映像クリエイター×フォトグラファー クロストーク
Ayane × wacamera
撮影をアシストし、旅の記録を印象的に残す
「ZV-E1」
動画やデジタルアート制作を得意とし、アクティビティ好きが高じて最近α7 IVのハウジングを購入したというAyaneさんと、一児の母ながら国内外を問わず観光関連の仕事をこなすフォトグラファーwacameraさんの対談をお届け。 映像とスチール、それぞれのプロフェッショナルが、動画作品で独自の視点や価値観を表現。 手にしたカメラはVLOGCAM初となるフルサイズカメラ「VLOGCAM ZV-E1」(以下、ZV-E1)。 多彩な機能を駆使して創り上げた映像作品を披露し、互いに自身の世界観を語り合います。 今回は動画制作の流れや撮影時に意識していること、ZV-E1の機能が活躍したシーンなどを語っていただきました。
Ayane / デジタルアートクリエイター ウユニ塩湖に行くためにカメラを買ったことがきっかけで写真にハマり、子どもの頃からの夢だった研究職を2年で捨て、オーストラリアでフリーランスフォトグラファーとなる。帰国後もクライアントワークを行う傍ら、各SNSで写真や映像についての発信も行い、総フォロワー数は100万以上。2022年には会社を設立し、写真・映像やPhotoshopを使ったアート作品など幅広く手がけている。 https://www.tiktok.com/@aaayane7628 https://twitter.com/ikarh02 https://www.instagram.com/ayane7628/ https://www.youtube.com/channel/UCKwJ_GGwgL0p90K2a7m3uIw
Ayane氏動画作品
動画の内容テキストはこちらwacamera / フォトグラファー 営業として広告業界で7年勤務後、フリーランス商業カメラマンとなって13年目。ウエディング撮影から家族撮影を経て、現在は関西地域で外国人観光客の撮影を主に、国内外問わずあらゆるジャンルで観光局やホテルのプロモーション撮影や自身の作品撮りを行う。得意とするのは色鮮やかな人物と景色が融合したスナップ。一児の母でもある。 https://twitter.com/wacamera https://www.instagram.com/wacamera/
wacamera氏動画作品
動画の内容テキストはこちらVlogはラフに観光しながら気軽に撮る。
楽しむことで楽しさが伝わる作品に
――お二人は以前から面識があるのでしょうか? Ayaneさん(以下敬称略):カメラと写真映像のイベント「CP+」ではお互いにソニーさんのブースでセミナーをしていましたので、その時にお会いしましたよね。 wacameraさん(以下敬称略):そうですね。少しお話させていただきましたが、こうしてしっかりお話するのは初めてです。Ayaneさんの作品はいろいろ見ているので、今日はとても楽しみにしていました。 Ayane:「ZV-E1」で撮影したwacameraさんの作品も拝見させていただきました。今回はオーストラリアとニュージーランドを訪れた家族旅行がテーマになっていますよね。私はワーキングホリデーでオーストラリアのケアンズにいた時にフォトグラファーになったので、率直に懐かしいな、と思いました。 wacamera:旅の最後はケアンズだったんですよ。 Ayane:シドニーにも4日間ぐらい旅行撮影に行ったことがあるので、「この場所知ってる!」というシーンがたくさん出てきましたよ。きれいなぼけ感もありつつ、スローモーションでちょっと懐かしさを感じるような素敵な映像だったので、また行きたくなってしまいました。
