コンパクトボディが描き出す有効約6100万画素の風景
写真家 Kogame 氏
Kogame Takeshi Kameyama/フォトグラファー 会社員のかたわらフォトグラファーとして活動中。風景からポートレート、アートまで、ジャンルに拘らない幅広い作風が特徴。雑誌・オンラインで撮影・レタッチ方法の解説も行っている。International Photography Awards 2022 にて Nature Photographer of The Year 受賞。ルーシー賞(写真界のアカデミー賞)に招待され、海外からも高い評価を得ている。TIFA2022 Gold、SWPA2022 日本賞、東京カメラ部10選2020。
手軽に持ち歩ける機動力に、妥協のない描写力を両立
コンパクトなのにα7R Vと同等の性能が詰まっていることにまずは驚きます。私が現在メインで使っているのはα7R Vですが、リアルタイム認識AFや強力な手ブレ補正は、作品作りを強力にサポートしてくれます。それがα7CRでも同様にできてしまうのです。前機種のα7Cはどちらかというと初心者向けのカメラだと感じていましたが、α7CRにはフロントダイアルが搭載されたことで操作性が非常に良くなり、テクニカルな撮影もできる機種になっていると感じました。 小型・軽量であるということは、いつでもどこでも持ち歩けるということです。そして、高画素機ならではの使い方として、望遠側が足りない時にクロップ・トリミングで対応することができます。つまり、持っていくレンズを一本減らせるのです。荷物を少なくしたい登山や旅行においてこれほど適したカメラは無いでしょう。そして描画にも妥協したくないという贅沢な希望も叶えてくれます。 ここは「桃川のおたきさま」という場所なのですが、家族と一緒だったので、あまり撮影モードではなかったんです。α7CRを首から下げて気軽な感じで行ったのですが、さすがフルサイズセンサー搭載の高画素機といった感じの写りでした。薄暗い場所ですが岩肌の苔までしっかり描画してくれました。 村上市の中心部は城下町で、「町屋」と呼ばれる昔ながらの建物が多く残されています。今でも店舗や住居として利用されており、タイムトリップしたような気分を味わえます。四季を通じて「人形さま巡り」「屏風巡り」「村上大祭」など歴史を感じるイベントが行われており、特に冬には天井や軒先に「塩引き鮭」が吊り下がる独特な光景を見ることができます。また、海側は有名な「笹川流れ」もあり、日本海を望む雄大な景観を楽しめます。
私がフルサイズの高画素機を使い続ける理由は、ハイライトからシャドーまでしっかりと写し撮ることができるダイナミックレンジの広さです。この写真は右上に太陽がありますが、空と海が滑らかなグラデーションとなって表現されています。一方で左側は陰影が強く、ゴツゴツした岩肌は豪快に表現されています。このように一枚の写真で滑らかさと豪快さを両方表現できるのがα7CRの魅力だと感じます。 ここは洞窟に打ち寄せる波の音が雷のように聞こえるため、雷岩とよばれるようになりました。下から見上げると切り立った岩肌に圧倒されます。近くには「角田岬灯台」や「立岩」など魅力的な撮影スポットがあるのでおすすめの場所です。
切り撮りたい世界を思うままに描き出す
こちらは山形県鶴岡市で行われた赤川花火のグランドフィナーレを撮った一枚です。バルブ撮影のため、ワイヤレスリモートコマンダーRMT-P1BTを使って撮影しました。途切れなく花火は打ちあがるので、シャッターを切るタイミングが難しいですが、ワイヤレスでもレスポンスよく撮影可能でした。
花火を撮影する際、どこの花火なのかをわかるようにすることを意識しています。今回は季節感を出すため稲穂を前景に入れてみました。花火が白飛びしないような露出にしているので、手前の稲穂は露出不足になるのですが、α7CRの幅広いセンサーはシャドー部もしっかり写し出してくれました。
