RX100 VII × フォトグラファー 福田ジン氏
「瞳」を追い続け、その一瞬の表情を逃さない。
〜コンパクトデジタルカメラだからこそ引き出せる表情がある〜
ポケットに収まる小さなボディに、プロ仕様のフルサイズ一眼カメラ「α9」譲りの性能を搭載したデジタルスチルカメラ「RX100 VII」。圧倒的な高速AFと高画質の両立が、写真表現を新しいステージへ導きます。手のひらサイズの高性能コンパクトカメラ「RX100 VII」だから生み出せる写真がある。各分野で活躍する4名の写真家が「RX100 VII」を語ります。今回は、フォトグラファーの福田ジンさんが登場。スナップポートレート撮影で活躍したリアルタイム瞳AFとブラックアウトフリー連写の真価とは。
福田 ジン/フォトグラファー
1983年岡山県生まれ。
外苑スタジオでのアシスタントなどを経て27歳よりフリーランス。
現在は、岡山を拠点に瀬戸内を中心に活動。ファッションやヘアビューティに加え、ポートレート写真など、被写体の表情を引き出す人物撮影で評価を受ける。
また近年、サンフランシスコやロサンゼルスで個展を開催。
http://www.quatro-photodesign.com
一度瞳を捉えれば、顔の向きが変わっても
片目を閉じても、画面の端でも瞳を追い続けてくれる
――ポートレートを撮影する時は瞳にフォーカスを合わせるのが鉄則だと思います。普段使っているデジタル一眼と「RX100 VII」では、ピント合わせの手順に違いはありましたか?
デジタル一眼では、フォーカスエリアを一番小さなシングルスポットに設定し、ピントが欲しい位置にポイントを持っていき、フォーカスロックしてシャッターを切るという流れでおこなっています。プロになってから人物撮影はずっとこの手順で撮影していました。
というのも、カメラ任せでピントを合わせる機能は、今までは正直なところ精度が怖くて使えていなかったんです。仕事の現場では、すごく良い瞬間が撮れたと思っていたのに後で細かく見るとピントが甘かった、なんてことは許されませんからね。でも、ピントの不安から撮影枚数が増えてしまうと当然モデルは疲れて、表情やポージングもさえなくなっていきます。AFのピントの精度は現場の撮影テンポを大きく左右し、ひいては写真のクオリティーに直結すると僕は思っています。
でも、「RX100 VII」の「リアルタイム瞳AF」はフォーカスの概念が変わるような、衝撃的な機能でした。僕が感じていた“怖さ”を完全に払拭してくれました。
――どのようなシーンで、その“怖さ”は払拭されたのですか?
モデルが少し横を向いても、片目を閉じていても、しっかり瞳を追い続けてくれることがわかったときです。とにかく一度フォーカスが瞳に合えば、ずっと捉えて離さないんですよ。
このときは、瞳を画面の端に置いてもピントが合っていました。AFのエリアが広いからこそ成せる技ですが、コンパクトデジタルカメラでここまでフォローできるんですから脱帽です。
リアルタイム瞳AF+ブラックアウトフリーの高速連写で、
動き回っている被写体も見失うことなく構図に収められる
――これらの作品は連写で撮ったものですか?
そうです。モデルがクルクルと踊るように回っているところを連写で撮影しました。人の動きに合わせて有効に連写を使うために秒間約20コマのHi設定、秒間約10コマのMid、または秒間約5コマのLowの設定を使い分けました。スポーツなどではHiのように連写速度が速ければ速いほど有効ですが、ポートレートの場合はそれほど動きが激しいわけではないので用途に応じてスピードを選択できるのはいいですね。
彼女は回転しているだけでなく、ステップを踏みながら前後左右に動いていたので、モデルをフレーム内に収めるだけでも大変でした。でも「RX100 VII」はブラックアウトフリーで連写できるので、モデルを見失うことなく追い続けることができました。
――回転しているとき、瞳のフォーカスは捉えられていましたか?
