α7R Vで表現する飛行機の世界
写真家 佐々木豊 氏
2023年2月23日から26日まで開催されたCP+2023。ソニーブースで行われたスペシャルセミナーの内容をαUniverse記事用に再構成しました。αで撮影する飛行機と風景が創り出すドラマのようなシーン、そのこだわりと撮影方法について佐々木豊さんが語ります。
佐々木豊/写真家 1966年京都府生まれ。これまでモータースポーツや様々なスポーツ競技を撮影。雑誌などに作品を発表。その経験を活かし、現在は航空機撮影を主に行う。どんなシーンでも自分独自の視点とエッセンスをちりばめることに主眼を置いて撮影に挑む。伊丹空港を中心に全国各地の空港で活動。日本航空写真家協会(JAAP)準会員。ソニープロサポート会員。 https://www.instagram.com/yutaka747/
有効約6100万画素の高解像度だから表現できる世界
写真家の佐々木豊です。本日は、私が普段撮影している飛行機で、このα7R Vがどういう性能を発揮するかを写真に撮ってきましたので、見ていただこうと思います。
こちらは冬の朝に伊丹空港で撮影しました。この時間帯ってとても寒いんですが、飛行機の後ろに見えているのは、飛行機の表面が冷えてついた霜が、溶けて後ろに流れている状態です。それが朝日に反射して、こういう幻想的なシーンになっています。
次ですね。めちゃくちゃ迫力ありますよね。先程の写真の後のシーンになるんですけど、精細感が出て、すごい迫力だと思います。実はこれ、トリミングしているんです。元の写真はこれになります。
両端の翼も切れてしまい、ポジショニングもあまり良くなく、NGカットかなと思ったんですけどもトリミングしました。すると、先程の写真のようにすごく良い写真になったんです。元々有効約6100万画素の高解像度センサーを持っていますので、あれだけトリミングしても 有効約1750万画素キープできている。高画素数だからこそ実現できる性能かと思います。
これはビルの中を飛んでいく飛行機をα7R Vのリアルタイム認識AFが認識するのかなということで、池田市にある五月山の展望台から撮影しました。バックに見えているのが大阪市内のビル群。ちょうど着陸してくる飛行機を撮りました。このシーンはなかなか難しいんじゃないかと思ったんですけど、周りのビルに引っ張られることなく飛行機に対してピントを追ってくれました。
同じ日に撮影した離陸の写真です。この時も、レンズを飛行機に対して振るとピントを飛行機にずっと合わせてくれました。解像感も素晴らしく、飛行機のレジ番という小さい番号があるんですけれど、ちゃんとJA821Aと読める解像度があります。
これも伊丹空港ですね。日中はちょっと天気が悪かったんですけど、夕方にすごい西日が差してくれて。ターミナルと飛行機がキラキラと光った写真です。これも乗っているお客さんがマスクをしているとか、ビルの中の様子とかが克明に見えるんですね。このFE 400mm F2.8 GM OSSも素晴らしいんですけど、やはり有効約6100万画素の高解像度が素晴らしいなと実感した写真です。
リアルタイム認識AFが飛行機撮影の常識を変える
リアルタイム認識AFの話が先程から出てきていますけど、どんな風に飛行機を追うかというところですね。ファインダーの中をキャプチャーした動画を撮ってきましたので、ちょっとそれを見ていただきます。
これは新千歳空港に着陸する飛行機を撮影した動画です。実際のファインダーの中を録画していて、緑の枠がリアルタイム認識AFのAFエリアになります。私はこのAFエリアをワイドにし、飛行機モードで撮影しています。飛行機の顔を認識すれば、後ろの飛行機に引っ張られることもなく、ずっと追ってくれていますよね。これだけカメラ任せにAFができれば、本当に自由に構図を選んで撮影することができると思います。
今度は羽田空港第2ターミナルです。ここで問題になるのは照明灯です。照明灯の後ろを飛行機が横切りますが、それでも飛行機を追ってくれます。照明灯に引っ張られることなくピントは飛行機に合わせ続けてくれています。
写真に行きます。これは離陸のシーンなのですが、飛行機の離陸ポイントって全然わかないんですよね。こういう場合、どこに飛んで来るか全然見当もつかないんです。そこにリアルタイム認識AFです。飛行機が見えた瞬間、AFをオンにして勝手にぴっと飛行機に合わせてくれるんですよ。本当に便利になりました。この写真では私、完全にファインダーを見てないんです。4軸マルチアングル液晶モニターを使ってノーファインダーで撮りました。
実際の撮影風景がこんなになります。ファインダーは全く見てないです。オートフォーカスはもう完全にカメラに任せっきりして、私は飛行機が上がってきたらシャッターを連写しただけ。今までだったら絶対不可能だったこういう撮り方もできるんですよね。これもリアルタイム認識AFをもってして成功する写真になります。このAIプロセッシングユニットと、リアルタイム認識AFの飛行機モードは最強です。飛行機を撮られる方は是非、使っていただければと思います。
夜の撮影が変わる手ブレ補正と高感度
今度は手ブレ補正がどんな性能なのかをテストした写真です。これは新千歳空港のフードコートから撮影したんですけど、レンズ内手ブレ補正がないFE 50mm F1.2 GMで撮影しました。1/15で全然問題なく撮影できたので、次に1/8、さらに1/4で撮影。どれも1枚で撮影できました。普通1/4ってかなりブレる確率が高いと思うんですけどね。次に1/2。もう1/2ってほぼ止まらないですよね。さすがに1枚では無理でしたが、3枚ぐらいで止まりました。調子に乗って1秒でもやってみようと。そしたら1秒でも撮影できました。7、8枚撮りましたけど、撮れたんですよ。普通1秒だと全部ダメだと思います。この手ブレ補正もすごい精度持っているなと感じました。
今度は夜ですね。ほとんど日没後真っ暗だったんですけども、離陸機を撮影しました。一般的に、高解像度・高画素機は高感度に弱いんじゃないかと思われる方も多いと思うんですけど、これISO32000なんですよ。ISO32000ってかなりのノイズが出ると思うんですね。でもそれ程ノイズ感が出ず、しかも飛行機のディテールもはっきり写っています。高画素に対して素晴らしい高感度性能だと思いました。写真は以上になります。この後最後に動画を見ていただきます。
伊丹空港で千里川の方から撮影しました。エンジンの中が熱で赤くなる練炭が見えます。この練炭を狙いに千里川で撮られる方が多いんですけども、ちょっと動画で撮ってみました。あまり動画では見られた事がないと思います。私は赤いボタンを押して、あとはもうカメラを振るだけ。本当にオートフォーカスも完全にカメラ任せですが、迫力ある動画が撮影できたと思います。
いかがでしたでしょうか。カメラが目覚ましい進化を遂げていると思うんですよね。我々写真家も、その進化に負けないように色んな想像力を働かせて、いい写真をもっと撮っていきたいなと思っています。ソニーのα、素晴らしいカメラがたくさんあります。皆さんに合ったボディとレンズをチョイスいただいて、これからも素晴らしいフォトライフを送っていただきたいですね。
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