
鉄道絶景+α
第5回宇都宮ライトレール(栃木県)
鉄道写真家 中井精也 氏
撮影日:1月8日 16時5分宇都宮ライトレール(平石中央小学校前~飛山城跡)
沿線のハイライトである鬼怒川橋りょうで、那須連峰から発生した巨大な雪雲を取り入れて撮影した。メリハリがありつつも階調をしっかりと残して描写する、α1 IIの実力の高さが見事に光る1枚だ
相棒望遠ズームで撮る宇都宮ライトレール

今回の目的地は、2023年に開業した芳賀宇都宮ライトレール。路面電車が新規開業したのは、実に75年ぶりとなる。かつて全国の都市で見られた路面電車だが、モータリゼーションの進展に伴い、次々と廃止、または縮小されていった。しかし、地球温暖化や少子高齢化が進む中で、環境や人に優しく、バリアフリー化をしやすい路面電車として今、ライトレールが注目されているのだ。新たに列車が走り出した街の風景は、宇都宮全体が生まれ変わったように新鮮に見えた。とはいえ、沿線風景はやはり路面電車であり、列車と街の風景の他に、核となる被写体をα1 IIとともに丁寧に探していった。見つけたのは小さな森の中にある水たまり。撮影日の前日は晴天続きの冬としてはめずらしく雨が降った。その名残りを見逃さず、超ローレベルで水鏡に風景を映すワンダーな作品を狙った。水鏡に列車を映すには、水たまりギリギリの高さにカメラを構える必要がある。このようなとき、4軸マルチアングル液晶モニターに進化したα1 IIの背面モニターなら、まるで魔法のように、縦位置でも無理なく撮影できる。不安定な姿勢でカメラを支えなければならないが、グリップ形状の改良により、格段にホールドしやすくなっているのもうれしい。冬の空と森を写した水鏡は、なんの変哲もない工場街の風景を、息を飲むような絶景に変えてくれた。そして今回もっとも活躍したのは、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS。きめ細かい焦点距離の調整が可能で、繊細なフレーミングを実現する。さまざまシーンで活躍してくれた。望遠レンズは、単に遠くにある被写体を大きく写すためのものではない。見せたい被写体を圧縮し、引き寄せ、強調できるこのレンズは、僕にとって心強い武器なのだ。
撮影日:1月8日 14時18分宇都宮ライトレール(グリーンスタジアム前~ゆいの杜西)
列車を水鏡に映すには、カメラを水面ギリギリの高さにするしかない。4軸マルチアングル液晶モニターだからこそ撮影できた、ワンダーな世界だ
撮影日:1月8日 12時27分宇都宮ライトレール(芳賀町工業団地管理センター前~かしの森公園前)
芳賀宇都宮ライトレールには、あの碓氷峠に近い60‰という急勾配区間がある。600mmで手前の地面を入れて、勾配の急な印象を強調した
撮影日:1月8日 9時11分宇都宮ライトレール(飛山城跡~青陵高校前)
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSで撮影。500mmの超望遠で背景にそびえる男体山を引き寄せて、山の迫力を出した。勾配が続く橋りょうの曲線を画面下に入れて、その美しさも合わせて表現した
撮影日:1月8日 16時32分宇都宮ライトレール(平石中央小学校前~飛山城跡)
α1 II+FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSにクロップ機能を使い、900mm相当の焦点距離で撮影した。太陽を画面内に入れる場合はEVFではなく、背面液晶モニターを使って構図を整えるのが最良だ
<Pickup LENS>FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS

数多くのソニーレンズを使っているが、その中で特に気に入っているレンズがFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSだ。AFの追従速度も速く、ストレスなく撮影できる。ズームリングのスムーズさも絶品で、きめ細やかなフレーミングが可能。重量も約2kgとそれほど重くなく、手持ちでも撮影できるのが良い。
<Photo Technique>

超望遠でも焦点距離が足りないシーンでは、テレコンバーターを使うという選択肢も良いが、僕はクロップを使っている。有効約5,010万画素のα1 IIなら、APS-C画角にクロップしても約2,100万画素。開放F値の変化もなく、約1.5倍の焦点距離イメージで撮影できる。
アップにしたい場合はテレコンよりクロップを使う
<絶景EPISODE>
宇都宮ライトレールでは珍しい橋りょうと霧
1月初旬の関東地方は、とにかく晴天続きで景色に変化が少ない。待ちに待った冬の大雨の翌日、ドラマチックな霧が出るのを予測して鬼怒川橋りょうへ急いだ。深い霧が晴れた瞬間、予想通りの位置で側面がギラリと輝いた。α1 IIの豊かな階調が、僕の感動をありのままに再現してくれた
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