α7R Vで描く色彩豊かな風景写真
写真家 清家道子 氏
2023年2月24日(金)にパシフィコ横浜で開催されたCP+のソニーブースで行われたスペシャルセミナーをα Universe記事用に再構成しました。隔月刊『風景写真』編集長、永原耕治さんをゲストに迎え、写真家の清家道子さんに、α7R VとG Masterで撮られた作品とともに、α7R Vの使用感と進化した点について語っていだきました。
清家 道子/写真家 福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。 現在企業カレンダーを手がけるほか、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。 2016年に写真展「またまの宇宙」をリコーイメージングスクエアで開催。同写真集(日本写真企画)を出版。2017年に南仏をテーマにした写真集「TheGiftOfRanunculus」(風景写真出版)、2021年著書「美しい風景写真のマイルール」(インプレス)、2022年「極上の風景写真・フィルターブック」がある。 2019年「純色風景」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、福岡天神で開催。 2022年「光の記憶」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、福岡天神で開催中。 2020年にYouTube清家道子チャンネルを開設。風景写真、色彩心理、風景動画で構成した風景ショー トムービーなどを配信中。 https://www.youtube.com/@michiko_seike 清家道子写真事務所 https://seike-michiko.com/ αアカデミー講師
永原 耕治/隔月刊『風景写真』編集長 1978年東京生まれ。早稲田大学大学院在学中にロシアへ渡り、全ロシア映画大学に留学。大学院中退後、都内美術ギャラリーに勤務したのち、写真美術館のIZU PHOTO MUSEUM学芸員を経て、2014年に風景写真出版に入社。2020年より編集長を務める。
とんでもないカメラが現れた
永原:私は編集者で清家さんには 雑誌やYou Tubeに登場していただいているのですが、以前「α7R IVを一生使い続ける」とおっしゃっていた。その数か月後に心変わりですか? 清家:それまでは「α7R IVは最高のカメラ。私はこれでいく」と思っていたんですが、とんでもないカメラが出てきて、これは換えるしかないと。α7R IVもα7R Vも有効約6100万画素ですが、「BIONZ XR」というエンジンが搭載されたことで様々な変化が生じています。
α7R VはG Masterは互いによさを引き出し合う
清家:私はFE 24-105mm F4 G OSS以外全部G Master使っています。 写真って、カメラのよさをレンズが引き出し、レンズのよさをカメラが表現してくれるという相互関係にあって、信頼できるカメラで撮ることはとても大事だなと思っていて。
清家:私のYouTubeで「私の好きなレンズBEST3」という企画をしたのですが、第1位はG Master。どの型番だと思いますか? 永原:清家さんは僕のなかでは広角使いのイメージなんですよ。 清家:使用頻度が一番高いのはFE 16-35mm F2.8 GM。でも、勝負の時はFE 100mm F2.8 STF GM OSS。扱いは難しいけれど、撮れた時はものすごくいい。あとで作品も出てきますのでお楽しみに。
さらに広くなったダイナミックレンジ
清家: α7R Vはダイナミックレンジが約15ストップ(ソニー測定条件。静止画撮影時) とさらに広くなって、風景写真向きのカメラになっています。
清家:これは鹿児島の長野滝なんですけれど、明暗差が大きくて撮るのがすごく難しいのですが、暗所が潰れずにすごく綺麗に表現されています。暗所も潰れず、明るい所も白飛びしてない。これ、じつはJPEGで撮って出しなんですよ。 永原:RAWでアンダーぎみに撮ってから暗部を持ち上げているのだと思いました。 清家:α7R VになってからJPEGで撮って出しでOKなシーンが増えました。風景写真はRAWで撮って現像するものだと思っていたのですがJPEGいいじゃんって。
8.0段に拡張したカメラ内手ブレ補正で撮れるシーンが広がった
カメラ内手ブレ補正が8.0段になったことも大きな進化。先の写真と同じ場所で水面ギリギリの所を手持ちで1/6秒で撮れたんです。α7R Vなら、これまで撮影をあきらめていたシーンにもチャレンジできると思いました。 永原:これもJPEG?色もいいし輝度のギャップも克服していますね。 清家:α7R Vではホワイトバランスが正確で自然になったんですよ。
AI+可視光IRセンサーでAWBがより自然に
清家:オートホワイトバランスのJPEG撮って出しでこの色なんです。ホワイトバランスの設定に悩む人は多いと思うんですね。でも、α7R Vではオートで撮るだけ。これがAIプロセッシングユニットのすごさで、とにかく色が自然で美しい。 永原:新時代のカメラという感じですよね。 清家:「RAW現像は大変だから私には無理」という方もたくさんいると思うんです。そんな方はJPEGでOK。 永原:私も含めてRAW現像をしたくてしてるわけじゃないんですよ。イメージに近づけたいからやるわけで、 見たままに撮れればしないにこしたことはない。
撮影スタイルを自在にする4軸マルチアングル液晶モニター
こちらはタテ構図ですけど、α7R Vですごく進化したのがチルトとバリアングルが一体化した4軸マルチアングル液晶モニター。これまではチルトとバリアングルのどちらにするか選ばないといけなかったですよね。 永原:「いいカメラだけど、バリアングルだから買わない」みたいな。風景を撮っている方は チルトが多いですよね。光軸がズレないから。どういうふうに動くか見せてもらっていいですか?
