しさを、ぜひ堪能してほしい。
<PHOTO TECHNIQUE>
列車をぼかし過ぎると存在感も弱くなる
花にピントを合わせて列車をぼかす手法は、中井流の鉄道写真では定番の撮り方。花の描写に気がいってしまい、背景を大きくぼかしがちだが、あくまでも主役は列車だ。列車の存在感が失われない程度のボケにとどめるF値選びが重要だ。開放絞りで撮影した右カットは、桜が浮かび上がるようで魅力的だが、列車の存在感は皆無だ。花と列車の距離によってもぼけ方は大きく変わるので、テストしながら理想的なボケになるF値を割り出そう。
伊豆急行線 河津駅付近
α1にFE 16-35mm F2.8 GMを装着した三脚の脚を伸ばしてハイポジションで撮影。手前の花にピントを合わせ、列車の存在感が失われないようにF22まで絞って撮影した
伊豆急行線 河津駅付近
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSの約400mmで桜を圧縮して撮影。伊豆急行の最新鋭特急サフィール踊り子号のシャープなフォルムが、鮮やかな桜の先に浮かび上がった
伊豆急行線 河津駅付近
FE 14mm F1.8 GMで夕日に赤く染まる桜を伸びやかに表現。列車の輝きをしっかりと出しつつ、桜の色も濁ることなく描写できている
伊豆急行線 河津駅付近
風景全体が春の到来を全力で喜んでいるような華やかな写真。ピンクと黄色と青が織りなす、自然の色彩のコラボレーションに酔いしれて撮影した
伊豆急行線 河津駅付近
夜の流し撮り。明るく写っているが、肉眼ではかなり暗い。ISOを12800まで上げたが、超高感度とは思えない画質で、臨場感のあるカットになった
<ADVENTURE EPISODE>
リモートコントロールでハイポジション撮影
上の作品は、伸ばした三脚にカメラを付けて、ハイポジションで撮影。Imaging Edge Mobileを使えば、スマホで構図の確認や露出などの設定をしながら、リモート撮影を楽しむことができる
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