Ayane:wacameraさんはよく動画作品を撮られているんですか? wacamera:「写真の方が好き」という気持ちがまだあって、どうしても動画に振り切れないというのが正直なところです。旅行に行って友人と撮った動画はたくさんありますが、作品として残せるようなものはほとんどなくて……。Ayaneさんの作品は見ていていつもワクワクするので「素敵だな〜」と思っているのですが、普段はどんな風に作品の構成やストーリーを考えているのですか? Ayane:仕事の時は当然クライアントの要望に沿って、しっかり構成を考えてから撮影に臨みますが、Vlog系はその場のノリでラフな感じで撮ることが多いです。今回、ZV-E1で撮影した作品も、友人と山口県と北九州に観光に行きながら、「ここだったらこういうのを撮ると面白いかも」という感じで撮っていきました。「作品を撮る」という意識で行くと頭が作品のことでいっぱいになって観光を楽しめなくなってしまうので、今回はあまり難しいことを考えず、友人とラフに観光しながら気軽に撮る、という感じの構成にしています。
wacamera:AyaneさんのVlog作品は、本当にいつもハッピーになるというか、Ayaneさん自身が楽しんでいらっしゃるのがよくわかる作り方だな、と思っていました。今回の動画も
Ayaneさんが楽しそうにモデルさんを追いかけている姿が映っていて、構成も素晴らしいなと感心しきりです。
卓越したAF性能と頼りになる手ブレ補正で
きれいな映像を楽に撮影できる
――ZV-E1で撮影してみての印象や感想を聞かせてください。 Ayane:このコンパクトさでフルサイズ、というのが一番の驚きでした。それでも「VLOGCAMシリーズだからフルサイズになったくらいだろう」と甘く見積もっていたのですが、マイクの性能も驚くほど良くなっていましたし、「これから動画を始めたいけれど撮り方がよくわからない」という人たちでもいい感じの動画を撮れるようサポートしてくれる機能もたくさんあったので、動画初心者にはとても使いやすいカメラだと感じました。 wacamera:私の第一印象は、とにかく小さくて軽い、ということ。フルサイズだと聞いていたので「こんなに小型軽量で大丈夫なのかな」と思いながらも、とにかく撮ってみようと撮影に挑みました。実際に撮ってみるとぼけ味が本当にきれい。フルサイズになったことで今までαで使っていたお気に入りのレンズの性能をフルに生かせるのもいいですね。
Ayane:ぼけがあるだけで映像としてのクオリティが一段上がるので、この小ささでフルサイズのぼけ感が出せるのはとても助かります。あとはAF性能。今回の作品は花を入れてモデルさん撮影をするシーンが多かったので、前ぼけの花にピントが持っていかれるかと思ったのですが、トラッキングしておけばモデルさんからピントが外れることがなかったのでとても楽でした。
wacamera:AF性能はかなりいいですよね。私の作品の最後のほうにたくさんの鳥が一気に羽ばたくシーンがありますが、これが撮れたのはこのカメラの優れたAF性能のおかげです。
実際は鳥の動きがとても速くて、肉眼で見たら黒い塊が一瞬で過ぎ去ったような感じだったんです。だから追いかけてはみたものの、撮れている自信はまったくありませんでした。でも動画を読み込んで見てみたら、思った以上にカッコよく撮れていてビックリ。偶然ですが、ピントが合っている鳥はシャープに、手前の鳥はきれいにぼけていてAF性能のすごさを実感しました。実はこのシーンは私の一番のお気に入り。本当は何十秒か使いたかったのですがダークな色合いであまりハッピーな気持ちにならないと思い、やりすぎないように少しだけにしておきました(笑)。
Ayane:私がビックリしたのはフレーミング補正です。ジタバタと走りながらモデルさんを撮影するシーンでは、フレーミング補正を使用。被写体を追尾して的確にクロップしてくれるだけでなく、大幅に手ブレを軽減できたので、走りながらでも楽に撮ることができました。
wacamera:ダイナミックアクティブモードは私もフル稼働でした。今回の作品はすべて手持ちで撮影したので、全編でこのモードを使っています。とくに人物を横から撮るシーンは自分も歩きながら撮るので大活躍。ガタつきがなくスムーズな映像に仕上げることができました。
素人でも満足度の高いカッコいい映像が撮れて
色味も変えられる「シネマティックVlog設定」
