「カメラグランプリ2023」大賞を受賞!ソニー「α7R V」を3名の選考者が語り尽くす
AIプロセッシングユニットが開く、新しい撮影体験とは?
今年で40周年という節目を迎えた「カメラグランプリ」。今回の「カメラグランプリ2023」でみごと大賞を射止めたのは、ソニー「α7R V」だった。 カメラグランプリ各賞のうち「大賞」とは、毎年4月1日から3月31日にかけて発売されたスチルカメラの中から、最も優れたカメラを選出するもの。写真家をはじめとした選考委員の投票の結果、その年のいわば「ベストカメラ」が選ばれるわけだ。 この大賞を含むカメラグランプリ各賞は、写真家や編集者など選考委員の投票結果で決まる。 ということでデジカメ Watch編集部では、カメラグランプリ2023で「α7R V」に投票した3名の選考委員に集まっていただきその理由を聞くことにした。 参加いただいたのは、阿部秀之さん、熊切大輔さん、萩原れいこさん。「α7R Vのどこがすごいのか」「いまなぜα7R Vなのか」……それぞれの想いを熱く語ってもらった。
「カメラグランプリ」評価で注意していることは?
――まずみなさんにお聞きします。カメラグランプリ大賞の選考で配慮していることとは何でしょうか。 阿部秀之さん(以下、阿部):38年前に選考委員になったとき、先輩から「自分の好きなカメラを選ぶのではなく、一番重要なのは新機能がどうかということ。その新機能が、他のメーカーでも使えるものだったさらに良い」と教えられました。だから、今でも「その新機能で写真がどう変わるか」といったことを大事にしています。
熊切大輔さん(以下、熊切):『日本カメラ』で機材のレビューをさせていただいたとき、木村恵一先生からその仕事を引き継いだとき、先生に教えていただいたのが「提灯記事を書くな、手放しで褒めるな」ということ。それ以来ダメなものはダメというスタンスで見ています。でも、それを飛び抜けた魅力を持つカメラや、どうしてもその機能を使いたくなるようなカメラもあるので、それはそれで評価するようにしています。あとはバランスの良さも大切ですね。
萩原れいこさん(以下、萩原):他のメーカーさんに影響を与えるような先進性、新しさというものを大事に考えています。また先輩方から教えていただいた点としては、データのような数値ではわからない、現場で感じる使いやすさや作品を通じてわかる描写力・表現力などをくみ取って選考するようにと教えていただきました。それぞれのメーカーさんの取り組みからわかる、カメラに対するこだわりや使う楽しさについても考慮したいです。
――皆さんが考えるカメラグランプリの価値とは何でしょうか。 阿部:カメラグランプリ大賞を取ったカメラを買ったからといって、誰もが幸せになるかといえばそうではないと思います。例えば大きくて重いフラッグシップカメラを買ったからといって、誰もが幸せになるとは限らない。ただし現在最も進んだ性能を持っていて、その後、その性能が下位モデルに受け継がれて買いやすくなる流れを考えると、重要な賞ではないでしょうか。 熊切:トレンドみたいなもの、機能、スペックなど「ここがいままさにど真ん中にある」という道しるべになると思います。そこを基準に自分に合ったカメラとは何だろう? と考えるきっかけにはなりますね。いまいったいどういうものが求められているのか、それが現れるのがカメラグランプリなのかな。 萩原:カメラグランプリを取ったカメラというと、ユーザーからも意識されますよね。普段使っていないメーカーのカメラについてもどういうものなのか、考えるきっかけにもなります。進呈式に出席して、各メーカーがぶつかり合い、刺激し合っているのもわかりました。そうした話題が表に出て行く場というのが、カメラグランプリでもあるのかと思います。 熊切:基本的には開発者の話は前に出てこないじゃないですか。想いとか思想が見えてくる意味では、ああした場で話が聞けるのはすごく良いことですよね。
思い出に残るソニーの受賞機種
――これまでソニーは6機種がカメラグランプリ大賞に選ばれています。思い出に残る機種はありますか?
