鉄道絶景+α 第1回八戸線(青森県〜岩手県)
鉄道写真家 中井精也 氏
波が打ち寄せてはしぶきが上がる。しぶきと列車のタイミングが合うことを祈りながら待つ。列車が最高の位置に来たとき、α1の連続撮影Hi+(最高約30コマ/秒)で撮影。見事に迫力ある一瞬を捉えてくれた。
αと一緒に新たな鉄道絶景を探す旅へ
今月からスタートする新連載は、ずばり「鉄道絶景」がテーマ。α1をはじめとしたαシリーズのカメラとG Masterを中心としたレンズ群を駆使して捉えた日本の鉄道絶景をご覧いただきたい。
第1回目は青森県と岩手県の太平洋沿岸を走る八戸線。太平洋に沿って走るものの、線路脇に防風林なども多く、海と列車を絡めて撮影するのは難易度が高い。撮影地探しをじゃまするのは、意外にも撮り手の「経験」だったりする。人の行動は、経験があればあるほどワンパターンになりがちだ。何度も訪ねていても、つい同じ道を通り、同じ角度で狙い、代わり映えしない写真を撮ってしまう。右ページの鮫角灯台と列車が撮れる場所は、何度も訪ねていたのに、今回のような構図で撮れることを長年見逃していた。この場所は、灯台のすぐ脇を列車が走る抜群の立地にもかかわらず、いつも灯台の真下から縦位置で撮る構図で満足していた。しかしよく周囲を見てみると、行けないと思いこんでいた場所に遊歩道があって、そこでFE 14mm F1.8 GMを使うと、列車と灯台をスッキリと撮れることが分かった。代わり映えしないときは思い切ってレンズを変えてみるのも手だ。視点が変わることで新しい場所の発見にもつながる。Eマウントレンズは小型で高画質なので、さまざまなレンズを積極的に持っていきたくなる。今回はα1とα9 IIIの2台体制で撮影したが、あらゆる動体撮影に対応する瞬発力と圧倒的な描写力を誇るα1と、確実にチャンスを逃さず、ゆがみのない描写力でここぞというときに威力を発揮するα9 IIIは、本当に良い組み合わせだと再認識できた。この連載を通して、相棒であるαと、どんな鉄道絶景に出合えるのか? 今、胸の高まりが止まらない。
<Pickup LENS>FE 85mm F1.4 GM II
FE 85mm F1.4 GMは僕が愛用してきた名レンズ。II型になって、小型・軽量になり、さらに描写力も格段に向上した。高い解像度とまろやかなボケにはさらに磨きがかかり、最新のコーティングが施されたことで、どんな条件でも最高の画質を生み出す。開放F値の明るさから、夜間撮影でも威力を発揮する。
<Photo Technique>絶景場所は時間を変えて何度も挑戦
1つの絶景を見つけても、簡単には満足しない。鮫角灯台では朝焼けの風景を狙ったが、青い海に白い灯台が映える日中の時間もさわやかだ。2枚の写真を比べれば一目瞭然だが、光線で風景の表情は一変するのだ。
<絶景EPISODE>八戸線で新しい絶景ポイントを発見!
陸中八木〜有家で見つけた新ポイント。遠い位置から望遠レンズで背景の海を圧縮できるので、迫力満点の海の絶景を撮影できた。これは山林が伐採されたことで、生まれた期間限定の新撮影地。これまでの経験や地図情報にとらわれない姿勢が、新たな絶景の発見につながった。
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