――ZV-E1には新機能として「シネマティックVlog設定」が搭載されていますが、今回の撮影では使いましたか? wacamera:私は全編「シネマティックVlog設定」で撮っています。常にシネマスコープ状態になりますし、「シネマティックVlog設定」にするだけでカッコいいというか、私みたいな超素人でも満足感の高い映像が撮れる、という印象です。私は写真でも青寄りの色味が多いので、Look(ルック)は「S-Cinetone」、Mood(ムード)は大半が「OCEAN」(オーシャン)で、イルミネーションのシーンだけは「GOLD」(ゴールド)に変えて撮影しました。
設定を変えるだけでこんなにおしゃれな色合いに仕上げてくれるなら、今の私にとっては十分満足です。 Ayane:私はS-Log3で撮影してカラーグレーディングしていますが、 「シネマティックVlog設定」にするとシネスコになるのは便利ですよね。上下に黒帯がある状態で撮影できるので、後から帯を入れたことで大事なところが隠れてしまう、という失敗がありませんから。いろいろなシーンで試してみましたが、自分の中で一番しっくりきたムードは「GOLD」(ゴールド)です。 私は写真でも動画でもオレンジにこだわりがあって、オレンジと緑の間のような昔の映画っぽい色みをよく使います。ルックを「S-Cinetone」、ムードを「GOLD」(ゴールド)に設定すればいつもの私の作品に近い、温かみのある映像になるのかな、と思っています。
wacamera:ZV-E1には「シネマティックVlog設定」だけでなく、従来のクリエイティブルックも搭載されていますよね。私はクリエイティブルックのFLがとても好きなので、シーンや気分によって自由に選ぶことができ、思い通りの作品がつくれるところもポイントだと思います。
撮影時にヒントを得て音楽をセレクト。
理想の曲を探すのが一番の難題
――動画作品をつくる時に意識していることや気を付けていることはありますか? wacamera:私は作品全体で緩急をつけるように心がけています。しっかり見せるところと抜くところをつくり、メリハリのある構成にすることで見る人が飽きないように気を付けているつもりです。例えばチョウチョや看板など、メインにはならないようなところも印象に残ったら撮っておいたり、今回は2か国に行ったのでわかりやすいアイコンとして国旗を撮影したり。そういったものを間に挟んで緩急をつけました。
Ayane:作品の中で緩急や抑揚をつけるのは、私も意識しています。今回の作品では映像だけではなく、音楽でも緩急をつけました。撮影している時に映像をテンポよく出していきたいな、と考えていたので、最初はゆったりしていて少しずつテンポが上がっていくような音楽を探して、音に合わせて動画をカットしていった感じですね。
Ayane:いつも撮影時の環境やそこで起こった出来事をヒントに音楽を選ぶことが多くて、音楽選びには一番時間をかけています。今回も音楽を探すだけで5〜6時間かかっているんですよ。 wacamera:そんなに時間をかけて選んでいるんですね! ほかにも撮影時に気を付けているポイントがあったら知りたいです。 Ayane:同じシーンでもバリエーションを撮っておくように心がけています。例えばモデルさんを撮影する時には全身、上半身、顔の寄り、手元を撮って、さらにモデルさんの視線の先、といった感じで同じ場所でもバリエーションを撮っておくと、編集の時に「似たような画角が続いてしまった」というミスがなくなるはずです。私の場合、同じシーンでも最低5カットくらいは寄り引きを撮るようにしています。
――wacameraさんはどのように音楽を選んだのですか? wacamera:今回は娘が登場するので、彼女のキャラクターや旅での雰囲気に合わせて音楽を選びました。娘はティーンエイジャーですがとてもクールで、旅の時間もどちらかというと落ち着いた感じで流れていったので、「楽しげ」というよりは「クール」なイメージの音楽をつけています。映像の色味も同様に、青みを強くしてクールな彼女のイメージに合わせました。
最初はムダなカットをたくさん撮ってしまうもの。
慣れて自分のクセが見えてくればムダを減らせる
