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撮影を強力にサポートしてくれる Monitor & Control

撮影監督 金戸聡和 氏

α Universe editorial team

金戸聡和/撮影監督 撮影監督。東京都生まれ。テンプル大学入学後、広告カメラマンだった父、金戸聡明に師事。在学中にスチル・ムービー問わず様々な現場にてアシスタントを経験。株式会社マリモレコーズにてキャリアをスタート。 現在では、広告写真、CM撮影、VP、ライブなどの撮影業務に携わり、フリーランスとして活動する。自由が丘にて撮影スタジオを所有。 ●Monitor & Controlとは?詳しくはこちらから

アプリのサポートにより、フォーカシングの手間から解放され、
映像表現のクオリティアップ

――金戸さんは、普段どのような映像制作に携わられているのでしょうか? TVCMやWeb CM、VP(Video Package)、音楽ライブ、生配信など、色々なジャンルの案件を日頃から行っています。元々はスチルカメラマンとしてキャリアをスタートしたこともあり、広告写真の仕事も行っています。

動画に関して言えば、最近では撮影監督として現場に入ることが多く、オペレーションをカメラマンに任せて、画作りを総合的に統括することも増えています。もちろん自分で撮影をすることも当然あり、日々自らの立ち位置を変えながら、お仕事をさせて頂いています。 予算や時間に余裕がある現場の方が少ないため、各現場でどの機材を導入するか最適解を求めることに注力しており、そこが楽しいことでもあり、悩ましいことでもあります。 その時に重要視するのが、カメラ重量とフォーカシングです。ディレクターに求められるカメラやレンズは当然異なり、必要とされるカメラマンのスキルも異なります。手持ちなのかジンバルなのか。AFで乗り切れるのか、全編MFなのか。様々なシチュエーションがあり、被写体に合わせたカメラと設定が重要です。

――ソニーの映像クリエイター向けのアプリ「Monitor & Control」をお使いいただいているとのことですが、活用方法について教えてください。 「Monitor & Control」がリリースされる以前は、カメラから数メートル離れた位置でRECコントロールをする案件が定期的にあり、LANC用ケーブルを延長して外部コントローラーを使用していました。しかし有線接続を行うことが煩わしかったり、別途モニターが必要だったりと、ひと手間かかってしまうことは、決してベストな環境とは言えませんでした。 しかし、「Monitor & Control」がリリースされてからは有線接続することなく、アプリでカメラ設定の変更やRECのON/OFFを行えるようになりました。直近では、ヘアサロンのヘアショーの演出から撮影、配信まで手掛ける案件があり、そこでも「Monitor & Control」を使用しました。

参考: 金戸さんが手掛けられた「 ZENKOヘアショー2024

――今回の案件では、金戸さんはどのような役割を担当されたのですか? 今回は、テクニカルディレクターとして参加し、計5カメ(4台のFX6と1台のα7S III)の機材セレクトに加え、私自身もステージセンターの寄りカメラ(FX6 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS)を担当しました。

――ヘアショーの案件で特にどういうことに意識して、撮影に臨まれたのでしょうか? 人が主役ではなく、あくまでも主人公は「モデルの髪の毛」というところが、この案件の特徴であり、撮影面でも難しい点がありました。 フォーカスのメインは髪。ヘアショーの場合、3次元の奥行き感のある独創的なヘアスタイルなどもあるため、目にフォーカスが合焦させると、最も見せたい髪の毛とフォーカスがずれることが考えられ、AFの顔認識機能はOFF、場合によってはMFで撮影せざるを得ない状況で、正確なフォーカシングが求められました。 そんな中、「Monitor & Control」の「フォーカスマップ」機能が、MF時の強い味方になる特筆すべき機能だと感じています。

フォーカスマップの仕様は、パッと見た限りはフォルスカラーに似ていますが、実はもっとシンプル。フォーカスが合焦部分はクリーンに表示され、被写界深度の奥が青、手前が赤と、被写界深度に合わせてフォーカスの非合焦部分が色分けされる機能です。さらに絞り数値とミリ数も当然数値化されているため、被写界深度の深さの変化もしっかり表示されます。ディスプレイ上は2Dでの表現ではあるものの、2色の色だけで被写界深度を3Dのように感じられるのが素晴らしいです。 ピーキングで合焦部分を確認する場合だと、一度フォーカスが外れてしまうと、外れた部分が奥なのか手前なのかがわかりにくく、「フォーカスを探り直す」ことが発生してしまうことがあります。しかしフォーカスマップであれば、一度外れたフォーカスも、狙いたい部分の色が赤/青の違いで表示されるので、瞬時にフォーカスのズレを修正できる!これがスゴい!

