法人のお客様ラインアレイスピーカー

ラインアレイスピーカー『SLS-1A』

ラインアレイスピーカー
『SLS-1A』開発者インタビュー

第3回アプリとの連携で広がる音響設計

先進のアプリケーションとの連携で
自在で緻密な音場生成を実現
ソニーが新たに開発した業務用パワードラインアレイスピーカー『SLS-1A』。その誕生の裏側に全3回にわたって迫る開発者インタビューの最終第3回目となる今回は、アプリケーションやソフトウェアを活用した高度な音響設計と、その実現に込められたこだわりや思いについて開発メンバーに聞きました。

「Placement」画面(左)と「Beam」内「Steering/Spread」設定画面(右)
(※画面はイメージです)

SLS-1Aが対応した『EASE® Focus 3』と『FIRmaker® 3D』について解説をお願いします。

吉岡:『EASE® Focus 3』は、コンサート会場などに設置されるような大きなラインアレイスピーカーでも採用されているAFMG®社製の音響シミュレーションソフトです。部屋情報やオーディエンスエリアとスピーカーの配置を入力することで、均一な音圧分布のシミュレーションと指向性制御用のFIRデータ生成の計算処理ができます。今回、SLS-1Aも対応したことで、設置する空間に合わせて聞く人の位置を指定し、スピーカーの位置や角度によってどのように音を届けられるかを確認したりきめ細かく調整したりすることが可能となっています。

「EASE® Focus 3」の操作画面
(※画面はイメージです)

白川:元々コンサート会場などではスピーカーを縦にして設置することが多く、従来の『EASE® Focus』は『FIRmaker®』を用いた指向性制御は縦位置でしか対応していませんでした。しかしSLS-1Aを開発するにあたり、音を水平方向に広げて画面内定位を実現するには、横配置での指向性制御も欠かせません。そんななか、運も味方したのか、ちょうどタイミングよくAFMG®社が横配置にも対応した『FIRmaker® 3D』を開発していることを知り、私たちが目指している横配置での指向性制御を実現できるようになったときはうれしかったですね。

吉岡:また、SLS-1Aはスピーカーユニット同士の音の放射を低域から高域まで位相も含めて細かく制御できる「FIRフィルター」に対応しているという話が第1回でも出ましたが、AFMG®社の『EASE® Focus 3 / FIRmaker® 3D』で、音を視聴したいオーディエンスエリアに対して最適な指向性制御をより高い精度で自動的に算出することができます。

『EASE® Focus 3』ではトップビューとサイドビューにオーディエンスエリアを描き、「GLLデータ」というSLS-1A用スピーカーデータを配置します。この「GLLデータ」はWebから無償でダウンロードできますので、『EASE® Focus 3』とともにダウンロードして一度使ってみていただけるとSLS-1Aの使用法が広がっていくのではないかと思います。

背面に搭載したディップスイッチの用途について教えてください。

吉岡:SLS-1Aは複数台を連結して使用することが多いと思いますが、小さめの会議室などでは1台で使用することも考えられます。その場合、本体のディップスイッチを操作することで、その場で音を聞きながら6つのパターンに合わせた簡易的なビームコントロール設定が手間をかけずにPCレスで行えるようにしています。

そのほか、強調したいポイントや工夫した点について聞かせてください。

大嶋:最大6台まで連結でき、しかも上下左右に向きを変えても使用できるということで、さまざまなパターンを想定してUIを制作するところは大変でした。また、上記のディップスイッチでの操作から『Line-Array Speaker Manager』、『EASE® Focus 3』と、SLS-1Aはユーザーのタッチポイントが複数ありますので、それぞれの立ち位置を考慮しながらUX(ユーザーエクスペリエンス)のコンセプトを決めるところはむずかしくもあり、同時に面白さも感じながら取り組めました。

※SLS-1A関連のダウンロードはこちら