近年カメラグランプリ大賞を受賞したソニー製品
「α7R V」(2023)、「α1」(2021)、「α7R IV」(2020)、
「α9」(2018)、「α7R II」(2016)、「RX1」(2013)
阿部:僕は「α9」ですね。このときは「すごいのがでたなあ、これがあれば何でも撮れるのでは?」という感想。向かってくる被写体に対するAFの追従性能などが抜群だった。今のカメラはさらに良くなっているんだけど、当時の衝撃はすごかった。
熊切:やっぱり「α9」ですね。それまでソニーにはどうしても後発のイメージが少しありました。でも「α9」で他メーカのフラッグシップと同等、それ以上のカメラが出せることがわかった。ブラックアウトフリーとか見せられて、時代がここで変わったという印象でした。結局そのあとのソニーの躍進をみると、あそこがきっかけだったのだと思います。 阿部:あのときは「必ず撮れるからカメラマンではなくオペレーターになった気がする」と一部の人が言っていましたけど、必ず撮れるのはいいことですよ(笑)。 萩原:私は有効約6100万画素の「α7R IV」ですね。これだけの高画素がコンパクトなボディに詰まっているという驚きがありました。動画も強化され出した頃の機種で、「α7R V」につながるような、ハイブリッドな基本性能がにじみ出ているような気がしました。
「α7R V」の選考理由は?
――ではいよいよ本題です。「α7R V」を選考された理由をお聞きしましょう。 阿部:他メーカーのカメラを含めて、僕が今一番興味があるのが被写体認識です。「α7R V」はその良さがすごく現れています。特に「昆虫」の認識。昆虫は身近な存在ですが、撮るとなると難しいのです。チョウを撮るとすると、羽根にはピントが合うけど、オートのAFで虫の顔にピントに合うことはなかった。それがかなりの割合で虫の顔や足に合う、完全に認識しているなあと感動しました。 熊切:デジタルカメラは新しいものが最高の状態だと思うし、その中でも「α7R V」はいまのソニーのカメラとしてベストパフォーマンスを出していると思いました。連写性能や動画などバランス良くとれていながら解像感も高い。さらに高性能なのに使いやすいという魅力も評価しています。まったく新しい動きをする「4軸マルチアングル液晶モニター」やファインダーの品質など、使いやすさに関わる部分もしっかりしている。バランスの良いカメラだと実感しました。 萩原:何でも撮れる、何でもできるカメラという印象があります。高解像・高階調のα7Rシリーズには風景写真向けのイメージがありますが、「リアルタイム認識AF」で、ポートレートやスポーツなど何でも撮れる。なおかつ「AIプロセッシングユニット」が色再現を大きく進化させているので、撮ったときにこれまでとははっきりと違いを感じました。さらに8K動画も撮れます。いろんな人のニーズに応えてくれる点ですね。
阿部秀之さんの「α7R V」作品
――ここからは「α7R V」で撮影された作品を鑑賞していきましょう。まずは阿部さんの作品です。こちらは夜のシーンですね。
阿部:今回は「FE 50mm F1.2 GM」で作品を撮りました。毎日夕方に撮り歩いたのですが、ちょうど一番空が青くなる時間帯、あとは真っ暗になるという時間でしたね。この車は元々青色なのですけど、映り込みがきれいで暗闇の中で光っている感じでした。目で見たままに、階調も忠実に再現されています。 熊切:質感というか艶感がいいですね。
――手持ちで撮られたのですか? シャッター速度は1/10秒ですね。 阿部:もちろん。手ブレ補正を信頼しているので手持ち撮影ですね。「α7R V」の光学式5軸ボディ内手ブレ補正はすごいので、1/8秒くらいだったら平気です。暗い中でしたが、ピントも一瞬で合いました。普段見慣れた場所なのですが、カメラを持つことで見えてくるものがあります。その「見つけた!」という感覚をそのまま撮影できたのがうれしかったですね。
――次は、さきほどおっしゃっていた昆虫です。
阿部:昆虫の写真は小さな頭にピントを合わせなければいけない。チョウだったらこれまでAFで撮ると、ほとんど羽根にピントが合っていました。「α7R V」だとそれがかなりの割合で頭部に合う。すごいですよね。さらに高画素なので、トリミングで昆虫を拡大できる。「FE 24-70mm F2.8 GM II」の望遠端で撮ったのですが、ぼけもきれいです。
――AFポイントを合わせなくても自動的に合うのですよね? 阿部:もちろんです。後ろから見て羽を広げているような構図でも、ちゃんと頭にピントが合いました。カメラが自分で認識している、わかっていると思うと、かわいく感じてきますね(笑)
――こちらは小さく飛行機が写っていますね。
阿部:飛行機認識を使用しています。フォーカスエリアをワイドにして撮っているのですが、木の緑にピントが合っていたところ、飛行機が構図に入った瞬間、この小さく写っている飛行機を認識してピントを合わせ直してくれました。飛行機の音は大きいのだけど、どこにいるのかわからない。そんな飛行機が遠い状態でも見つけるからすごいです。
――瞳や顔以外の被写体認識についてソニーは遅れをとっていた印象があるのですが。 阿部:僕もそう思っていましたが、「α7R V」で巻き返した感じがしますね。
熊切大輔さんの「α7R V」作品
――では熊切さんの作品を見させていただきましょう。こちらは何とも面白いシチュエーションです……本当にこういう方がいらっしゃったのですね?
