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「ROOTS 日本の原景」撮影記 Vol.3
みちのく金華山の旅

宮城県、牡鹿半島の先にある周囲26kmの島、金華山は、青森の恐山、山形の出羽三山と並んで東北三大霊場に数えられる。奈良時代にみちのくから金が出たことからここに黄金山神社が建てられ、以降、多くの人々が詣でるようになったと言われるが、それ以前からそしてそれと並行して、この遠くから見ても特徴的な山の島は太平洋周りの船や漁民たちの航海の目印として、また荒々しい外海に面した東岸は、海で亡くなった者が行く聖なる場所としても、修験道の修行場としても大切にされてきた。 島は全部山であり、山頂部の形は宝珠に例えられる。これは西側、牡鹿半島からのご来光。

α7R,FE 24-70mm F4 ZA OSS 24mm,F4,1/4000秒,ISO400

金華山山頂

夜明け前に山頂に登ると、神獣とされる鹿の頭部の骨があった。蒸気で霞む空に黄金色の朝日が昇る。

α7R,FE 24-70mm F4 ZA OSS 24mm,F16,1/250秒,ISO200

霊島金華山 東岸

外海の荒波にさらされた断崖の続く東岸は、死者の行くところと言われ、修験を行うところでもある。先の震災ではここが一番震源地に近く、震度9の地震と、高さ30mの津波に襲われた。

α7R,FE 24-70mm F4 ZA OSS 70mm,F4,1/5000秒,ISO400

江島(えのしま)から見る金華山

金華山の北北東10kmほどのところに江島はある。宮城県有数の漁場と言われる島だ。そこからの金華山が見たくて行ってみた。島の人にいろいろ聞いて写真を撮るのに良さそうな場所を探す。結局切り立つ崖の上からFE 90mm F2.8 Macro G OSS、磯に降りてVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSで撮った。ちょっと参考になるかもしれないので両方お見せしておく。どちらも遠く水平線上に見えるのが金華山だが、16-35mmの方はワイドレンズの効果を生かすための手前にダイナミックな波を置いている。90mm Macroの方は望遠レンズの圧縮効果を生かすために島を大きく重ねて見せている。古からの漁民たちの金華山への畏敬の心を移し撮りたいので少し古風な絵のように撮ってみた。

α7R II,FE 16-35mm F4 ZA OSS 24mm,F4.5,1/4000秒,ISO200
α7R,FE 90mm F2.8 Macro G OSS 90mm,F8,1/800秒,ISO200

江島で。

旅にマクロレンズ?そう、マクロレンズは何も接写専門レンズではない。上の写真でもわかるように遠景も実に細密に描写する。もちろんポートレートにも使える。島で会ったおじいさん。若い頃は遠洋のマグロ船に乗っていたそうだ。1年半も海の上。太平洋も大西洋も南米もアフリカも世界中行ったという。おしゃれな帽子から陽の光が漏れている。 「写真撮りましょう。」「ダメッ。俺は、この島の長老だよ。」「長老〜。^^ 撮りましょうよ〜。」 「しょうがないな〜。」「この船で帰るのか。泊まっていけば俺の武勇伝が聞けたのにな。」「^^」 もう一枚はそうは言ってもマクロレンズの本領、山の中に咲いていたツリフネソウのクローズアップ。いい感じのボケ。この花はウチの庭にもある小さな花だが、旅先で出会うとまた違う思いで見ることになる。

α7R,FE 90mm F2.8 Macro G OSS 90mm,F8,1/400秒,ISO200
α7R II,FE 90mm F2.8 Macro G OSS 90mm,F5.6,1/60秒,ISO200

おまけ。田代島の子猫

江島とは反対側の、金華山の西に浮かぶ田代島は、ご存知のように野良猫で有名な島だ。雑誌やTV、ネットでもよく取り上げられるので、猫好きの聖地として多くの人が訪れる。今回、いろいろな島を巡ったが、ここのフェリーだけはほぼ満員。みんなカメラを抱えて乗り込んでいた。もともと日本の漁師はどこでも猫を大事にする。この島の山中にも猫神社というものがあって、それは最近観光のために作ったものではなく、昔から猫を大切に祀ったものだそうだ。野良猫にはどれも個性というものがあって、近づくとすぐ逃げる猫はいくら追いかけても無駄だ。また、すぐ寄ってくる猫は近くに来すぎて撮影しづらい。最初は警戒するが、だんだん気を許してくれる、そんな猫が撮りやすい。コツは目を合わさないようにすること、何か話しかけたり小声で歌を歌ったりすること。Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSは最短28cmまで対象に寄れるので、しばらく猫と一緒にいて、まあ、存在を許してもらえたら、ワイドでアップが撮れる。

α7R II,FE 16-35mm F4 ZA OSS 30mm,F4.5,1/100秒,ISO200

金華山と言っておきながら、ポ−トレートや花、最後は猫になってしまったが、この二本のレンズはそれくらい多くの場面で使用する。持っていると大変重宝するレンズだ。使い勝手が良く、周辺まで細密で、軽く、価格もお手頃、派手ではないがオススメのレンズだ。

■小澤忠恭 作品展 ROOTS 日本の原景 日光の始まり 秘景・出羽三山 沖縄本島の御嶽
ソニーイメージングギャラリー銀座 : 12/29(金)〜2018/1/18(木)
※2017年12月30日(土)〜2018年1月1日(月)は休業
詳細はコチラhttps://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/171229/

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