
創作意欲を掻き立ててくれるカメラ
~α1 II Unrivaled 孤高の第二幕~
写真家 並木隆 氏

並木隆 / 写真家 高校在学中より写真家・丸林正則氏に師事。現在はフリーランスで年間を通して花や自然をモチーフに各種雑誌誌面で作品を発表する傍ら、数多くの写真教室で200名にもおよぶ生徒へ指導を行なっている。公益社団法人 日本写真家協会、公益社団法人 日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。
フラッグシップらしい完成度の高い1台
ボディを手にしたときのフィット感がものすごく良かったです。質感だけでなく、隙間なく手のひらとグリップが馴染むので力を入れて支える必要がないため、自然体でカメラを構えることができ長時間の撮影でも疲れることはありませんでした。また、操作部分ひとつひとつがとても上質でシャッターボタンを押したときの指先の感覚もシャッター音もついつい「気持ちいいなぁ~」と言葉に出したくなるほど。フラッグシップらしい道具としての完成度が高いカメラだと感じました。ギボウシ(ホスタ)の葉の作品は日陰の光量の少ない場所で絞り込んでいるのでISO3200という高ISO感度で撮影していますが、ノイズによってグラデーションや葉の質感が失われることもなく解像力の高さを感じます。
黄色いバラの作品はかなり強い逆光下で撮影しているので硬い印象に仕上がるだろうと思っていたのですが、撮影した画像を拡大してみたら花びらの柔らかな質感がしっかり再現できていて、解像力の高さと色の再現性に関心してしまいました。
マクロレンズの等倍撮影で水滴などを撮っていると、もう少し寄りたいなというときがあります。そんなときに倍率を稼ぐためにクロップを使います。後でトリミングもできますが、撮影しながらピントも構図もしっかり決められるのでクロップしてからフレーミングします。また、有効約5010万画素と高画素なのでクロップしても画素損失が少ないのがいいですね。

※マクロ等倍ノーマル

※マクロ等倍クロップ
攻めた設定で撮りたくなる
太陽をあえて入れプラス3.3EVという極端な露出補正をしているので背景が白飛びすることは想定内ですが、この白飛びしている部分に溶け込んでいく花びらの階調再現の滑らかさが予想を超えるものでした。色情報を限界ギリギリまで保持する粘り強さ、つまりはダイナミックレンジの幅が広いという証拠でもあります。イメージセンサーと画像処理エンジンのポテンシャルの高さを体感したシチュエーションでした。
花をしっかり写したいとき手振れしそうなギリギリのシャッタースピードだと被写体ブレしてしまうので迷わずISO感度を上げてシャッタースピードを1/250秒以上(理想は1/500秒)に設定します。このような理由で画質面での手ブレ補正の恩恵はあまり感じていませんが、カメラを構えているときのファインダーや背面液晶の安定感には非常に恩恵を感じています。また、4軸マルチアングル液晶モニターは光軸と同じ位置で角度を変えることができるので背面液晶越しでも被写体を見つけやすく、縦位置でもモニター角度を変えることができるので真上を向くようなアングルでも楽な姿勢でしっかり構図することができるので重宝しています。
正直α1 IIの性能をフルに発揮できるか問われたら “できません” と即答するでしょう。なぜならこれだけ優れたAF性能と連写性能を使う機会が花の撮影では皆無だからです。だからといってこのカメラは必要ない・・・ではなく、ますます使ってみたくなりました。今回は短期間の使用でしたが操作する喜び、撮影する喜び、そして高解像力の画質と全てがパーフェクト。これぞフラッグシップと言わしめるカメラでした。現在メイン機のα7R Vで十分満足していてこれ以上の性能はもう必要ないと思っていましたが、まだまだ上があるんだなと改めて教えられた気がします。このカメラを持ったなら、これまで撮ったことのない新しいジャンルの被写体や花とのコラボレーションにもチャレンジしてみたくなりますね。
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