「リアルタイム瞳AF」がしっかり捉えてくれていました。回転すると一瞬顔が見えなくなるので瞳AFも外れますが、振り向いてこっちに顔を向けたらまた顔や瞳を瞬時に捕まえてくれます。このくらい引きの構図だと、普通は目にピントが合っているかどうかわからないじゃないですか。でも「RX100 VII」はピントを合わせている目の部分に緑のフレームが出て、瞳を追い続けてくれているのがわかります。僕はその緑色の小さなフレーム表示が瞳を捉えていることですごく安心して撮り続けられました。
その難しい状況でも“撮れている”確信できることで、撮影のテンポも上がりますよね。そこで生まれた時間で、僕はもっといい構図はないか、もっといい表情を引き出せないかと、新しい表現を求めることができる。優れたAF性能は撮影の質を上げ、より挑戦的な撮影を可能にしてくれます。
まつ毛1本1本まで表現するシャープな描写。
肌の色も見た目に忠実で、センサーとレンズの優秀さを実感
――肌や髪の質感など、描写性能はいかがでしたか?
この作品もそうですが、瞳にピントが合った時、まつ毛1本1本まで見えるようなシャープな描写が素晴らしいですね。優秀なセンサーとツァイスレンズという、妥協のないカメラならではの描写だと思います。色味の部分では、僕が一番大事にしている「忠実」という部分を重視してくれているのがうれしいところです。肌の色も見たままを忠実に再現してくれています。僕はいつもRAWで撮影していますが、ソニーの現像ソフト「Imaging Edge」の“Edit”はいろいろな項目が細かく設定できて、とてもレベルが高い。忠実に撮れる上に、RAW現像でさらに思い通りに仕上げられます。
この作品は夕暮れ前に街中で撮ったものです。暗くなり始めた時間に撮影したのでシャッタースピードが遅く体にブレが出ていますが、それでも瞳にピントを合わせてくれました。弱い自然光の中で人工的な光が右から当たっていることで顔に立体感が出て、質感も生まれている。複雑な光の表情まで捉えていて、「RX100 VII」の表現力の高さがうかがえます。
また下の作品は屋外の日陰で撮っているので、光が柔らかいですよね。こういった柔らかい雰囲気をうまく出せるのは、カメラの描写力があってこそです。
AF性能+コンパクトサイズ+望遠でスナップ撮影ではメイン機に。
新しい写真表現に挑戦するきっかけにもなるカメラ
――24-200mm*という焦点距離は、福田さんにはどのように映りましたか?
24-200mmは僕の中では黄金域で、ほとんどの仕事をこなせてしまう焦点距離です。200mm相当*までズームアップできるので、被写体と十分な距離をとれるのもいいですね。デジタル一眼のような大きいカメラは、向けられた瞬間に想像以上の圧迫感があるんです。でもこのカメラなら小さくて圧迫感はないし、望遠にできるから撮影者の存在も弱めることができる。そうすると撮影に慣れていないモデルでも自然体でいられるんですよね。カメラの存在は緊張感にも繋がりますから、このコンパクトさで高性能な高倍率ズームは、人との距離を考えた時にものすごくいいな、と思います。
――「RX100 VII」は、福田さんにとってどのような存在のカメラですか?
自分が趣味で撮るようなスナップ撮影では、間違いなくメイン機になります。どこにでも持って行けるサイズ感と機動力、そしてコンパクトでは最高峰の高性能。これらをデジタル一眼ですべて満たすのは不可能でまさしく「RX100 VII」だけの強力な個性ですね。普段の生活の中でも心が惹かれる風景や、残しておきたい瞬間と偶発的に出合うことはよくありますよね。そんな時、カメラを持っていなくては始まりません。僕も実際に、「カメラがあればこの情景を残しておけたのに」という瞬間がたくさんあります。このカメラは小さいバッグやポケットにもすっぽり収まるので、ストレス無くいつでも気軽に持ち歩けます。スマートフォンでは自分が意図した写真が撮れませんが、「RX100 VII」なら美しい描写で思い通りの写真が撮れる。そういう瞬間を印象的な作品として残せるのは幸せなことです。
AFの飛躍的な進化によって、誰でもいい写真が撮れるようになりました。今は「技術的に撮る」ところから解放され、「どのような表現をするか」のプライオリティーが高くなってきています。そう考えると、テクノロジーの進化は新しい表現をつくっていく土台になっていくんだろうな、と思いますね。今まではカメラの使い方を学んだ上で表現していたけれど、学びの部分を機械に任せられるので表現の部分が高まってくる。あるいは機械が苦手だった人たちが表現者になっていく。最先端の技術を搭載し、素早く的確なAFが使用できる「RX100 VII」は、新しい表現に挑戦するきっかけになるカメラかもしれません。
*画角(35mm判相当)
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