α Universe editorial team
スリランカ 紅茶列車 ナヌ・オヤ〜アンベウェラ
大型のディーゼル機関車が素朴な客車を牽引する様子は異国ながらどこか懐かしさを感じる。α1の描写力は茶畑の葉1枚1枚まで高精細に表現する。まるでその場に立って見ているような臨場感が伝わってくる
紅茶の香りに誘われて
スリランカで紅茶列車を撮る
今回の冒険の舞台はスリランカ。国土のほとんどを占めるセイロン島は、北海道よりも少し小さい島だが、1,500kmを超える鉄道網が構築されている。メインラインと呼ばれるのは、スリランカ最大の都市コロンボからパドゥッラに至る区間で、この地を統治していたイギリスが、1858年に紅茶などを運搬するために敷設したと言われる。今回は高原区間を走る通称「紅茶列車」と、海岸線が美しいコロンボ周辺の鉄道風景を狙った。
スリランカは初探訪だったため、治安の良しあしが分からず、飛行機や列車、トゥクトゥクなどを駆使しての撮影が予想された。そこで重要なのは、撮影機材をできるだけ軽く小さくまとめて、肌見離さず携帯できるようにすること。小型・軽量のボディであるα1とα9 III。II型になってさらに軽量になったG Masterのいわゆる大三元ズームは、最高のクオリティーと携帯性を兼ね備える、最強の相棒となった。
コロンボ・フォート駅から列車で約5時間半、標高1,614mのナヌ・オヤ駅は、肌寒いくらいの空気に包まれていた。この周辺はハイグロウンと呼ばれる高級紅茶の産地として知られている。駅を出て少し歩くと、すぐに線路の周りにお茶畑が広がっていた。茶摘みの機械化に合わせて規格化された日本の茶畑と違い、急斜面もそのままに畑の中に木が立ったままの茶畑は、日本より素朴な印象。手摘みでお茶を収穫する女性たちはカメラを持った日本人が珍しいらしく、みんな笑顔で手を振ってくれる。そんな優しい空気の中に現れた紅茶列車は、初めてなのにどこか懐かしい、郷愁を感じさせてくれた。
<Photo Technique>
海外の撮影に最適な小型・軽量のαシステム
海外の撮影では置き引きなどによる盗難のリスクもある。そのため機材はレンズ交換のときなどを含め、地面には絶対に置かず、肌見離さず持てるようにすることが望ましい。カメラバッグは小型で斜めがけできるものをチョイス。そこにα1、α9IIIのボディ2台と、G Master大三元ズームの3本(FE 16-35mm F2.8 GM II、FE 24-70mm F2.8 GM II、
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II)と単焦点のFE 14mm F1.8 GMを入れ、バックパックに
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSと三脚を入れるのが中井流。
機材の盗難は冒険の終わりを意味する。スリランカは治安に不安を感じなかったが、用心することに越したことはない。左のように撮影時も列車待ちの間も、常にカメラバックは斜めがけで、望遠レンズは背負うというスタイルを貫いた。右は今回の機材とカメラバッグ。この装備で撮影に挑んだ。
スリランカ 紅茶列車 エッラ〜デモダーラ
スリランカ国鉄最大の絶景ポイントであるナインアーチブリッジ。太陽の高度が高く、光線も強いので、列車の側面がつぶれがちだが、ダイナミックレンジの広いα1ならば問題なく表現できる
スリランカ 紅茶列車 コルピティヤ〜バンバラピティア
コロンボ周辺の海沿い区間は紅茶列車が走る高原区間とはまったく違う表情を見せてくれる。グランベルホテル・コロンボのトレインビューの部屋を指定して、テラスから俯瞰撮影した
スリランカ 紅茶列車 コロンボ・フォート〜マコロンボの街のランドマークであるロータス・タワー。高さ350mでその名のとおり、スリランカの国花であるハスをモチーフにしている。夜空に花を咲かせるような夜景も美しい
スリランカ 紅茶列車 ナヌ・オヤ駅付近
スリランカ国鉄では懐かしい腕木式信号機も健在。リクライニング式の1等車が快適だが、窓が開く3等車がおすすめ。スリなどには要注意だが、昔ながらの汽車旅を堪能できる
スリランカ 紅茶列車 デモダーラ駅付近
紅茶列車はデモダーラの駅を出るとループ線にさしかかる。山の中腹から見下ろすと、線路がループしているのが良く分かり大興奮。まるで鉄道模型のジオラマのようだ
<ADVENTURE EPISODE>
石造りの美しい橋 ナインアーチブリッジ
ナインアーチブリッジは、紅茶列車最大の絶景。駅からトゥクトゥクで30分以上かかる不便な場所だが、世界中から観光客が詰めかける撮影映えする名所だ。
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