商品情報・ストアゲーミングギア INZONE(インゾーン) 「映像の美しさと残像感のないことが両立したモニター」ゲームを愛する人が語る、ソニーのゲーミングギア「INZONE」の魅力。

INZONE 体験インタビュー映像の美しさと
残像感のないことが
両立したモニター

2022.12.02

  • twitter
  • facebook

YamatoN

ストリーマー

株式会社REJECTチームCEO。PC用オンラインFPS『クロスファイア』で頭角を現し、公式大会で通算10回優勝、日本代表として5回世界大会に出場した経験を持つ。『スペシャルフォース2』や『Alliance of Valiant Arms』、『オーバーウォッチ』などでも優秀な成績を収めている。

 ソニーが展開するゲーミングギアの新ブランド『INZONE』。現在はモニターとヘッドセットが発売されており、中でもフルHD・240Hzのゲーミングモニター『INZONE M3』はFPSのようなスピーディーなゲーム向きだとされる。
 現役時代は数々のFPSで日本トップクラスの成績を残し、現在はREJECTにてCEOを務める元プロゲーマー・YamatoN氏に『INZONE M3』を試用してもらい、その感想を伺った。理論的にFPSをプレイする彼の目に、INZONEはどう映ったのだろうか。

もっとも重要なデバイス=モニター

 FPSを中心に遊ぶ僕にとって、どんな機材でゲーム環境を構築するかは重要なテーマです。たとえば精密な射撃をするためにはどんなマウスとマウスパッドを選ぶかは非常に大事。音像定位がしっかりとしているゲームなら、ヘッドセットにも気を配りたいところです。それらに比べると重要度が少し落ちるとはいえ、キーボードもきちんとしたものを選びたいですね。

 そうしたゲーミングギアのなかでもっとも大事なデバイスがモニターだと思っています。ゲームをプレイするときは主に視覚で得た情報をもとに行動を決定します。敵にいち早く気づくためには音も大事ですが、やっぱり重要なのは映像。それがどれだけ鮮明に、そして滑らかに見えるのか。これが勝敗を大きく左右するんです。

 僕がとくに重視しているのはリフレッシュレートと応答速度、そしてパネル方式の3つ。ただ、パネル方式はそれぞれに一長一短があって、「これがベスト」と一概に言えない難しさはあります。残像感のなさを重視するのか、それとも鮮明さを選ぶのか。いままでは残像感のなさを取って応答速度の速いTN方式のパネルを選ぶことが多かったですね(※)。

※一般的に、FPSなどの動きの速いゲームにはTNパネル、映像のきれいなゲームにはIPSパネルが向いていると言われている。また、TNパネルはIPSパネルに比べると安価で生産性に優れ、量産しやすいという特徴もある。一方、IPSパネルはTNパネルに比べるとコスト高ではあるものの、発色や視野角に優れている面を持つ。INZONE M3ではIPSパネルを採用。

 最近はモニターも高機能化してきているため、事情が変わってきました。暗いところをはっきり見えるようにしたり、逆に明るすぎるところを抑えめに表示したりするブラックイコライザー機能の効き具合も重視するようになりました。

 正直なところ、色の正確性はわりとどうでもいいと思ってる部分があります。FPSプレイヤーにとっての「きれいな映像」って、一般的な意味とは少し違うんですよ。暗いところがよく見える、さまざまなエフェクトが重なったときに見分けやすい、速く動いているものが残像感なく見極められる。あくまでもゲームをプレイするうえで見やすいことが大事。ゲーミングモニターには一般的な意味で「きれいな映像が表示できる」のとは違った技術が必要だと思っています。

 ゲーミングモニターの“見え方”については12〜13年前から自分のなかに「これ」という理想像があるんですよ。どれだけそこに近づけられるかを基準に選んでいます。

映像の美しさを追求しつつ弱点も克服

 INZONE M3の映像のきれいさは、僕が求めていたものでした。まず感じたのは圧倒的な“残像感のなさ”。IPSパネルとは思えない。

 僕がFPS用としてIPS方式の液晶パネルを選んでこなかったのは、残像感が出やすいという弱点があるから。INZONE M3のパネルはIPSなのに、その弱点を克服しているところにすごさを感じました。