熊切:はい、仕込みではありません(笑)。僕は人を生かして街スナップを撮るというのがひとつの表現ですので、面白い人を見つけたら撮りますね。渋谷で見かけて面白かったので話しかけてみたら、関わっているボランティアの活動を知ってもらうためこんな格好をしているそうです。最初は正面から撮っていたのですが、後ろからも撮ろうとくるっと回ってもらったのですね。そうすると顔ではなく、人物と認識して後頭部にピントが合いました。
――左の方も個性的ですね。被写体の方とコンビでしょうか。 熊切:撮っていると横に絡んできたおじさんで、全然関係ない人です(笑)。どっちも負けてないというか。「FE 35mm F1.4 GM」の絞り開放で引いて撮ったのですが、微妙な立体感が出ています。街の光景に沈み込まないよう、彼らを浮き上がらせることができました。
――たくさんの人が写っていますが、認識されるのは構図の中央の人物なのでしょうか? 熊切:基本的には手前の人物ですね。ピントの正確さや、認識した状態での食いつき感は、やっぱりすごく良いと思いました。
――スナップだとAFの速度も重要ですね。 熊切:すごく速いです。瞬間的な撮影が多いので、速度が速く食いつきも良いとなると、スナップにおいては最大の武器といえますね。 萩原:後ろを向いていて、しかも変わった格好をしていても人物として認識されるのが面白いですね。
――次も熊切さんらしい作品です。ここは日本ですよね?
熊切:渋谷のスペイン坂ですね。「東京動物園」というテーマをとり続けているのですが、最初はゾウと歩いている人を撮っていました。するとたまたま外国人の方々がゾウとちょうどマッチングしたのです。外国で撮ったようにも見えるような作品になりました。 阿部:向こうから来る女性が効いているよね。これがエキゾチックな雰囲気を増しているような。 熊切:これも「FE 35mm F1.4 GM」の絞り開放で撮っています。前後にぼけを入れると、視線を感じるような表現になってきます。後ろの看板の文字もぼけるので、異世界のような雰囲気を演出できたのかと思います。あとこのカメラは色のりが良いですね。彼女の服の色にしてもそうですね。
――これは被写体認識を使っていないのですね。 熊切:そうです。シングルAFでゾウの目に合わせて、人物がちょうど被写界深度に入る瞬間を撮っています。これこそシャッターチャンスが重要なシーンで、スナップの瞬間性の面白さを、一瞬を切り取る写真ならではの面白さを出せたと思います。なのでカメラのレスポンスはすごく大事ですね。
――次の作品です。渋い被写体とトーンですね。
熊切:スペイン坂から1本入ったところで撮ったものです。華やかな渋谷から急に色のないソリッドな世界になって、ギャップが面白いなと感じた場所です。やっぱり解像感が高いですね。こういうモノを撮るにはぴったりのカメラかなと思います。すべての線がシャキッと出ている。
――すすけた感じの階調も良いですね。 いろんなグレーが表現できていて、表現の幅の広さが感じられます。シンプルだけど、こういうカメラだからこそ撮ってみようかと思うシーンですね。
萩原れいこさんの「α7R V」作品
――では、萩原さんの作品に行ってみましょう。これはすごい解像感ですね。
萩原:早朝、枝に霧氷がついた樹木を逆光方向で撮影した作品です。風景写真の場合、枝先がしっかりと緻密に表現されていることが迫力につながります。ただし逆光ということもあり、枝先が白飛びしやすいシーンなのですが、白とびすることなく、なおかつ背景の陰の中も黒つぶれすることなく描写されています。こういったシーンで白とび・黒つぶれをするカメラも多いのですが、そういったことを気にせず、被写体に集中して安心して撮影できるカメラですね。
――「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」の望遠側で撮影されていますが、三脚を使われているのですか? 萩原:手持ちで撮影しました。コンパクトなシステムなので手持ちでサクサク撮れます。しかも画素数が多いカメラでなのですが、光学式5軸ボディ内手ブレ補正が強力で、手持ちでもピシッと止まりますね。