――お互いの作品を観て、感想や質問などはありますか? wacamera:もう圧巻でした。Ayaneさんの作品は映像自体もすごくきれいで、構成も素晴らしくて先を見たくなります。「こういう風に繋げばいいのか」と観ていて勉強にもなりました。ちょっと気になったのですが、この2分程度の作品はどのくらいの期間で何カットくらい撮影したのですか? Ayane:丸1日の日帰りで、たぶん200カットくらい撮っています。そのうち使っているのは40カットくらいですね。 wacamera:そうなんですね。私、少なく撮って少なく選ぶ、ということができないんです。ムダにたくさん撮ってしまうんですよね。 Ayane:私も動画を始めたころは1000カットくらい撮って30カット程度に絞る、という感じでしたが、そうするとセレクト作業にすごく時間がかかって編集が億劫になってしまうんですよね。でも何カットも編集をしていると「だいたい、使うのはこのカットだな」と自分のクセというか好みがわかってくるので、極論は「慣れ」です。 wacamera:今はムダになってしまうカットもたくさんありますが、慣れるまで頑張ります! Ayane:wacameraさんの作品は海外の独特な雰囲気や街の人をとても素敵に撮っているな、と感じます。サラリーマンが歩いているシーンや、カフェのシーンは印象的に海外の日常を切り取っていて、フォトグラファーならではの画力を感じる作品ですね。
Ayane:私はモデルさんを撮っているので「この辺を歩いて」と指示出しができますが、日常の生活風景を切り取るとなると「ありのまま」を撮らなければなりませんよね。それが私は結構苦手で。思い通りに動いてもらってつくり上げたものではなく、ありのままの空気感をきれいに撮る技術を教えてほしいです。 wacamera:とくに何もなくて、「外国の人たち、カッコいい!」という気持ちで撮っただけなので……。今回の旅では1000カットくらい撮っているので、選りすぐりだからかもしれません。 Ayane:いえいえ、やはりそこは写真家ならではの力だと思いますよ!
初心者でも“いい感じ”の動画が撮れる機能が充実。
小型軽量なので長期旅行や2台持ちにもおすすめ
――wacameraさん、実際にα7 IVと併用してみていかがですか? レンズもバッテリーも共有できるので、荷物が減らせるのは利点ですね。しかもZV-E1はフルサイズですから、自分の持っているレンズをそっくりそのまま使うことができる。単焦点F1.4のレンズのぼけ感もそのまま持っていける。そこも購入の決め手になりました。ですから写真をやっているαユーザーで動画機を検討されている方にもおすすめできると思います。
――ZV-E1はどんな人におすすめのカメラだと思いますか? wacamera:実は私、この旅から帰ってすぐにZV-E1を購入したんです。正直、旅が始まったころは、写真のメイン機と一緒にこの価格帯の動画機を持つなんて考えられず、まったく買う気がありませんでした。でも撮っていくうちに「スキルも何もない私でもこんなにうまく撮れるのか」と錯覚できることに感動してしまって。いよいよ発売となった時に「やっぱ買わないとダメじゃない?」と思ったわけです。 とにかく、少しでも動画制作をしたいと思っている人には非常に有効なカメラです。写真は粘って撮ってパッと編集したら終わりですが、動画は撮影も編集も段違いに大変で時間がかかります。たくさんのクリエイターが時間をかけているところを、設定ひとつで印象的な映像に仕上げてくれるカメラなので、編集がハードルになっている人にも最適な動画機だと思います。 Ayane:コンパクトなので、私のように頻繁に旅に出る人にすすめたいです。私はウェイクボードやスカイダイビングなどアクティブ系が好きなのですが、コンパクトなのでそういったシーンにも持って行けるし、荷物が増える長期旅行でもカメラ本体が小さく、単焦点レンズ1、2本なら小さな荷物で済みます。ですから長期旅行でいろいろな場所に行かれる人に適しているカメラだと思います。 wacamera:私にとっても小さかったことが大きなアドバンテージでした。体力的にも年齢的にも重いものが持てなくなっているので、長旅にメイン機のα7 IVと2台持ちになるのはかなり不安だったんです。それでも小さく軽かったから「今日は、動画はいいや」とホテルに置いていくことなく、頑張って撮り続けることができたのだと思います。
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