 FPS向けとして出ている多くのゲーミングモニターは、ほとんどがTN方式の液晶パネルです。TN方式が選ばれる理由としては、応答速度の速さとか、コストパフォーマンスのよさもあるんですけど、動いているものをはっきりと視認性高く表示できるから。そもそも映像のきれいさはFPSには必要ないと切り捨てているメーカーが多いんだと思います。

 ところが、INZONE M3はIPS方式のパネルを採用して、ほかのメーカーがあえて無視してきた映像の美しさを追求しています。表示色が多くて(10.7億色)、HDRに対応して、それでもしっかりと残像感を抑えてゲーミングモニターとしての完成度を高めている。シンプルに驚かされました。

 IPSパネルだと応答速度が劣りがちですけど、INZONE M3は1msGTGと高速。1ms単位の応答速度の違いなんて実感できないと思う人もいるかもしれないですけど、結果にはしっかり出るんです。

 たとえば応答速度が1msと10msのゲーミングモニターがあるとしたら、マウスを1回振るたびに9msずつのラグが生じるわけです。1ゲームでトータルして見たらどれだけのラグになることか。確実にスタッツ(成績)に影響しますよ。

INZONE Hubの便利さに驚愕

 “ゲームをプレイするうえでの見やすさ”って、じつはけっこう奥が深いんです。たとえばモニターの設定でシャープネスを目一杯に上げればくっきりと見えていいように思うかもしれませんが、自分や相手が動くとその強調された輪郭が目立ちすぎて、滑らかな横の動きを目で追いにくくなってしまいます。

 僕がモニターを調整するときは、基本的に彩度をマックスまで上げ、青を青として、黒は黒として強調しながらも、暗いところはきっちりと暗くするといった感じにしています。

 こうした調整に関して言うと、INZONE M3は“INZONE Hub”(設定をコントロールするアプリ)でかなり細かく設定できるのがいいですね。とくに彩度に関するオプションをきちんと設定することで、ゲーム中のいろんなものがとても見分けやすくなりました。

 ゲーム以外、たとえばWebブラウジングをしているようなときは、逆にシャープネスを上げることによって文字など“動かないもの”の輪郭がはっきり強調されて読みやすくなりました。

 そういった目的に応じたセッティングを使いこなすようにしているので、INZONE Hubではゲームやアプリケーションごとに自動でプロファイルが切り替わる機能がめちゃくちゃ便利ですね。ゲームを起動したらゲーム向けの、ブラウザを立ち上げているときはブラウザ向けのプロファイルに勝手に切り替わってくれます。

 いくら細かく設定できるからといって、いちいち使う曲面に合わせて設定し直すのは面倒じゃないですか。そういう部分でストレスが一切ないのは、INZONEならではの魅力です。

INZONE M3に見るブランドの本気

 ソニーがゲーミングギアを出すと知ったときは、はっきり言ってかなり驚きました。プレイステーションでゲーム業界を牽引する存在ですし、技術的に最先端を行っているイメージです。そんなソニーがゲーミングギアを出すとは思ってもみませんでした。どちらかと言うとニッチな市場ですから。だからこそ期待感はとても大きかったですね。

 しかも実際に使ってみると、INZONE Hubみたいなほかのメーカーが出している製品にはない独自の機能がしっかり盛り込まれている。さすがとしか言いようがありません。

 ゲーミングデバイスの分野に他社(家電メーカーやPCメーカーなど)が入ってくると、刺さるものを作ってくれない印象があるんです。品質は高くても「こだわってほしいのはそこじゃないんだよな」と感じるというか。ターゲットを“コアユーザーではない層”に絞ってしまうメーカーが多いんですよね。

 でも、INZONE M3はしっかり芯を捉えている。「どうしてこんなにコアな部分にしっかり刺さるものができたのか?」と不思議なくらいです。INZONE M9よりもとくにINZONE M3にその狙いが顕著に出ていて、しかもリフレッシュレートなどスペック面を追求するだけでなく、INZONE Hubみたいな独自の武器まで備えている。単純にすごいですよ。

 モニターやヘッドセットで終わらず、INZONEブランドから、例えばマウスやマウスパッドなんかも展開するとすごい製品ができあがってくるんじゃないかって勝手に期待しているくらいです。