――フォーカスマップが視覚的に分かりやすく、直感的な操作に繋がっているのですね。「Monitor & Control」は、最大4台までのマルチカメラモニタリング機能にも対応しましたが、金戸さんにとってこの機能はいかがでしょうか? はい、普段の撮影案件で、複数台で撮影に臨むことはよくあるので、大変興味をもっていました。 ちょうど先日、撮影案件として、サックス奏者の小林香織さんのライブがBillboard大阪で開催され、FX6が4台、FX3が2台、α7S IIIが1台の計7カメでの収録を行う機会がありました。 7台の内訳は、有人カメラが3台、電動スライダーに載ったリモート雲台カメラが1台、無人カメラが3台。過去、無人カメラを使用して幾度となく露出ミスやフォーカスミスなどが起きたこともあり、ここぞとばかりに2台のiPadを使用して、合計7台のカメラで、Monitor & Controlのマルチカメラモニタリング機能を使って撮影を行いました。

会場はそれほど大きくなく、収容観客数も約300人程の規模ではありますが、ステージ上を含め、会場中にカメラを配置。我々のモニタリングをする場所はステージ上手にあり、最も離れたカメラでも最大14mくらいでした。

マルチカメラモニタリングでは、同時に最大4台まで分割画面でモニタリングが可能。分割方法は2種類あり、4分割マルチビューと、水平方向4画面マルチビューがあり、水平方向4画面では、収録セッティングが確認できます。1台のiPadには4台のFX6をモニタリングし、もう一台にはFX3とα7S IIIの3台をモニタリングをしました。

4分割マルチビュー

水平方向4画面マルチビュー

無人カメラを配置する場合、フォーカスや露出は常に不安材料です。本番前に合わせたフォーカスも、「さっき合わせたフォーカスは本当にあっているのだろうか…」という感情が本番中に突如襲ってくることもあり、急に集中ができなくなることも多々…。しかし今回は有人カメラを含めたすべてのカメラ設定を常時確認できることで、心が乱れることがなく、ディレクションに集中ができました。 また、水平方向に並んだマルチビュー画面が想像以上に使いやすいです。各カメラの設定比較をつぶさに確認できる表示方法は、実にありがたく、撮れている画の監視だけでなく、4台の設定の監視も行えるのは、非常に安心できました。しかも、それぞれの画面をタップすることで、マルチビュー画面が解除され、通常の「Monitor & Control」に切り替えができるため、何か気になるカメラがあった場合は1台だけのカメラモニタリングに切り替えて、露出やフォーカスの確認が行えたのもよくできた仕様だと思います。 実は、10mくらい離れた無人カメラ1台の収録コーデックを本番中に変更したいことがあり、その際、モニタリングを1台だけにして、RECを一度ストップ。すぐに収録コーデックを変更し、再びRECをスタートする、というようなことがありました。結果として、エラーが発生することなく、コーデックの変更を行え、アプリの安定感の高さに驚かされました。 ちなみに、今回は無線LANルーターを現場に持ち込み、アクセスポイント設定にして、4台のカメラをそのアクセスポイントへ接続しました。無線LANはネットワークには接続していません。各カメラ側でWi-Fiから指定のネットワークを選択し、ルーター側のWPSボタンを押すだけでOKです。それだけでカメラ4台の接続ができています。

――アプリを使われていて、改善を希望する点もありますか? はい。総じて満足して使っていますが、改善を要望したい点もあります。 まず1つは、iPad上で確認できるカメラの転送フレームレートの低さです。カメラのフレームレートは23.976fpsで撮影していましたが、iPadへ4台同時接続をする際、各カメラのiPadへの転送フレームレートは6fpsを下回る場面もあり、スムーズな視聴が、厳しい場面があったことです。 また、画質面に関しても、無線LANのため、常に良好とは言えない場面もありました。この点は、今後の改善を期待したいとおもいます。

――最後に総評をおねがいします。 カメラに触らずとも、カメラの設定の変更ができ、そしてモニタリングができるアプリ。いつかこういう時代が来ると思っていましたが、ようやく安定して運用できるアプリが登場したと感じています。 今回のアプリのような技術革新により、最終成果物の私の映像クオリティは、確実に上がってきていると思います。こういったサービスを積極的に取り入れることで、カメラマンは、よりフレーミングに集中できたり、あるいは、撮影時の心の余裕が出ることで、これまでは気が回らなかった演出面などへも気を配り、ディレクターの立ち回りも意識したカメラワークを心掛けることができるようになるのではないかと思います。

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