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まだ見ぬ景色を求めて
〜α7R Vと巡る四季の風景〜

写真家 福田健太郎 氏

α Universe editorial team

写真家の福田健太郎氏にCP+2024セミナーにてお話しいただいた内容や、発表作品を一部抜粋してαUniverse記事で特別にご紹介。メインカメラ「α7R V」で撮影した作品を交えながら、自然風景を印象的に撮る秘訣や構図の決め方、レンズの魅力などを語ります。

福田健太郎/写真家 1973年埼玉県川口市生まれ。幼少期から自然や風景、その土地に暮らす人々に憧れ、18歳のとき写真家を志す。写真家 竹内敏信氏の助手を経て、1997年より写真家として活動を開始。日本列島を主なフィールドに、生命に溢れる万物の姿を見つめ続けている。写真集に「泉の森」、「春恋し-桜巡る旅-」など著書多数。「平成・桜・福島」、「生々流転」、「泉の森」など、全国各地で写真展を毎年開催している。作家活動のほか、写真は企業カレンダーなどの広告物に採用。講演会や写真セミナーなど、各種イベントに登壇。また、カメラメーカー、写真専門誌、省庁、新聞社が主催するフォトコンテストの審査員を務めるなど、写真が生み出す楽しさを届けたく、幅広く活動を続けている。 公益社団法人 日本写真家協会 会員(JPS)

進化を遂げて完成形の域に達した「α7R V」が
自然風景のリアルな世界を再現する

みなさん、こんにちは。写真家の福田健太郎です。私は日本各地を巡って自然風景を撮影している写真家になります。ここでは写真の楽しさ、カメラの素晴らしさや面白さなどをお伝えできればと思っていますので、よろしくお願いいたします。 私がメインに使っているカメラは、35mmフルサイズセンサーを搭載しているデジタルカメラ「α7R V」です。有効約6100万画素という高画素機で、4Kや8Kも撮れる動画機能、広いダイナミックレンジなどが特徴で、手ブレ補正が備わっていることで気軽に手持ち撮影ができるのも強みです。そして、約944万ドットの高精細電子ファインダー。大きく見やすい、クリアなファインダーは被写体と向き合う際にとても重要になります。 初代の「α7R」が登場して約10年が経ち、「α7R V」は第5世代のモデルになります。私はずっと使い続けていてとても気に入っているのですが、自然風景を撮影する私にとってはすでに完成域に到達していて、私の撮影領域であればこのスペックで十分に幸せだな、と思うくらい進化しています。それほど安心して皆さんにもおすすめできるカメラに成長しました。 今回は、私が出会った自然風景の作品を持ってきましたので、皆さんに見ていただきたいと思います。まずはこちら。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 18mm,F14,5秒,ISO100

熊本の菊池渓谷から少し下ったところにある小さな滝を撮影しました。苔むした、しっとりとした質感をリアルに再現してくれていて、有効約6100万画素の高精細カメラだからこそ撮れた世界です。 画面右上、滝のハイライト部分を見てください。まったく白飛びがなく、柔らかく滑らかな階調再現です。画面左上はシャドウ部になりますが、暗部までディティールが見えるほどしっかりと再現してくれました。また、リアルな質感を重視して仕上げる場合、絞り値を上げる必要があります。このシーンでは手前側の木から奥の滝の風景まで多少距離があったので、画面の真ん中にある1本の木より少し奥にピント合わせて、F14まで絞り込んで撮影しました。シャッター速度は5秒なので、しっかりと三脚を据えて静かにレリーズを切っています。

空気感まで写し撮るのも高解像ならでは。
クリエイティブルックで好みの雰囲気に仕上げる

次は山口県の秋吉台です。秋の爽やかな風に運ばれてきた、筆で払ったような雲の繊細な質感に心を惹かれて撮影した1枚です。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 18mm,F11,1/20秒,ISO200

こういった風景には高解像度は必要ないのではないかと思うかもしれませんが、とんでもない。やはり空気感ですね。抽象的なものになりますが、「気配」や「漂う空気」まで再現してくれるのが高画素機の特徴でもあります。 シャッター速度が1/20秒ですが、手ブレ補正が効いているので地上の風景もブレなく、細かい部分までしっかりと解像してくれました。もし手ブレ補正がない状態で1/20秒で撮影した場合、少し不安定な姿勢だとピントが甘くなってブレてしまいます。そういうところをしっかりと補ってくれる、抑えてくれる、という意味では手ブレ補正は絶対に必要です。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 28mm,F8,1/200秒,ISO200

上は、霧ヶ峰の車山高原で出会った風景です。階調再現がとても滑らかなので、帯状に漂うモクモクとした雲のトーンは惚れ惚れするぐらいしっかりと見せてくれています。彩りの派手さはありませんが、ふと、「ああ、心地がいいな、ここに佇んでいて幸せだな」と思ったので、広い安らかな世界を表現しました。 先ほどの秋吉台の青空は「VV」というクリエイティブルックで、派手に、色鮮やかにスカッと爽やかな青空を表現しましたが、こちらはクリエイティブルックを「PT」に設定しています。自分の心と会話をしていて、派手めに仕上げるのではなく、もう少し忠実に、より柔らかな表現で優しく捉えたいと思って「PT」を選びました。こちらはポートレートにおすすめしているモードですが、風景撮影でもどんどん使ってみてください。印象の違う作品に仕上げることができますよ。

