α6700で都市スナップ〜心が動いた瞬間を軽快に捉える〜
スナップフォトグラファー 鈴木知子 氏
鈴木知子/スナップフォトグラファー 神奈川県横浜市出身。東京工芸大学短期大学部卒業後、広告撮影プロダクションに入社。写真家、柳瀬桐人氏(他)のアシスタント経験後、コマーシャルフォトを中心に活動。現在フリーランスとして地元横浜に事務所を構え、カメラ片手に日々奮闘中。近年は雑誌への作品提供やフォトコンテストの審査、セミナー講師、写真ハウツー書籍の執筆も行なっている。1日1枚の写真で綴るライフワークの横浜を中心としたスナップ写真を、ブログにて毎日更新中。 http://suzucamera.exblog.jp
スナップが楽しくなる1台
最初に手にした時に感じたことは、コンパクトで軽いという印象が大きかったです。普段α7 IVを愛用しているので、ファインダー形状の違いも大きいとは思います。普段スナップ撮影をメインにしているので、機動力という点でコンパクトな分、持ち歩きやすさが何よりも魅力的でした。コンパクトではあるものの、グリップのホールド感がよく、安定感があります。性能に関しても、さすが最新のボディということもあり、ダイヤルやボタンの位置、操作性など、α7 IVと比較しても遜色ない使い勝手でした。ただ背面のマルチコントローラーに慣れているため、少しだけ不便に感じました。これに関しては慣れが大きいと思います。 ビルの壁面に映り込んだ空が、まるで四角い金属の箱が発光しているような、独特な雰囲気を放っていました。できるだけ余計な部分が入らないよう壁面だけをフレーミングしています。このような被写体で気になるのが解像性能ですが、質感をしっかりと再現しており、描写性能の高さを感じました。
テーブルに置かれたドライフラワーですが、光があたる金のリボンが美しかったので、リボンを中心に構図を決定しました。自身がイメージした以上にリボンの質感と柔らかいぼけに解像性能の良さを実感。実際に小物などを大きく撮るシーンでは、APS-Cでもここまでシャープに撮れるのだと正直驚きました。
こちらは日没後の海岸を撮影。まわりはだいぶ暗くなっていましたが、幻想的ともいえる美しいグラデーションをスナップしました。個人的な感想で言えばISO3200以下ならば問題なく、夕景や夜景も手持ちで撮影が可能です。ISO6400から若干ノイズが気になってくる印象です。
「頭の中の空想の世界」を表現しようと思い、金網にフォーカスを合わせ、金網越しの人物や街並みをぼかして撮った1枚です。暗所でもAFは問題なく、確実に合わせたい場所にピントを合わせることができました。また色再現に関しても、見た目に近い自然な色合いで撮影できます。クリエイティブルックを使うことで、より印象的に仕上げることも可能。イメージを追い込みながら撮影できる点は、大きな魅力でもあります。
様々な場所・時間帯の撮影にも対応できる
私が撮影している都市スナップは三脚を持たずに、状況に応じて室内・屋外・夕景・夜景まで手持ち撮影で撮り歩きます。さまざまなシーンで撮影するため、カメラ性能の中でも手ブレ補正機能はとても重要だと言えます。静止画に関しては、ブレを加えるため意図的にシャッタースピードを遅くしたり、シャッタースピードが遅くなりがちな暗所での撮影も、手ブレのリスクはありませんでした。とても安心感があります。 動画に関しては、ジンバルなしで動きながら撮影が可能なアクティブモードは動画に慣れていないユーザーにも頼もしい機能です。実際には作品にはしていませんが、新たに動画撮影にもチャレンジしたいと思いました。
動きのある被写体に関しては、AFの性能が大きく関わってきます。人物・動物だけに限らず、車・列車・飛行機を被写体認識する点に正直驚かされました。実際にどの程度認識するのか、新幹線を被写体に撮影しましたが、薄暗くかなり離れた位置からも問題なく追尾するので、シャッターチャンスや構図に集中できました。AFをカメラ任せにできるというのは、動体撮影が身近になったとあらためて実感しました。
スタミナという点では、かなり安心感があります。バッテリーは予備も持ち歩きましたが、一日に500〜1000カットほど撮影していますが、長時間屋外で撮り歩いてもバッテリーを交換することはありませんでした。バッテリー残量を気にすることがないので、集中して撮影に臨めます。
普段動画を撮る機会がほとんどないため、動画を撮ることに特別な印象があるものの、簡単に美しく撮れることに感激しました。撮影時は天気がよく、露出決定に悩ましいシーン(噴水など)もありましたが、明暗さのあるシーンなどでも白とびせず階調豊かに撮影できています。特別な機能こそ使えていませんが、S-Cinetoneでのシネマチックな表現に惹かれました。静止画の延長で動画が楽しめる、そんな印象を持ちました。
1.5倍クロップで広がる切りとり方
今回は E 16-55mm F2.8 G、 FE 24-105mm F4 G OSS、FE 70-200mm F4 G OSSの3本を使って撮り歩きました。ボディとのバランスを考えると一番のおすすめはE 16-55mm F2.8 G ですが、いつもフルサイズで使っている FE 24-105mm F4 OSSは一番出番が多かったです。このレンズはα7 IVでももっとも使用頻度が高いレンズ。普段撮影している都市スナップでは、使いやすい焦点距離だといえます。APS-Cなので、フルサイズとは焦点距離が変わりますが、個人的にはテレ端が35o判換算値で157mmまであるのが新鮮でもあり、いつもならば必要なレンズ交換が要らず、とても使いやすく感じました。最初はボディとのバランスが気になっていましたが、実際に撮影をしているとバランスの悪さは感じませんでした。グリップをしっかりとホールドできるため、レンズの重さや大きさは気になりません。 ビルの谷間を見上げたら、飛行機が見えました。この近辺で飛行機が低空で飛んでいるのは知っていたものの、思いがけずビルとビルの隙間に現れたので、すぐにカメラを構えてシャッターを切りました。画面に対する飛行機の大きさよりも、全体の空間のバランスを意識して焦点距離を決めています。このような場合、やはりズームレンズがベストです。またリアルタイムトラッキングを使用すれば、動いている被写体に対して追尾をしてくれるので、構図に集中して撮影ができます。
感動の一瞬を逃さない
焼けるかもしれないと思いつつ、港に向かいました。ここは港まで向かう途中で空が大きく見える場所です。足元にはタイル貼りのせせらぎがあり、タイルにピンク色の空が映っており、とてもドラマチックな瞬間でした。美しい色を表現するため、クリエイティブルックは色鮮やかなVV2に設定。測光モードはハイライト重点でアンダーめに露出を決定しています。刻一刻と色が変化をするタイミングですが、美しい空を見た感動をそのまま表現できたので満足の一枚です。
なんといっても小型軽量なので、機動力が必要なスナップ撮影向きのカメラだと思います。個人的には、さっと取り出してシャッターが押せる「いつも持ち歩きたい一台」です。一番気に入った点は、AIプロセッシングユニット。認識する被写体が増えたことで、被写体の選択肢も大きく広がると感じました。またクリエイティブルックの採用は、すでに搭載されているフルサイズ機のサブ機としても使いやすくなりますね。
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