――以前だと高画素のカメラはブレが目立つので、手持ち撮影は厳禁という風潮がありましたが。 阿部:やはり手ブレ補正が強力になったから、その辺も変わりましたね。 萩原:以前は朝や晩の暗い中での撮影だと、必ず三脚を使っていました。「α7R V」はそういうシーンでも手持ちで撮れます。それこそシャッター速度1/10秒でも手持ちで撮影しようかな、という気持ちにさせるカメラですね。
――どちらにも良さはあるかと思いますが、手持ちと三脚では作品に違いがでてきますか? 萩原:太陽が昇ってきたり雲が流れてくるなど、どんどん状況が変わる中、手持ちだと最高の瞬間と構図をバリエーションを変えながら撮っていけます。三脚を使わなければ撮れないシーンもありますが、以前より自由になった感じがしますね。
――こちらはとても色鮮やかな作品です。
萩原:紅葉に前ぼけと後ろぼけを重ねて撮りました。「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」の絞り開放で撮っていますが、ピント面のシャープさがとても効いています。こういう作品だとピント面がぼやっとしているとどうしても決まらないのです。これくらいしっかり解像してくれると安心ですね。
――さまざまな色がありますが、ホワイトバランスは固定されていますか? 萩原:これはオートホワイトバランスで撮っています。こうした日なたと日陰が混在するシーンだと、オートホワイトバランスだと色が転びやすく、太陽光にホワイトバランスを固定していました。「α7R V」になってから、オートホワイトバランスの色がとても良く、積極的にオートホワイトバランスを使っています。これも「AIプロセッシングユニット」の力でしょう。いままで太陽光だと表現できなかった色が、オートホワイトバランスだから再現できるようになったケースもあります。
――次の作品です。こちらもぼけが印象的ですね。
萩原:APS-Cサイズにクロップして撮影したものになります。いままで、クロップすることにどうしてもためらいがありましたが、「α7R V」はクロップしても有効約2500万画素あるので、躊躇なくクロップしようかと思えるようになりました。
――レンズは「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」、焦点距離は194mmですね。 萩原:はい、II型になってから、望遠側の最短撮影距離が0.82mと短くなりました。小指の先ほどの桜の花びらをここまで大きく写せました。白色の同系色の色あいの中で、それぞれの違いや立体感の再現力もすごいなと思います。
論争に終止符を打った「4軸マルチアングルモニター」
――風景・ネイチャー写真だと「4軸マルチアングル液晶モニター」を活用することはありますか? 萩原:どんな方向でもモニターに正対して撮ることができるようになったので、例えば橋の上から撮るときなど便利になりました。また、バリアングルタイプだとボディにつけたL型プレートに干渉することがあります。それもなくなりましたね。
――背面モニターについてはチルト派、バリアングル派で好みが分かれますが…… 萩原:どちらもできるので、「4軸マルチアングル液晶モニター」はその論争に終止符を打った感じです。 阿部:僕もこのモニターの構造には感激して、こういうものこそカメラグランプリにふさわしいと思いました。いままで論争していたものに解決策を出してくれたわけです。 熊切:画期的ですよね。以前も考えられていたのでしょうけど、強度やボディの厚みなどの問題が解決できたのでしょう。無駄に触りたくなる魅力があります(笑)
純正レンズの必要性
――αにはサードパーティーからたくさんのレンズが供給されていて、それも魅力のひとつです。そうした中、ソニー純正レンズを使う意義とは何でしょうか? 阿部:やっぱりAFですね。純正レンズで撮ると、合わせたいところに百発百中で合っている。これが非純正レンズだと「ん?」という感じで、ちょっと不安になることがあります。何回か撮っていると当たりがあるのですが。ピントの位置が絶対ばらけないのが純正レンズだと感じます。 熊切:基本的にはボディとレンズのマッチングを前提に開発され、その思想が入った状態なので、間違いのないベストバランスといえるでしょう。もちろんサードパーティーのレンズもしっかり作られているとは思いますけど、フルにスペックを生かすとなると、純正になるのではないでしょうか。 萩原:レンズが変わると色も変わりますよね。ボディでデザインされた色をはじめ、メーカーが出したい画作りを再現するには、やっぱり純正レンズが手堅いと思います。
