α9 III まだ見ぬ究極の表現を追い求めて Vol.4
鉄道写真家 山下大祐 氏
山下大祐氏/鉄道写真家 1987年兵庫県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。鉄道を制作活動の舞台としてスチル、ムービー問わず作品作りに注力している。広告、鉄道誌、カメラ誌等で活動。αアカデミー講師、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。
走る列車のクローズアップは、歪みのない描写が可能な上、グッとアップで迫ったことで、肉眼では追えていなかった小さな季節感が見えてきた。フラッシュ撮影では連写と発光量の面で有利になり、鉄道撮影にも応用しやすくなったと感じた。鉄道撮影で絶対的にこだわりたい“瞬間を撮る”ことで広がる世界がある。α9 IIIでは、これまで当たり前だった制約から解放され、もっと自由にその瞬間を表現できると感じた。
動体歪みのないα9 IIIにはうってつけのカット。カメラを三脚に固定しファインダーではなく実物を見ながら要所で高速連写する方法で撮影した。旅情を掻き立てる乗客のシルエットを狙ってのことだったが、そこには夏を思わせる麦茶のボトルが写っていた。肉眼では麦茶かどうかまではわからなかったが、α9 IIIの高速連写で逃すことなく写し止められたこの小さなアイテムに思いがけない旅情を感じて、お気に入りの作品となった。
ひまわり畑のなか、一輪だけ抜きん出た背丈のものがあったのでそれをメインにして撮影した。太陽を重ねて空に後光を思わせるトーンを出し、色の出ない花の正面に対してフラッシュを当てた。全速同調ができるため、高速シャッター時も大光量が確保され、すなわち連続撮影にも向いている。鉄道撮影においてもフラッシュ撮影との親和性が高く、さらに積極的に活用していきたいところだ。
列車が緑に囲まれて見える場所を選び、線路まわりの現実感あるモノが目立たないよう超低速シャッターでの流し撮りを選択した。冒険的な流し撮りは、ファインダーの見やすさが撮影の成否を左右する。その点で、EVFの高い解像感と極めて少ない表示タイムラグがこの作品を支えている。流れた背景に動体歪みが出ないのもα9 IIIのメリットだ。
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