『オーバーウォッチ2』をプレイするのに適した1台

 INZONE M3の性能をチェックするにあたって、おもに『オーバーウォッチ2』をプレイしました。キャラクターの動きが非常に速いので、残像感のないモニターが必須です。

 しかも、5対5のチーム戦なので、乱戦ともなればさまざまなエフェクトが入り乱れます。それぞれがちゃんと表示できないと、何が起こっているのか理解できずに混乱してしまうんですよ。

 僕が『オーバーウォッチ2』でよく使っているのは、サポートロールのゼニヤッタ。サポートロールって、いくつものスキルが飛び交う場面でも視野を広く持って、的確な判断を下してポジショニングしつつ、さらにめちゃくちゃ精密なエイムを求められるんです。

 残像感だけに絞ると、他社製モニターでも同程度か、むしろもっといいものもあるかもしれません。でも、エフェクトが飛び交っているようなときの見やすさは、INZONE M3が圧倒的に優れています。

 戦闘が激しいと、TN方式のパネルだと色がにじんで見えてしまうんですね。ところがINZONE M3では、彩度を上げてきちんと調整してやることで、アビリティが飛び交っていても敵の輪郭をしっかり見分けることができました。『オーバーウォッチ2』に非常に向いているモニターですね。

 贅沢を言うなら、リフレッシュレートが360Hzまで出れば言うことないんですけど。『オーバーウォッチ2』でいちばんリフレッシュレートの恩恵を受ける一例は、ゲンジという素早いキャラクターを残像感なく描けるか? ですが、少なくともプレイする限りでは、ふだん360Hzの製品を使っている僕から見ても、360Hzモニターと遜色ないレベルだと言えます。

 ただ、矛盾するようですけど、やっぱりトッププレイヤーにとって240Hzと360Hzでは違うものなんです。もしINZONE M3のきれいさのまま360Hz対応のモニターが発売されたら、ゲーミングモニターの覇権を握れるレベルだと思います。

YamatoN流INZONE Hubの設定

 せっかくなので、僕がINZONE M3で『オーバーウォッチ2』をプレイするときの設定を紹介しますね。明るさは50に抑えて目が疲れにくいように。彩度を100、コントラストを75、ブラックイコライザーが3、応答速度はマックスに。ブラックイコライザーで画面の暗い部分の見えづらさを緩和しつつ、彩度を上げて明暗の違いがしっかり出るような設定を考えています。

 ほかにいじっているのはガンマで、これは白飛びしないように2.4。個人的に、エフェクトなどが見やすく描写されるのは2.4だと感じました。

 INZONE Hubを使うと細かく調整しやすいのがいいですよ。それに、色に関する設定がきっちり見えかたに反映されるのは、IPSパネルを採用しているINZONE M3ならではのメリットです。

 モニターにしてもほかのゲーミングデバイスにしても、きちんと自分に合わせた設定にしている人は意外と少ないんです。まずはINZONEで“モニターを見やすい設定にすれば勝率が上がる”ということを体験してもらいたいですね。

セッティングの自由度を生む三脚型モニタースタンド

 INZONE M3はデザインも個性的で気に入っています。とくに曲面で構成された背面が好きですね。海外だとギラギラしたデザインが好まれるかもしれませんが、日本ではこういうシンプルな配色のほうが好まれるんじゃないでしょうか。

 モニタースタンドも個性的ですよね。ケーブルホルダーが装備されているので、有線マウスを使っても煩わしくありません。どうしても有線のマウスを使いたいときに、そのプレイアビリティを向上させられるのはすばらしいです。

 何よりこの三脚形状のモニタースタンドが、数あるゲーミングモニターのなかでもガチでナンバーワンだと思ってます。マウスパッドとキーボードを置くスペースを広く確保できる点がとてもいい。一般的なモニタースタンドだと、マウスパッドを仕方なく台座に重ねないといけなかったりしますし、置ける位置が限定されちゃうんですよ。

 INZONEのモニタースタンドは、キーボードとマウスパッドを奥のほうに置いたり、斜めに置いたりと、かなり自由に配置できます。FPSプレイヤーっていろんなスタイルの人がいますからね。たとえばモニターを抱え込むようにして画面に顔を近づける人がいますけど、それはモニターを大きく視界にとらえたほうが素早く反応できるから。モニターを近くに置く人ほど、セッティングの自由度が高いこのモニタースタンドに便利さを感じると思います。

