α Universe editorial team
常磐線 日立〜常陸多賀
朝日が昇ると太平洋はキラキラと輝き出した。いましかないという一瞬を、α9 IIIは見事に捉えてくれた。グローバルシャッターを採用したことでローリングシャッターゆがみがまったくなく、列車の美しいシルエットがそのままの姿で表現されている。スマホを手にした乗客の姿も分かるほどだ。
高速で動く列車撮影に最適
最強カメラα9 III登場
フルサイズCMOSセンサー搭載のミラーレスカメラとしては世界初となる「グローバルシャッター方式」を採用したα9 IIIがデビューした。シャッターを切った瞬間、確信した。α1の登場が鉄道写真の撮り方を変えたように、α9 IIIも鉄道写真界に革命を起こすだろう。
まず鉄道写真を撮る上で永遠の課題とも言われてきたローリングシャッターゆがみが過去のものになった。驚くべきは連写性能で、有効約2,460画素ながらAE/AF追従かつブラックアウトフリーでなんと最高約120コマ/秒連写を実現した。
その実力を見せてもらおうか。今回はちょっと意地悪して、約20mmという超広角レンズで編成写真を狙ってみた。列車をアップで撮る場合、焦点距離が短ければ短いほど、画面内の列車の移動量は大きくなり、撮影の難易度は飛躍的に高くなる。以前は自分の動体視力を信じて、タイミングに合わせて1枚だけシャッターを押す「1枚切り」するしかなかった。それでも20mmともなると、経験を積んだ猛者でも成功の確率はかなり低い。
被写体は常磐線の特急「ひたち号」。運良く「フレッシュひたち号」のリバイバルカラーであるブルーの車体が来た。これは失敗するわけにはいかない。タラララララという聞き覚えのない音とともに数秒間シャッターを切ったが、ブラックアウトフリーのため画面が止まることなく滑らかに表示されている。画面左上に撮影枚数を表す210の数字が出現し、それが恐ろしい速度で書き込まれていく。結果は、なんとベストショットが実に5枚。写真の歴史を変えるカメラの登場に、心が踊った。
<NEW CAMERA>
ブラックアウトフリーで
最高約120コマ/秒連写のα9 III
編成写真の撮影経験があれば、上の連続カットを見た誰もが驚愕するだろう。α1でも1〜2コマ程度の当たりカットが、α9 IIIの連写速度ブースト最高約120コマ/秒連写では、少なく見ても5コマが当たっている。まさに驚愕の連写性能だが、ここまでの速さが不要なシーンもあるだろう。そんなときは連写速度を低く設定できるので安心だ。ブラックアウトフリーなので、流し撮りでも歩留まりが良いのもうれしい。
最大約120コマ/秒の高速連写
ゆがみを気にせずチャンスに集中
列車を真横から撮ってもドアがゆがまずに真っすぐ写る
赤塚〜水戸
標準から望遠域で撮影することの多い編成写真をあえて21mmの超広角レンズを使って、最高約120コマ/秒の高速連続撮影で捉えた。途中でバッファ切れも起こさずにスムーズに連写できた
常磐線 末続〜広野
太平洋を背に走るひたち号。α9 IIIは「動きモノ」に特化したカメラと考えがちだが、有効約2,460万画素積層型CMOSセンサーは風景写真でも美しい描写を見せてくれる
常磐線 赤塚〜水戸
ますます熟成した感のあるAIプロセッシングユニット。「車/列車」を選択すれば、シャッターボタンを押すだけで全カットバリピンで撮影できる
常磐線 羽島〜岩間
見た印象は風景写真だが、理想的な作品に仕上げるには、高速連写性能とゆがみのない描写が不可欠になる。フルサイズセンサーならではのぼけ味も加わって、立体感のある作品となった
常磐線 高浜駅付近
日の出前のわずかな時間にしか見ることのできない、印象的で淡い色合い。α9 IIIが生み出す、青からオレンジに至る連続性のあるグラデーションの美しさを見てほしい
<ADVENTURE EPISODE>
いろいろなバリエーションが撮れる
高浜駅周辺がおすすめ
常磐線で僕のお気に入りの撮影地は、高浜駅付近。海側から撮ると、電線越しにはなってしまうものの背景に筑波山を入れて撮影できる。山側から狙うと朝焼けをバックに列車がシルエットになった写真が狙える。
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