G Masterで描く光と色の風景写真
風景写真家 萩原れいこ 氏
2023年2月24日(金)にパシフィコ横浜で開催されたCP+2023のソニーブースにて行われたスペシャルセミナーをα Universe記事用に再構成しました。風景写真家の萩原れいこさんがこれまでαで撮影してきた作品とともに、撮影に使用しているG Masterの特徴や強み、使用感を解説していただきました。
萩原れいこ/風景写真家 沖縄県出身。学生時代にカメラ片手に海外を放浪した後、日本の風景写真に魅了されていく。車内泊用に改造した軽ワゴンで日本縦断を敢行。隔月刊「風景写真」の若手風景写真家育成プロジェクトにより、長野県志賀高原での写真修行を経て独立。永久的な"自然の営み"をテーマに、嬬恋村、志賀高原、沖縄県をメインに活動中。個展「Heart of Nature」、「地獄」、「羽衣〜Hagoromo〜」などを開催。写真集「Heart of Nature」(風景写真出版)、「風景写真まるわかり教室」(玄光社)、「極上の風景写真フィルターブック」(日本写真企画)などを執筆。撮影のほか、撮影指導、写真雑誌への寄稿、セミナー講師などを行う。石の湯ロッジ撮影会プラス講師、アカデミーX講師、カメラグランプリ審査員、嬬恋村キャベツ大使(観光大使)。
G Masterの高い解像力美しいぼけ味の両立
G Masterの魅力は何と言っても息を呑むような解像力の高さと、とろけるようなぼけ味が両立していることです。ここでは作品をお見せしながら、私自身が愛用しているG Masterについてご説明します。まずはズームレンズ。風景撮影の場合、遊歩道や展望台から撮影することが多いので、ズームレンズは必須です。私が愛用しているのはF2.8通しの大口径ズーム。望遠のFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIと標準のFE 24-70mm F2.8 GM II、そして、広角のFE 16-35mm F2.8 GMです。個性的なカットを決める1本は超広角のFE 12-24mm F2.8 GM。単焦点レンズはFE 14mm F1.8 GMとFE 50mm F1.2 GMの2本。単焦点レンズはズームレンズと比べてぼけ味が抜群によく、解像力も優れています。ボディはα7R Vとα7R IV。ともに有効約6100万画素の高解像性能。α7R Vは約15ストップのダイナミックレンジで、朝夕の時間帯でも安心して撮影できます。
高い解像性能と実現した軽量化
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIになって周辺の解像力が抜群に向上。対逆光性能もアップしています。AFも高速化。29%の軽量化は女性にとって嬉しいですね。絞りリングが実装されてクリック付きなので動画撮影にも便利。最短撮影距離が40cmから82cmなので、寄って撮る楽しさもあります。
撮影地は志賀高原。桜の季節に霜が降りる滅多にないチャンスで、緻密な描写力と霧の諧調の豊かさが気に入っています。
まるで光を内包するようなぼけ味。前ぼけに立体感があって奥行きも感じられる一方、ピント位置はシャープでメインの被写体の存在感があります。これこそがG Master最大の魅力。
これは光芒を撮っていますが、耐逆光性能が高いのでゴーストやフレアは出ません。絶景を目の前にして一瞬に、白飛びに気を配らずに、スピーディーに構図に集中できます。
こちらは、ちいさなつくしにグッと近寄って、撮影最短距離ギリギリで撮影したものです。マクロ的な撮影もFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIでは可能。独特なぼけ味がロマンティックな雰囲気を盛り上げます。
単焦点レンズ5本を1本に詰め込んだような描写力
FE 24-70mm F2.8 GM II
このカットはFE 24-70mm F2.8 GM IIで撮影したもの。このレンズはまるで単焦点レンズ5本を1本に詰め込んだような描写力です。従来機種から20%も軽量化もされ、最短撮影距離も21cmから30cmになりました。夕暮れ時の空が雲に夕暮れの光が当たって刻々と流れていたのですが、それが写り込む角度って限られているんですよね。なのでカメラを持ちながら、右往左往を走りながら撮りました。ただ、そんな中でもα7R Vの手ブレ補正の効果は最大8.0段あるので、全く気にすることなく撮影できました。