梅花藻(ばいかも)という珍しい水中花の写真です。水温の低い清流で育つ水草ですが、白い花はとても小さく可愛らしいです。水の上に咲いているので、片手を伸ばして不安定な姿勢での撮影でした。しかし構図はバリアングル液晶モニターで確認できますし、ピント合わせはα7CRの高性能なリアルタイム認識AFに任せることができたので、狙い通りに撮影できました。レンズはFE 50mm F1.2 GMを使用しています。滑らかなぼけと大きな玉ぼけは、α7CRのフルサイズセンサーとF1.2の組み合わせならではの描画だと思います。
写真撮影メインで一ヶ月ほど使用しましたが、結局一度もバッテリー交換はしませんでした。とてもスタミナがありますね。登山に行く時は少しでも荷物を軽くしたいので、予備バッテリーを多く持っていく必要がないα7CRはとても魅力的ですね。
目の前に広がる景色や物語を捉える
新潟に住んでいながら、実はこれまであまり新潟の景色を撮影していませんでした。「いつでも撮れる」という気持ちがあったからですが、コロナ禍でイベントが中止になったり、環境の変化により見れなくなってしまった景色もあり、当たり前と思っていたことが当たり前ではなくなりつつあります。今この時を大切にしなければならないという気持ちから、地元新潟の景色を積極的に撮りたいと思うようになりました。 この写真も単なるイベントとして撮影するのではなく、景色、季節感や時間、そこで暮らす人々も取り入れて新潟市らしさを表現した1枚となります。
新潟祭りの大民謡流しは参加者が15000人にも及ぶ夏の風物詩で、信濃川にかかる萬代橋も踊りの会場となります。少し離れた場所からFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIで撮影したのですが、拡大してみると橋の上で踊る一人一人までしっかりと写し出されていることがわかります。日没後の空のグラデーション、橋の灯りなど繊細な光もしっかり表現されており、フルサイズセンサー搭載の高画素機とG Masterならではの写真になっていると思います。飛行機も飛んでいるので見つけてくださいね。 また、この場所の近くにある「朱鷺メッセ」と「メディアシップ」には無料の展望台があり、新潟市の景色を一望できるので、日本海に沈む夕陽や夜景を楽しむことができるのでおすすめです。 こちらは山形県酒田市の酒田の花火。酒田市らしさを表現したくて、特徴的な山居倉庫を前景に入れて撮影しました。レンズはFE 16-35mm F2.8 GM を使用。花火と前景に大きな露出差がありましたが、α7CRはしっかり写し出してくれました。橋の上で花火を見ている人が写っているのがお気に入りポイントです。 また、市内には「土門拳記念館」があり、土門拳氏の「古寺巡礼」など有名な作品が展示されています。写真の勉強にもなり、敷地内からは雄大な鳥海山も拝むことができるのでゆっくり訪れたい場所です。 山側には山形県随一の高さ63mを誇る「玉簾の滝」があり、ゴールデンウイークや夏休み期間中にはライトアップが行われるので、普段とは違う幻想的な光景を楽しむことができます。
つづいては新潟県の柏崎花火。「海の柏崎」とも呼ばれる新潟三大花火のひとつです。花火会場だと海が写らないので、海の花火であることを表現するために少し離れた場所から撮影しました。前景に花火を見ている人々と、月も画角に入れて情景をイメージできるような写真にしています。また、近くにある「番神岬」には、海沿いに赤い鳥居があり、日本海に沈む夕陽と一緒に撮影することができます。
通常、ボディがコンパクトになるとどこか諦めなければならない部分が出てくることが多いです。しかし、α7CRは写りに関して妥協がないことが印象的でした。α7R Vと同じセンサー、最新のリアルタイム認識AF、強力な手ブレ補正により、小さいながらもα7R Vと同じ写真を撮ることができます。いつでもどこでも気軽に持って行きたい。しかし、写りに妥協もしたくない。そんなわがままを叶えてくれるカメラです。
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