引き上げられた画質性能
――「α7R V」は高解像だけでなく、階調や色再現など他の画作りでも評価が高いようですね。 萩原:目で見ている風景の美しい色合いや空気感を、忠実に再現してくれるカメラは意外に少ない印象です。テクニックで画を完成させることはできますが、シンプルにシャッターを押すだけで、その場の空気感を再現できるのはすごいと思います。カメラ初心者の方でも、簡単に素直な感動を再現できるので、初心者の方にも使ってほしいですね。 阿部:オートホワイトバランスは確かに良くなっていますよね。お店で料理の写真を撮ったりするのですが、いやLEDの黄色かぶりを抑えてくれると感じます。逆に露出に関しては、撮り手の補正を自由を残してくれている。これがソニーの考え方なんだろうなと。 熊切:僕が撮るのは街スナップなので色にあふれた世界、それも割とどぎつい色だったりしますね。しかも色んな光源があるので、オートホワイトバランスが色をうまく再現してくれるのは重要です。そういうことを的確にイメージ通りにできるカメラだと感じました。実際の色と記憶の中の色は違うのですが、記憶とは違わない色になっていると、イメージ通りに撮れた感触が得られますね。「α7R V」は良い意味で強い色表現ができているカメラです。
ソニー「α」への今後の期待
――現在カメラメーカー各社が動画需要にフォーカスしています。ソニーもそのひとつですが、静止画の今後のポジションだったり、写真文化のこれからだったり思うことはありますでしょうか? 阿部:やっぱり写真はモニターだけでなく、プリントして見てほしいという気持ちがあります。プリントで自分の写真と向き合うことがありますが、そのとき色んなことがわかる。これからもプリント、紙は大事だと思います。 熊切:これからもカメラは進化していくのでしょう。それに合わせて楽しめることは増えていくと思うので、AIがどういう画をはじき出すかとか楽しみではあるのですけど……だからこそ一瞬を撮影するためのものとして、そこはしっかりと残してほしいと思います。1枚の画を撮る喜びに軸を残してほしいです。 萩原:写真展で静止画と動画の両方を展示します。動画はメッセージを伝える力が強いのですが、静止画の方が見る人のペースで鑑賞ができます。本当に性質が違うなあと思います。静止画の方が普遍的な魅力を秘めているような気がしますね。AIが進化すると、逆に人間にできることが明確化して、それを意識していくと新しい表現になるのではないでしょうか。
――最後に、ソニー「α」に期待することや思うことはありますか? 阿部:今回「α7R V」で撮った写真に、「わあ! すごい」と素直に感じました。これからもソニーには、撮ったときすごいと思わせるカメラを作り続けてもらいたいですね。カメラグランプリで「またソニーを選んじゃったよ」と言わせるようなカメラをお願いします(笑)。僕はカメラグランプリで先進性を重視していることもあって、やっぱりソニーの先進性が好きなんですね。 熊切:ソニーのカメラとしての完成度はすでに高まっていますよね。機能としてはトップを走り続けている。そこで個人的には、もうちょっとデザインを面白くしても良いのではと思います。きっちりまとまってきて安定感はあるのですけど、そのぶんあまり代わり映えをしていないかなと。ソニーの遊び心がここに加わるとどうなるんだろう、と思いますね。 萩原:チャレンジがすごいですね。いつもあっと驚かされるというか、こんなことできるんだという驚きがあります。それに刺激されて、自分の写真表現についても「こんなこともあんなこともできるのでは」と刺激されています。また、VLOGCAMのような新しいライフスタイルを提案するような製品もあるので、これからも期待しています。
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