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「ROOTS 日本の原景」撮影記Vol.10
近江・琵琶湖夢幻韻 其の2

琵琶湖北岸の海津大崎は、山の端の迫る湖畔の道沿いに何キロにもわたって桜並木が続く。関西では有名な桜の名所なので満開になる頃にはたくさんの人が訪れ、写真愛好家たちにも人気の場所だ。ここらあたりは京大阪、奈良よりも気温が低く、花の時期は遅い。また同じ琵琶湖畔にして湖南に比べてかなり遅れて満開になる。関西では毎年最後の方に咲く桜の名所ということになる。 海津大崎の桜は、湖畔にあるので琵琶湖の美しさを背景に生かして撮りたい。琵琶湖は一日中それぞれに写真になるが、夜明け前の青から日の出前後のピンクに染まる時間帯が特に美しいと思う。そして淡いピンクの海津大崎の桜は、琵琶湖そのものが持つ夢のような幻想と相まって、夜明けにこそ完成するように思える。それを撮るレンズにはFE 100mm F2.8 STF GM OSSを選んだ。 STFはその卓越したぼけの美しさで、皆さんにはポートレートレンズとして認識されているかもしれないが、風景を撮る時も興味深い描写をしてくれる。それをお伝えするいい機会だとも思ったからだ。

琵琶湖北岸・海津大崎の桜-1

海津大崎の西岸、観光客で賑わう辺りをぬけて岬の突端をすぎ、なお歩いていくつかトンネルを抜けると桜の花越しに竹生島が見えてくる。竹生島は琵琶湖一番の聖なる島。背景に不足はない。日の出前の暗がりだが、露出を開けて淡い色の明るい写真にする。STFはぼけが美しいが、100mmという焦点距離は望遠過ぎないので、まずは目で見たことに近い、ナチュラルなぼけを撮ってみる。また、焦点がきているところは素晴らしく細密な描写をする。そして淡い描写をしても甘くなりすぎない硬派なレンズでもある。そう言ったことを意識して楽しんでみよう。

α7R III,FE 100mm F2.8 STF GM OSS,F5.6,1/125秒,ISO320

海津大崎の桜-2

STFらしいぼけを生かし、背景の竹生島にはもっともっとぼけていただいて、淡~いイメージを追い求める。ハイキーで少し霞んだくらいの雰囲気になるのだが、それでもこのレンズのシャープさは損なわれない。

α7R III,FE 100mm F2.8 STF GM OSS,F5.6,1/125秒,ISO200

海津大崎の桜-3

このレンズのぼけは、よく理想に一番近いぼけと言われるが、それだけではなく条件によっては不思議な世界を出現させる。上の写真も下の写真も何かぼけの幻想の迷宮に入り込んだようで、こうなってくると、もう完全に、STFの世界にはまってくる。STFのぼけは、前ぼけも後ぼけも同じように美しいので(これは実はあまりないことなのだ。大抵のレンズは前ぼけが良ければ後ぼけはイマイチ、後ぼけが良ければ前ぼけはイマイチとなる)。逆にいうと、ぼけによる遠近感が少しわからなくなり、不思議な世界が生まれる。琵琶湖はもう写ってないが、言い訳ではなく、この淡い色の夢は、琵琶湖なくしては思いつくことのできなかった夢だ。桜の撮り方はいろいろある。もう少し後の時間にワイドでパンフォーカスの迫力ある写真も撮ったが、今回はやっぱり、このFE 100mm F2.8 STF GM OSSの淡い世界が一番だった。

α7R III,FE 100mm F2.8 STF GM OSS,F5.6,1/320秒,ISO200

海津大崎の桜-4

FE 100mm F2.8 STF GM OSSは、近接モードがあり、マクロレンズ並みに被写体に寄れる。そしてマクロレンズ並みにシャープなので、近接撮影に生かすこともできる。つまりこのレンズはぼけの綺麗なポートレート、細微な風景写真、クローズアップ、という三つの魅力があることになる。

α7R III,FE 100mm F2.8 STF GM OSS,F5.6,1/1250秒,ISO640

琵琶湖北岸・菅浦の桜

絞り込んで使えばパンフォーカス気味にも使えて、風景写真に充分使える。桜の花の細かいところの描写は半端ない。向こうに見えるのはやはり、竹生島。

α7R III,FE 100mm F2.8 STF GM OSS,F7.1,1/2000秒,ISO200

STFはもちろんポートレートの時に絶大なる威力を発揮するけれど、意外にも(?)風景や花の写真にも向いている。また、100mmという焦点距離がいい。標準レンズのちょうど倍、肉感的に被写体との距離が測りやすい。もう慣れたかもしれないけど、85mmや135mmというのは、ちょっと気難しいとこがある。その点、100mmはみんなに優しい焦点距離だ。さて、FE 100mm F2.8 STF GM OSSに興味が湧いた方はぜひ試してもらいたい。なんだか今回はちょっと宣伝めいたが、このレンズが本当に好きなので、その良さを知ってもらいたくて、ついこういう話になった。 最後に、琵琶湖の桜について。琵琶湖の桜はここ海津大崎だけでなく、あちこちで素晴らしい光景を見せる。今回は季節外れの桜の話になったが、これは来年、皆さんが桜を撮りに琵琶湖に行かれるために、今から盛り上げておく話でもあったのでした。

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