清家:これまでのチルトはこうですね。だから低くしたりする時はこうやって動かしてたと思うんですけれど、これがバリアングルにもなる。
清家:たとえばタテ構図の時に、チルトならファインダーを見て撮るしかなかったけれど、これはバリアングルにもなるのですごく便利。 永原:チルト派の人でもアクロバティックな姿勢する時にはバリアングルが必要なこともありますね。 清家:自撮りする場合もバリアングルでないとわからない。4軸マルチアングル液晶モニターはさまざまな用途に使えます。
G Masterの実力を引き出すBIONZ XR
清家:これも、オートホワイトバランスでJPEG撮って出しなのに自然な発色です。 永原:霧はコントラストが弱く紅葉はコントラストが高い。1つの画面に同居させるのは難しいと思うんですね。それに、紅葉の赤が飽和せず、葉にしっかりと階調がある。レンズは何ですか? 清家:FE 16-35mm F2.8 GMです。G Masterは周辺の描写が美しいんですよ。有効約6100万画素と「BIONZ XR」がG Masterのよさを引き出してくれている。逆に、カメラのよさをレンズが引き出してくれてもいる。
清家:これは九州で紅葉と雪を撮りたいという私の夢がかなった1枚です。去年の12月に雪が降って、きれいな紅葉があったのでFE 100mm F2.8 STF GM OSSで撮りました。 永原:先におっしゃっていた勝負レンズ。 清家:FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIで撮るか FE 16-35mm F2.8 GMで撮るか迷ったのですが、結局FE 100mm F2.8 STF GM OSSでで。FE 100mm F2.8 STF GM OSSは色に濁りがないんですよ。
有効約6100万画素が描き出す緻密な風景
清家:次は熊本の鍋ヶ滝。まずはFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIで撮ったんですけれど、葉のつややかさや触れたら手が濡れてしまいそうな表現。 永原:本当に触れる感じですね。
清家:それからFE 16-35mm F2.8 GMに清家:それからFE 16-35mm F2.8 GMに変えたのですが、この明暗差を広いダイナミックレンジで捉えている。暗部も潰れず明るい所も飛ばずに出ている。水煙に光が当たって光芒になっていて、それを1/50秒で撮ったら水煙の粒1つ1つがきれいに写っている。
清家:さきほどの写真をトリミングして、それをトリミングして、さらに拡大すると、水の1つ1つがきれいに写っています。これが約6100万画素の威力。 永原:すごい!
高画素=諧調の豊かさ
αは“光が撮れる”カメラ
清家:永原さんに質問があるのですが、風景写真出版の編集長として、α7Rシリーズについての印象はいかがですか?
永原:α7R IVが3年前にカメラグランプリを獲っていて、そこIVからさらに進化した。実績と定評のあるカメラがよりよくなった安心感があります。あとは背面のモニターに「写真もムービーも本気」というソニーの決意を感じました。 清家:α7R Vは静止画専用機と動画専用機の2つが1つになったような印象があります。 永原:それと高画素化。8KのBRAVIAで見た時の驚き。自然界の色ってけっこう鮮やかで、風景写真に必要な階調が飽和せずに全部出ている。「高画素って階調なんだ」という発見がありました。 清家:高画素は色彩の豊富さでもありますものね。同じ緑でも多彩な緑で構成されている。 永原:あとは光の多さ。人間の目は暗部の細かい所も見えているじゃないですか。それが撮れる。輝度差も階調の1つで、それを実現できるのは高画素機だから。 清家:αは光を撮らせてくれるカメラですね。 永原:最後1つだけ。清家さんに質問ですけれど、もう心変わりしない? 清家:もう心変わりはしません。断言させていただきます。
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