FE 16-35mm F2.8 GM IIで撮るポートレート
写真家 大村祐里子 氏
大村祐里子/写真家 写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。クラシックカメラショップの店員を経て、写真の道へ。福島裕二氏に師事後、撮影のほか、雑誌・書籍・Webでの執筆など、さまざまなジャンルで活動中。趣味はフィルムカメラを集めて、使うこと。 https://omurayuriko.jp/
私は視野が28mmくらいなので、広角レンズで撮った写真は非常に自分の感覚にフィットします。ということで今回は、FE 16-35mm F2.8 GM IIという広角ズームレンズ一本で、ポートレートを撮影してみました。厳しい残暑のなかロケを行いましたが、レンズが大変にコンパクトだったので、身体一つで出かけているような軽快さで、サクサクと撮影を進められました。結果、モデルさんもヘアメイクさんも、もちろん私も、元気なまま撮了できました。機材の重さで断念するアングルなどもなく、情景と人物が融合した、自分の好きな雰囲気の写真がたくさん撮れて大満足です。
こちらはこの日のファーストカットです。「この大きな木、すごーい」と話していたときにシャッターを切りました。隅々まで解像した写真は、現場で見た、大きな木の生命力をまるごと表現してくれているように思いました。撮った写真を見た瞬間に感動して、写欲が俄然沸いたのを覚えています。
ウキウキした雰囲気で歩くモデルさんがかわいいなと思い撮影しました。猛烈な逆光でしたが、それを感じさせないヌケの良い写真に仕上がっていてびっくりしました。また、レンズ前に植え込みの葉が被っていたのですが、AFは迷うことなくモデルさんに合焦してくれました。その速さと正確さのおかげで、理想的な瞬間を切り取れました。
お花の合間から見える、座ったモデルさんが素敵だと感じたのでシャッターを切りました。「花の間に居る」という状況は説明しつつも、モデルさんの前後は適度にぼかしたいと思いました。F2.8の自然なぼけは、私の表現したい世界をしっかりと描いてくれました。
フェンスにもたれて会話しているところを撮りました。逆光でしたが、白っぽくなってしまうこともなく、肌の色もきれいに表現されていて、私が現場で見たものそのままが写っているように感じました。レンズが非常に軽かったので、撮影中は常に手に持った状態でいられました。そのおかげで、何気なく話したりしているシーンも、しっかりとおさめることができ、結果としてバリエーション豊かな写真を残せました。
草原のようなところを歩いていると、ちょうど風が吹いてきました。吹き抜ける風を感じる人物や木々をまるごと写したかったので、咄嗟にしゃがんでローアングルから撮影しました。α7R Vの4軸マルチアングル液晶を使用したので、ローアングルでもしっかりと構図を確認しながら撮れました。目の前に草木が写りこんでいましたが、AFは迷わず人物を検出してくれたので頼もしかったです。
橋を渡ろうとするモデルさんを後ろから追いかけていて、伸びる影がきれいだなと感じたので焦点距離を16mmにして撮りました。うまく影の長さが写せたので嬉しいです。強い逆光、かつモデルさんが後ろを向いているというAF泣かせなシーンでしたが、人物にしっかりとピントが合いました。
モデルさんの頬に当たる夕日の色味が好きだったので、最短撮影距離である0.22mまでぐっと近づいてみました。いままでとは全く違ったクローズアップな世界を、非常に新鮮に感じました。そして、もっとパーツ撮りもしたいな、と思いました。ここまで寄れると、組み写真において、寄り・引きのリズムを作りやすくなるのでありがたいです。
夕陽に照らされながら風を受けるモデルさんが美しいと思いシャッターを切りました。顔の前で髪の毛がなびき、AF合焦が難しそうなシーンでしたが、難なく瞳を検出してくれました。おかげで、理想的な雰囲気の写真が撮れました。また、F2.8の綺麗な玉ぼけが、水面のキラキラをきれいに表現してくれました。
ひとつ前のカットと同じ場所で撮影しました。水面に消えていくような階段が面白かったので、状況がわかるように思い切り引いて撮影しました。こういうときに16mmという焦点距離を使えるのがとても嬉しいです。同じ場所でも、大胆に寄ったり引いたりできるので、写真のバリエーションを増やしやすいレンズだと改めて思いました。
夕暮れ時、柱のたもとに座るモデルさんが、オレンジ色に照らされて、いいなと思ったのでシャッターを切りました。30mm前後は、モデルさんと正面から向き合って撮るのにちょうどよい焦点距離だと感じました。質感や色再現もリアリティがあり、とても好みです。
日が落ちる直前、太陽とモデルさんを一緒に写したいと思い、2つがフレーミングできるローアングルから撮影しました。軽量でコンパクトなFE 16-35mm F2.8 GM IIは、最後まで「いろいろなアングルに挑戦してみよう!」と思わせてくれました。
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