使いやすさにもこだわったアイコニックなデザイン
―映像面以外のこだわりについても聞かせてください。たとえば、この個性的で目を惹くデザインについてもお話を伺いたいです。
田中:個人的にはものすごくアイコニックでスタイリッシュなデザインだと思っているのですが、いかがでしょうか?
―特に脚のデザインがユニークですよね。3本の脚のうち、後ろ側の2本が細く奥にあるので、プレイ時にはまるで手前の1本脚だけで画面を支えているように見えます。
田中:実はこの脚には見た目だけでなく、機能的な狙いもあるんですよ。今回、ゲーミングモニターを開発するにあたり、実際のゲーマーの方々がどのような環境でプレイしているのかをヒアリングしたのですが、その中にキーボードを傾けて使うという人が少なからずいらっしゃいました。FPSなどではW/A/S/Dのキーなど、キーボードの左側にあるキーを多用するのですが、キーボードを逆ハの字に置いて操作するというスタイルですね。
このスタイルではキーボードがモニターの脚にぶつかってしまいがちだったのですが、このデザインではモニター下部に大きなスペースがあるため、キーボードを大きく傾けても脚に接触することがありません。
―なるほど!
田中:また、モニターを前脚に沿って上下に移動させることもできるので、どの位置にしても自然な姿勢で画面をのぞき込めます。もちろんこの状態からさらに前後に画面を最大20度までチルトさせることも可能です。
―そして『INZONE M9』には、ゲーミングモニターならではのイルミネーション機能も搭載されていますよね。
田中:はい。本体背面のライティングの色を変更できるようになっており、全14色(うち、1色は黒=消灯)からお好みの色を選んでいただけます。この際、ただ光らせるだけではなく、内部でLEDの光を拡散させ、全体が均一に美しく輝くようにしているのはソニーらしいこだわりと言えるかもしれませんね。白い壁際に置いていただくと、光が壁面で反射して、まるで間接照明のようにイルミネーションを楽しんでいただけます。
―いま、お話にでてきたPCソフトウェアについても教えてください。
田中:INZONEのゲーミングモニターにはWindows10以降に対応したPCソフトウェアが用意されており、それをインストールすることでPC側から、さまざまな設定・操作をマウス操作で素早く行うことができます。プレイするPCゲームタイトル(PCアプリケーション)に応じて自動的に画質モードを切り替えるよう設定することもできます。また、同時に発売されたヘッドセットのサウンドプロファイルも同時に連動して自動的に切り替えることができます。
―インターフェースについてはいかがでしょうか?
古字:DisplayPort 1.4端子を1系統、HDMI 2.1端子を2系統、DisplayPort Alternate Mode対応のUSB Type-C端子を1系統、さらに周辺機器接続用としてUSB Type-A端子を3系統とUSB Type-B端子を1系統搭載しています。
―かなり盛りだくさんですね。
古字:そうですね。ゲーミングPCとはDisplayPortで接続し、HDMI端子にはPlayStation®5などのゲーム機を、USB Type-C端子はモバイルノートPCと接続するような使い方を想定しています。
また、ゲーミングモニターに接続したキーボードやマウス、ヘッドセットなどを接続したPCやゲーム機と共有し、画面を表示している機器で使えるよう自動的に切り換える「オートKVMスイッチ」という機能も搭載しています。このため、ふだんはゲーミングモニターとして使いつつ、家庭用ゲーム機で遊んだり、仕事用ノートPCのセカンドモニターとしても使っていただけます。ゲーミングモニターは速い操作応答性でゲーム用途を主に謳っていますが、INZONEのゲーミングモニターは、優れた映像表現力で映画を楽しんだり、高い接続親和性でノートPCで仕事や学習をしたりといった使い方でも充分に満足していただけるはずです。
ゲーミングギアに取り組むソニーの本気を感じてほしい
―最後に読者に向けたメッセージをお願いします。
田中:我々はゲーム業界がこれからますます拡大していくと考えています。『INZONE M9』および『INZONE M3』は、そんなゲーム業界にソニーが満を持して投入するゲーミングモニターです。ぜひ製品を見ていただいて、ソニーの本気度を感じていただければと思います。
なお、INZONEはPCゲームやPlayStation®5などのコンソールゲームのコアゲーマーのみなさんに向けた新しいゲーミングギアのブランドです。特にPlayStation®5との連携機能に対応し、HDR効果を最適化する「オートHDRマッピング」や、表示している映像に合わせて画質を自動で調節する「コンテンツ連動画質モード」にも対応していますので、PlayStation®5をより良い環境で楽しみたいという方にもおすすめです。
古字:私は学生時代からのゲーマーで、実はソニーに入社したのも最高のゲーミングモニターを作りたかったからなんです。ところが私が入社してすぐにソニーがPCモニター事業から撤退してしまい(笑)、20年を経て、ついにそれを実現する機会を得ることができました。今回、どうしてもやりたかったのは直下型LED部分駆動を実現すること。これによって、画質面での満足度が大幅に向上すると思います。もちろんINZONEのゲーミングモニターはこれで全てというわけではありません。今後もどんどんラインアップを拡充していき、さまざまなゲーマーのさまざまなこだわりに合わせて製品を選べるようにしていきたいですね。ソニーのINZONEブランドのゲーミングギアをご愛顧いただければと思います。
竹田:私も古字と同じく、個人的にもかなりゲームをやりこんでいる方だと思うのですが、実はそれまでモニターの重要性についてあまり深く考えていませんでした。リフレッシュレートが高ければ画質はどうでもいい、みたいな。ところが今回、INZONEの開発に携わっていく中で、画質の重要性に気付かされました。直下型LED部分駆動って本当にすごいんですよ。今回の製品ではゲーミングモニターに求められるパフォーマンスと美しい画質の両立がしっかりできたと考えています。ぜひ、より多くのゲーマーの方にお試しいただきたいですね。そして、今後の製品開発に向け、皆さんの感想をいただきたいなと考えています。