広い風景を立体的に見せるための技を伝授。
色の組み合わせも印象的に見せるポイントに

広い風景を撮影する場合、のっぺりと平面的にならないように見せる工夫が必要です。そのためにはどうすればいいかというと、一番わかりやすいのは手前にポイントとなる目立つ被写体を置くこと。さらに、手前、中景、遠景と、距離の異なるものを組み合わせていくと平面的にならず、奥行き感を生み出しやすくなります。

α7R V,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F11,1/160秒,ISO100

上の作品も手前、中景、遠景の組み合わせを意識したというか、無意識にそう撮ったものですね。5月下旬から6月中旬くらいに九州のくじゅう連山に咲く「ミヤマキリシマ」というツツジの花園です。一面が色鮮やかなピンクに染まるとても美しい場所ですが、2時間ほど山を登らないと辿り着くことができません。ですから、この別世界に着いた時の喜びはひとしおです。私がここに着いた時は、「この一期一会の風景をしっかりと捉えなくては」と、ひと呼吸してから撮り始めました。上の作品はしつこいくらいに撮影した中の1枚になります。 この年は残念ながら花の付きが良くなかったので、いい場所を探してポジショニングやアングルを吟味。その結果、手前にボリューム感のある花を置き、広角レンズで広がり感を誘い出し、少し離れた山を添えて奥行きを生み出すことしました。鮮やかなピンクだけでは少し物足りないので、山のグリーンと空のブルーをプラス。このように暖色と寒色を合わせるなど、色のコンビネーションでも目を引くことができます。 実はこれ、けっこうハイアングルで撮影しているんですよ。立った状態でファインダーを覗くと高さが足りなかったので、手を伸ばしてカメラを上げて、バリアングル液晶モニターを自分が見やすい角度に調整して撮影。極端なハイアングルやローアングルでは、バリアングルモニターが活躍してくれますね。

光の入り方によって劇的に画が変わる。
逆光で撮ればドラマチックな作品に

下の作品は望遠レンズ「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」を使って撮影したカキツバタの風景です。優美な佇まいが平面的にならないように、手前の画面右側から広がるカキツバタをメインに、反対側からせり出してくるカキツバタを左上に重ね合わせて奥行きを生み出しています。

α7R V,FE 70-200mm F2.8 GM OSS II 200mm,F11,1/20秒,ISO100

さらに、光もポイントです。朝の光がスッと、わずかなところに差し込んだ瞬間を逃さずに撮影しました。明るいところだけではなく、暗部もうまく取り入れた作品です。 風景写真で被写体を探す時のセオリーとして私が実践しているのは、太陽に向かって見ていく、ということです。そうすれば皆さんもきっと、ドラマチックで心奪われる風景に出合えるでしょう。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 35mm,F11,1/50秒,ISO100

上は川霧が発生する中で撮った作品です。頭の後に太陽がある状態、つまり順光ではこのようにはっきりと靄が現われずに、のっぺりとした風景になってしまいます。逆光にするだけで、このように光のシャワーを浴びるような劇的な風景に出合えるので、ぜひ逆光になる場所を探してみてください。 この写真が撮れて「あー、満足」ではなく、もっと違う表情、素敵な瞬間はないかと貪欲に探していくと、水辺に小さな花を見つけました。花のところに蜘蛛の糸が宝石のように輝いていたのですが、このキラキラ感も逆光でなければ捉えることができません。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 16mm,F2.8,1/500秒,ISO100

広角レンズでグッと近寄ると小さな被写体を大きく写し、奥の風景は広範囲を見せてくれて、風景の広がりも与えてくれます。これだけ滑らかなぼけ描写が得られるので「花の撮影ではマクロ撮影が多い」という皆さんも、広角レンズを積極的に撮影に取り入れてみよう、と思っていただけたのではないでしょうか。

シャッター速度を変えれば写真表現も変わる。
星景撮影のおすすめレンズも紹介

先ほどは絞りのお話をしましたが、風景をガラッと変えるためにはシャッター速度も大事な選択になります。

α7R V,FE 16-35mm F2.8 GM II 20mm,F14,2.5秒,ISO100

こちらの作品も逆光で撮影していますが、しぶきが上がって光の筋が現れたんですね。その筋を目立たせたいという思いで、少しスローシャッターで捉えています。荒々しさや激しさ、勢いを誘い出したい時にはしぶきを止めたいので、1/500秒とか1/1000秒、もっと接近している場合には1/8000秒といった高速シャッターで撮影しますが、ここではわざと流して、光の筋を強調しました。 次の作品も星景なので、シャッター速度が肝になります。星空の撮影は月明かりや街明かりがない場合、ISO感度は3200、絞り値はF2.8、シャッタースピードは30秒というのが私の基本設定です。

α7R V,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,25秒,ISO3200

これは「FE 14mm F1.8 GM」という短焦点の明るいレンズを使っているので、短いシャッター速度でもきっちりと満天の星空を捉えることができます。フレーミングを決めやすく、ピントも合わせやすい、とても明るいレンズだからこそ撮れた1枚です。 実際には、真ん中にある1本のシラカバが肉眼ではほとんど見えていない状態でした。それだけ真っ暗闇でしたが、カメラもレンズも優秀なので、ファインダーをのぞくとワッと浮き上がらせてくれました。 私はこのように、日本の四季折々の風景を撮影しています。その季節にしか見ることができない風景が日本にはたくさんありますので、ぜひぜひカメラを持って、皆さんそれぞれの出会いを楽しんでいただければと思います。本日はありがとうございました。

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