逆光方向で太陽を入れても雪原の階調豊かに表現してくれました。
小型軽量であつかいやすい広角ズーム
FE 16-35mm F2.8 GM
FE 16-35mm F2.8 GMは歪みが少なく、人間の視覚に近い画角と小型軽量で持ち運びがしやすく使いやすいレンズです。16mmのワイド端で撮影したのですがナチュラルな描写です。ライトアップで色のニュアンスが難しいシーンもそのまま美しく撮影できました。
これは下から見上げて撮っているのですが、FE 16-35mm F2.8 GMは作りが良く自重で落ちることがないため、被写体に集中して撮影できます。粘りも絶妙で女性でもスムーズに動かせます。
歪みのない描画を可能にした超広角ズーム
FE 12-24mm F2.8 GM
FE 12-24mm F2.8 GMは、何と言っても 12mmという画角がすごく楽しい。逆光性能も高く、太陽を入れた描写もとても魅力的です。平地の冬の日常的な風景でも、このレンズがあれば、非日常的に撮影できる楽しみがあります。
シャープな解像感と美しいぼけ味の両立
FE 50mm F1.2 GM
こちらはFE 50mm F1.2 GMを使って撮影した桜の花びら。やはり、単焦点レンズの魅力はぼけ味。解像感もズームと比べてシャープです。近所で撮影できるなにげない被写体でも、単焦点レンズを使うことで、目の前の世界が変わります。
背景の玉ぼけと彩りにこだわってサザンカを撮ってみました。開放F値からから少しずつ絞って、好みの玉ぼけの大きさにして撮影しています。玉ぼけのサイズを小さくするためにF1.8に絞って撮ったところ、とても美しいぼけに。
2月中旬に雪の中の蝋梅を撮った作品です。白い背景に白い雪という状況ですが、立体感と奥行き感が豊か。微かに舞う雪も繊細に描画しています。梅の枝のようなごちゃごちゃした被写体もF1.2で撮ると柔らかに表現できます。
収差が少なくダイナミックな画が撮れる超広角
FE 14mm F1.8 GM
FE 14mm F1.8 GMの魅力は逆光耐性。逆光で撮影してもここまでクリアーで、色収差が本当に少ないんですよ。レンズの高い描写力があってこそ見応えのある作品になるのだと思います。
最短撮影距離が25cmなので寄って撮る楽しさがあります。あおっての撮影ですが、太陽をストレートに入れたのにゴーストやフレアが出ない。空の青の発色のよさも抜群です。
風景写真撮影の幅を広げるα7R Vの進化
ここからは、α7R Vについてお話します。この写真はフォーカスブラケットという、最大299枚まで手前から奥までピントを少しずつずらしながら撮る新機能を使って撮影したものです。上の写真は30枚を合成したもの。従来ならF16まで絞っても奥に焦点が合わず、F22では回折現象が気になる状況でこのクオリティなので、フォーカスブラケットの威力を感じました。
α7R VにAIプロセッシングユニットが搭載されたことで、オートホワイトバランスの表現力が格段に向上しました。上の作品では、日陰の青色を的確に表現してくれています。それ活かして、紅葉の背景、日陰にある椿の木を入れました。すると、ふっと青色が入ってきて一面がちょっと紫色に。まるで絵具を散りばめるように撮れました。
α7R Vはクリエイティブルックが搭載。風景では「VV」とか「VV2」で撮ることが多いのですが、これは「IN」モードで撮影。こういった、独特な色合いを使って画作りを楽しむのもα7R Vの魅力です。
α7R Vと言えば4軸マルチアングル液晶モニター。チルトモニターとバリアングルモニターが合体したことで、これまで角度的に撮れなかった被写体も撮れるようになりました。ローアングルで撮影する時も、こういう風に引き出して撮ると非常に快適です。
このシーンも水仙の葉の影に花を隠して撮影をしています。
最後に、普段、静止画撮っている方は動画を撮る機会もあまりないかと思いますが、三脚に据えたものと手持ちで撮影したもので映像を作ってみました。
写真を撮りながら「このシーンは動画で撮ったら素敵だろうな」と思うこともあると思います。映像だけでなく、音楽や言葉を載せることでご自身の想いを伝わりやすくなることも。ボタンひと押しで 簡単に動画が撮れる時代です。ぜひチャレンジしてみてください。
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