 ただ、そうやってセッティングの自由度を活かすなら、27インチではなく24インチのほうが相性がいいかもしれないですね。『オーバーウォッチ2』では3インチの違いは気にならなかったんですが、ゲームによっては小さめのほうが画面全体を視界に入れやすいですから。

つぎのINZONEをプロデュースするとしたら

 INZONE M3を使わせていただいて、これに乗り換えてもいいと思ってます。それくらい気に入りました。

 今回は『オーバーウォッチ2』ばかりプレイしていましたけど、別のゲームでも試してみたいですね。たとえば『シティーズ:スカイライン』。数字を管理しながら街作りをするシミュレーションゲームなんですけど、完成した街の景色がめっちゃきれいなんですよ。映像が美しいゲームをINZONE M3みたいな発色のいいモニターで見てみたい。

 仮に自分がINZONEをプロデュースさせてもらえるなら、やっぱりリフレッシュレートを360Hzに対応させて、画面サイズを24インチに。パネルはINZONE M3と同じIPS。もし同じくらいの応答速度と表現力を実現できるなら、有機ELなんかもいいかもしれない。

 解像度はフルHD一択ですね。FPSゲーマーにとってはフレームレートが何より大事なので、4Kってあまり使わないんですよ。4Kにすると敵が明瞭に見えすぎて、その情報量の多さがノイズとして感じられて、判別しづらくなることもある。そういう点で、INZONE M3でフルHDを採用したことにソニーの本気を感じたとも言えます。

 ただ、あくまでも僕は製品として市場に出たものを見ているだけ。製品を設計する技術者の視点は、きっとまた別ですよね。技術者にしかわからない新たなアプローチがあるかもしれないですし、その辺りは本当にリスペクトすべきだと考えています。

INZONE、そしてソニーに期待するもの

 最後にもうひとつ、企業的に難しい話かもしれないですけど、コストパフォーマンス重視のモデルもほしいです。FPSプレイヤーには若い子が多くて、18歳未満でプロを目指している子もたくさんいます。そういう子たちも選べるように、譲れない必要最低限の部分以外を削ぎ落とした安価なモデルを作ってもらえると、eスポーツのコミュニティが喜ぶ、意味のある製品になると思います。

 INZONE M3で個人的にちょっといいなと思ったのがスピーカーを内蔵している点。ゲーミングモニターでスピーカーを内蔵している製品って意外と少ないように思います。もっといい音で聞きたいときや本気でゲームをプレイするときはヘッドセットを使うでしょうし、「スピーカーはこれで十分」と考える人も多いんじゃないでしょうか。

 そのうえ、INZONEシリーズはM9もM3もオートのKVMスイッチ機能を持ったUSBハブも装備していますから、キーボードやマウスをこれに接続できますよね。

 ゲーマーにとってモニターは絶対に必要な“軸”なんです。外付けスピーカーがいらなくて、面倒なキーボードやマウスの配線をモニターに一元化できる。ライトユーザーにとっても扱いやすいと思いますよ。

 先ほど「INZONEのキーボードやマウスにも期待している」って言いましたけど、もしそれが実現したとすると、ソニーならeスポーツを始めるのに必要なすべての機材がオールインワンになった“初心者向けeスポーツセット”みたいなものを作れそうな気がします。

 いまはゲーミングPCだけでなく、キーボードにマウス、マウスパッドとひとつひとつ買い揃えたうえに、それをセットアップしないといけない。初心者にとってはマウスのdpi設定ひとつ取っても大変なことです。

 コストパフォーマンスを重視しながら本気で作った廉価版モニターを軸に、ゲーミングPC、マウスパッドにマウス、ヘッドセットがINZONEブランドで一発で揃い、しかもいろんな設定がデフォルトですぐに使える状態になっている。そんなセットを作れそうなメーカーはなかなか思いつきません。

 ソニーはゲーミングギアの世界に入ってきたばかりなのに、そういうことができる可能性をいきなり持っているメーカーなのかなって思うんです。INZONEというブランドには、ソニーという企業でしかできない新しいアプローチを期待したいですね。

▼動画を見る

TOPに戻る

  • twitter
  • facebook

to page top