Adventure TRAIN 第21回 山形新幹線つばさ
鉄道写真家 中井精也 氏
中井精也がαと旅する鉄道冒険記
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします
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風光明媚な景色の中を走る
新型E8系つばさを追いかけた
今回の冒険の舞台は、昨年に新型のE8系つばさ号が登場した山形新幹線。新幹線という名称ではあるが、福島駅から新庄駅までは在来線である奥羽本線を走るため、変化に富んだ風景と一緒に撮影できる。E8系新幹線は、シャープなデザインと山形にちなんだカラーリングでインパクトは十分。奥まったライト位置を採用した独特なデザインのせいか、格好良いと同時にかわいらしい「カッコカワイイ」が僕の第一印象だ。
α9 IIIを手に入れてから5カ月がたち、α1とα9 IIIの2台体制もすっかり板についてきた。瞬間を逃さず、高画素を生かした高精細な画作りをしたいときはα1、グローバルシャッターならではのゆがみのない描写力と最大約120コマ/秒という超絶連写が必要なときはα9 IIIというように、シーンに合わせて適切にカメラを選択できるのが心強い。僕にとってのメインカメラはやはりα1ではあるが、α9 IIIもなくてはならない存在となっている。 まだ少し早いかと思いつつ田に行ったら、すでに水田の風景が広がっていた。農家の人たちによれば、今年は雪が少なかったため、初夏に予想される水不足への備えとして、いつもより早く田に水を入れたそうだ。シートを敷いてゴロンと寝転び、水面ギリギリにα1を構えE8系を待つ。もちろん狙いは水鏡だが、風がなかなか止まず、時間だけがじりじりと過ぎていった。しかし列車の時間が近づくと風は止み、波立っていた水面がうそのように静まった。そしてα1が写し止めたのは、どちらが実像か鏡像かも分からないほど、完璧なシンメトリーの世界。心が震えた。
<Photo Technique>
中井流、流し撮り時の設定はこれだ!
列車の流し撮り時、僕は流し撮りをサポートする手ブレ補正MODE2に設定できるFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIを選択する。α1やα9 IIIとの重量バランスも良く、手ブレ補正のMODE2を搭載したこのレンズは、飛躍的に成功率を高めてくれるからだ。フォーカスは親指AFに設定し、フォーカスモードは「AF-C」、フォーカスエリアは「トラッキング:スポットM」で決まり。あらかじめ置いた測距点に列車が重なったら、親指でAFを追従させながら、人差し指でシャッターボタンを押すことで、「半押し」を意識せずにカメラのパンに集中できるのだ。ファインダーのフレームレートを「より高速」にしておくと、列車を追いやすくなる。
山形新幹線 奥羽本線/村山〜袖崎 独特なスタイルを持つE8系つばさ。かわいさより格好良さを強調するためにローアングルで狙った。近い距離を高速で過ぎ去るシーンだが、α9 IIIの最高約120コマ/秒連写なら確実に捉えられる
山形新幹線 奥羽本線/板谷駅 板谷峠にある各駅の名物であるスノーシェッド。暗闇の列車の側面に、外で輝く新緑がE3系の側面を緑に染める瞬間を狙う。光沢感のある滑らかな緑の描写が見事だ
山形新幹線 奥羽本線/山形〜北山形 よりシャープな印象を高めるため、紅花色のラインから上の部分を超望遠レンズで切り取った。車両を観察し、一番格好良いと思う部分を強調するのが中井流
山形新幹線 奥羽本線/高畠〜赤湯 運良く夕方のつばさ運用にE8系が入ったので、再び水鏡の水田へ。肉眼ではほぼ夜に近い暗さだったが、α1は見事に写してくれた。ISO 12800とは思えない驚愕の好感度画質だ
<ADVENTURE EPISODE>
新幹線の運行情報はJR東日本アプリが便利
増強が進むE8系がどの列車に割り当てられるのかを調べるには、「JR東日本アプリ」が便利。「運行状況」→「列車走行位置」に進むと、イラスト入りで形式が確認できる。ただし運行は変更になることもある。
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