Adventure TRAIN 第24回 三岐鉄道 三岐線
鉄道写真家 中井精也 氏
中井精也がαと旅する鉄道冒険記
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします
子どものころにひそかに楽しんだ冒険を大人になった今、写真で再現する
2年間続いたこの連載も、今回が最終回。ラストの場所に選んだのは、息を飲むような絶景路線ではなく、昔ながらの鉄道旅情を残すローカル線の三岐鉄道三岐線だ。僕は少年時代を東京都杉並区の阿佐ヶ谷で過ごした。飯田橋にあった学校へは国電でまっすぐ行けるが、鉄道ファンだった僕は親に内緒で、鷺ノ宮駅から西武新宿線で通学するのがひそかな楽しみだった。いつもと違うルートで、いつもと違う電車に乗るだけで、気分はもうアドベンチャー(笑)。あのワクワクした気持ちは今も色あせることなく、新鮮に思い起こせる。三岐線は、僕が少年時代に乗った西武電車や、私鉄としては珍しい貨物列車が現役で走り続けている。少年時代に感じたワクワクを求めて、αと旅に出た。
鈴鹿山脈に強烈な夏の太陽が沈むと、田園を渡る風が優しく顔をなでた。そこへやって来たのは、西武電車の塗装を復刻した「赤電」だ。僕たちの世代ではおなじみの西武フェイスと、手書きの方向幕が郷愁をそそる。夕焼けを受け、その側面が鈍く輝いたとき、使い込まれた車両ならではの質感が美しく浮かび上がった。デジタルカメラでは表現が難しい夕焼けのグラデーションを、α1は見事に捉えてくれた。47年前、小学校の帰り道に西武線の線路脇でハーフサイズのフィルムカメラを構え、うまく撮れないと嘆いていた僕。周りの風景は違うけれど、この写真はまさにあの頃の僕が撮りたかった作品そのものであった。大好きなカメラで、大好きな被写体を撮る喜びは、ここで終わることはない。僕とαの冒険は、これからも続いていく。
<Photo Technique>α9 IIIの高速連写の確認はグループ表示がおすすめ
α9 IIIは連写モード「Hi+」で最高約120コマ/秒という超高速連写が可能になるが、例えば列車が来る前の試し撮りで数秒シャッターを切っただけでも、不要な写真が膨大に撮れてしまう。記録容量を温存するためには、試し撮りのカットはすぐに消したいところだが、撮影枚数が数百コマになるとかなり大変だ。そんなときに便利なのが、「グループ表示」機能だ。連写カットごとにグループ表示されるので、不要な写真をまとめて消去できる。
<ADVENTURE EPISODE>三岐鉄道で走る列車のバリエーションは豊富
懐かしい西武鉄道の車両が活躍する三岐線。JRから211系電車が譲渡され、順次投入される予定で、その活躍もあとわずか。貨物列車と合わせて、ぜひ撮影しておきたい。
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