飯塚病院 様
飯塚病院は福岡県の中央部に位置する地域の中核病院です。1918年(大正7年)の開院から100周年を迎え、診療科目42科・部、1,048床、年間5,865件(2016年実績)の手術を行っています。
飯塚病院 臨床工学部 主任
沖永一樹 様
飯塚病院には、MEセンター、手術室、内視鏡センター、心臓カテーテル検査室、ICU、人工透析センターなどそれぞれのセクションに分かれて約70名の臨床工学技士が所属しています。人数は8年前から3倍程度の規模になり、20歳代後半から30歳代前半の若いメンバーが多く所属しています。以前は、ゼネラリストとして全般的な知識と経験が必要とされていましたが、最近では、医療機器が高度に進歩してきているため、専門的な知識と経験を持ったスペシャリストが必要とされてきていると考えます。手術室のセクションには現在、13名の臨床工学技士が担当しており、パソコンや術野カメラまでを含む手術室内にある全ての医療機器を扱っています。
2017年3月に心臓血管外科の手術室に4K/HD 術野カメラ「MCC-S40MD」と、フレキシブルに撮影位置に合わせることができる三軸雲台「3DS-H100*」、カメラ・レンズ・三軸雲台を一体型で操作できるコントロールユニット「RCU-S3000*」を導入いただきました。
また、メディカルHD レコーダーも手術室に設置し、高画質で撮影から記録までをカバーする環境が構築されています。
*オリオン技研株式会社製
これまでも心臓血管外科の手術室において術野カメラは使用していましたが、映像の質が悪く、かなり老朽化していました。そこで、心臓血管外科の部長とカメラ更新の話を進めてさまざまな学会で視察調査をしました。そんな中、日本内視鏡外科学会に出展していたソニーの術野カメラを目にし、すごく鮮明な映像に驚かされました。その後に、いくつかのメーカーのカメラを比較検討して、その中から2社を選びデモンストレーションをしてもらいました。選定基準にしたのは、「画質の鮮明さ」と「コントロールのしやすさ」です。その結果、ソニーの術野カメラシステムを採用することになりました。出席したメンバーの評価も高かったです。手術台の角度や高さの変更に合わせてカメラポジションを簡単に合わせることができてフォーカスも瞬時に定まりやすい。他社のカメラは操作を考えながらしなければなりませんでしたが、ソニーの術野カメラは直感的な操作が可能でした。
MEは手術に立ち会い、映像を見ながら機器を操作します。例えば、心筋梗塞や狭心症のバイパス手術ではミリ単位の精密な血管接合が行われます。不鮮明な映像では、その状況を正確に素早く把握することが困難です。以前のカメラでは出血点がわかりづらいなどの問題がありました。今起きている状況がハッキリとわからなければ、MEの対応動作は1テンポ遅れてしまいます。ソニーの術野カメラでは、血管を縫う際にどちら側から針を掛けて糸を通しているか、執刀医の細かな動作をズームしてしっかりと確認できます。以前はここまで確認することは不可能でしたが、ソニーの術野カメラを導入してからは、鮮明な映像で状況が瞬時にわかるので、執刀医の次の行動が予測でき、一歩先を考えて行動することができます。執刀医を待たせず、次の準備を整えることが理想です。そのスピードが格段に早くなりました。これが以前と現在の大きな違いであり進歩です。ソニーの術野カメラについての心臓血管外科の医師の評価はとても高く「以前よりも格段に映像が綺麗になった」と言っています。不満は一切上がっていません。見た目のデザインもスタイリッシュで優れています。角張った箇所がないので、クリーニングの際に拭きやすく、日常的なメンテナンス管理もしやすいです。
現在は、HD(ハイビジョン)で利用していますが、次のステップでは4Kの本格導入を進めていきたいと考えています。術中映像を4Kモニターに映し出すことに加えて、レコーダーに録画した映像を4Kモニターに出力できるようにしたいと考えます。
手術映像を撮影・記録することにおいては、実は教育に活用するという大きな役割もあります。鮮明な映像を見て、執刀医から技術を学ぶことは研修医にとって貴重な体験ではないでしょうか。理解できるまで何度でも映像を見返すことができることも素晴らしいことです。映像が鮮明になると医療教育への貢献度も高まると思います。例えば、習得するのに1年掛かっていた技術が、映像が鮮明になることで理解のスピードが早まって半年で身につくようなことにもなる可能性もあると考えます。カメラ技術の進歩はそんな良い影響もあるのではと個人的に感じています。ソニーには、映像や音楽など最先端技術を医療の世界にも積極的に導入してもらいたいです。今後ソニーの持つ可能性を医療の進歩に役立ててくれることを期待しています。