
Adventure TRAIN 第24回 三岐鉄道 三岐線
鉄道写真家 中井精也 氏
中井精也がαと旅する鉄道冒険記
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします
三岐線 丹生川~三里藤原岳をバックに力走する貨物列車。今や絶滅危惧種と呼んでもよい貴重な鉄道風景だ。牽引するのは昭和45年製造の古豪、ED5081+5082。パンタグラフと電柱が重ならないように、α1の高速連写で切り取った
子どものころにひそかに楽しんだ冒険を大人になった今、写真で再現する
2年間続いたこの連載も、今回が最終回。ラストの場所に選んだのは、息を飲むような絶景路線ではなく、昔ながらの鉄道旅情を残すローカル線の三岐鉄道三岐線だ。僕は少年時代を東京都杉並区の阿佐ヶ谷で過ごした。飯田橋にあった学校へは国電でまっすぐ行けるが、鉄道ファンだった僕は親に内緒で、鷺ノ宮駅から西武新宿線で通学するのがひそかな楽しみだった。いつもと違うルートで、いつもと違う電車に乗るだけで、気分はもうアドベンチャー(笑)。あのワクワクした気持ちは今も色あせることなく、新鮮に思い起こせる。三岐線は、僕が少年時代に乗った西武電車や、私鉄としては珍しい貨物列車が現役で走り続けている。少年時代に感じたワクワクを求めて、αと旅に出た。

鈴鹿山脈に強烈な夏の太陽が沈むと、田園を渡る風が優しく顔をなでた。そこへやって来たのは、西武電車の塗装を復刻した「赤電」だ。僕たちの世代ではおなじみの西武フェイスと、手書きの方向幕が郷愁をそそる。夕焼けを受け、その側面が鈍く輝いたとき、使い込まれた車両ならではの質感が美しく浮かび上がった。デジタルカメラでは表現が難しい夕焼けのグラデーションを、α1は見事に捉えてくれた。47年前、小学校の帰り道に西武線の線路脇でハーフサイズのフィルムカメラを構え、うまく撮れないと嘆いていた僕。周りの風景は違うけれど、この写真はまさにあの頃の僕が撮りたかった作品そのものであった。大好きなカメラで、大好きな被写体を撮る喜びは、ここで終わることはない。僕とαの冒険は、これからも続いていく。
<Photo Technique>α9 IIIの高速連写の確認はグループ表示がおすすめ
α9 IIIは連写モード「Hi+」で最高約120コマ/秒という超高速連写が可能になるが、例えば列車が来る前の試し撮りで数秒シャッターを切っただけでも、不要な写真が膨大に撮れてしまう。記録容量を温存するためには、試し撮りのカットはすぐに消したいところだが、撮影枚数が数百コマになるとかなり大変だ。そんなときに便利なのが、「グループ表示」機能だ。連写カットごとにグループ表示されるので、不要な写真をまとめて消去できる。


「再生メニュー」→「再生オプション」から「グループ表示」を選択することで、連写ごとに撮れた写真をまとめて表示できる。そこでゴミ箱ボタンを押し、「このグループの全画像削除」を選べば、不要な画像を一気に消去できる
三岐線 丹生川~三里昭和50年代に西武線で活躍した701系をほうふつとさせる801系赤電。まるで記憶の中の風景を写せたような感動を覚えた。α1ならではの美しいグラデーションの描写にも注目したい
三岐線 丹生川~伊勢治田鈴鹿山脈から生み出された清流が輝く青川。その清廉な流れギリギリの高さにα9 IIIを構えて迫力ある風景を切り取った。自由自在に動くα9 IIIの4軸マルチアングル液晶モニターが実に役立つ
三岐線 丹生川~伊勢治田緑一色の夏景色。色を探してウロウロしていたら、ヒメジョオンを見つけたので前ボケにして撮影。こんなシーンでは、かなり遠くの位置に列車を配置して、列車にピントを合わせるのがコツ
三岐線 西野尻駅車両だけでなく、沿線風景もどこか懐かしい三岐線。何気ない駅の風景も、実に絵になる。最新のカメラで沿線を歩けば、まるで記憶の中を旅しているような錯覚をする
三岐線 山城~保々藤原岳をバックに走る801系赤電。この風景が見たくて訪れたと言っても過言ではない、いつまでも残してほしい名風景。車両置き換えが迫る今、迷っている猶予はもうない
<ADVENTURE EPISODE>三岐鉄道で走る列車のバリエーションは豊富
懐かしい西武鉄道の車両が活躍する三岐線。JRから211系電車が譲渡され、順次投入される予定で、その活躍もあとわずか。貨物列車と合わせて、ぜひ撮影しておきたい。
記事で紹介された商品はこちら
ワンクリックアンケートにご協力ください

αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。
