野亀歯科医院 様
従来の歯科治療では歯科医師の勘と経験を頼りにした治療が主流でしたが、顕微鏡による治療を取り入れることで、従来に比べ明るく拡大して観察でき、格段に精度の高い処置が可能となりました。また、カメラによる映像記録を患者と共有することで、より治療を深く理解していただく説明もできるようになりました。岡山県美作市の野亀歯科医院では、顕微鏡を用いた精密な虫歯治療(ダイレクトボンディング)や根管治療、インプラント治療を得意としています。
・顕微鏡にHDビデオカメラMCC-1000MDを装着して治療の模様を映像で収録
・映像はプレゼンテーションシステムのハードディスクに記録され、患者説明に使用
・リアルタイムにもモニター表示され、助手も顕微鏡側面の小型モニターで進捗状況を確認できる
子供の頃から絵や工作が好きで細かい手作業に没頭する性格でした。肉眼の限界を超えた拡大装置を使っての治療に惹かれ、大学卒業と同時に拡大鏡を購入して使い始めました。しかし、拡大鏡で拡大視野を得られても、それを見ることができるのは術者のみであり、患者や医院スタッフにその恩恵はありません。それが、顕微鏡映像を活用して治療のBefore / Afterの比較を鮮明な記録映像で見てもらうことで、口頭説明では理解してもらいにくかった治療の過程や効果を患者に認識してもらうことができます。口腔内全体の詳細状況や日々のケアについて動画で説明する時間も増えて、患者自身の歯に対する意識や価値観も育っていきます。さらには、スタッフとの情報共有と教育、学会の症例発表やセミナーなどにも活用の幅が広がります。
以前にも別メーカーのCCDカメラを使っていましたが不満な点がたくさんありました。まず、映像が暗く全体的に影の中にいるような感じがありました。白飛びや黒つぶれ、被写体の滲みなど、描写力が低い映像が多かった為、歯に入った亀裂、神経の細く長い管の中で折れて残っている治療器具など、「ここぞ」という患者に見せて説明したい被写体がうまく描写されないストレスがありました。
そんな中、ソニーのHDビデオカメラMCC-1000MDを紹介されました。さっそくデモンストレーションを行いましたが、結果は映像に満足できませんでした。当初の段階では歯科治療独特のニーズに応えきれていなかったのです。照明器の超高光量に対する白い歯という高コントラストな被写体を撮影して、ミラーを使う特殊な診療環境でスムーズに使えるようにするには改善しなければならない点が多くありました。
数ヶ月に渡る調整を重ねる中で、歯科用途に対応した設定が追加され、最終的にはデモンストレーションに立ち会った関係者から歓声が上がるほど、誰が見ても当初よりも格段に鮮明で納得のいく映像が撮影できるようになりました。顕微鏡を覗く私の目で見えているものとほぼ同じ見え方で描写できています。光量が強くて従来は白飛びしてしまっていた歯の亀裂や汚れ残りはもちろんのこと、歯肉の炎症もハッキリと区別がつくようになりました。
撮影するライブ映像は大きなモニターに映し出すことで患者と情報共有してコミュニケーションがとれるようになり、細部の状況を理解してもらえるようになりました。また、助手側にも顕微鏡側面に小型モニターを設置したことで治療の過程が楽な姿勢でリアルタイムにスタッフと共有できるようになりました。医師から口頭の指示を受けなくてもスタッフ自身が映像を見て次のアクションを判断できることで、治療器具の受け渡しタイミングがスムーズになるなど作業効率化につながりました。
これまで肉眼では見ることもかなわなかった細かな世界を理解できるようになった一方で、顕微鏡を覗きながらミラーで見ながら切削機器を使いこなすことは容易なことではありません。私自身も当初は取り扱いに慣れずに、半年間ぐらいは診療後に自主練習を積み重ねテクニックを習得しました。歯科医にとって難しい技術ではありますが、今後さらに正確で確実な診断と治療のためには必須となっていくはずです。現在でも日本の歯科顕微鏡治療技術は世界をリードしており、顕微鏡に映像カメラを装着して撮影するスタイルは主流になってくると思います。
その背景がある中、撮影機器を何にするか悩むというのは誰しもが通る道であり、下手をすると満足する結果が得られずに何度も機器を買い替えることになります。市販の一眼レフやハンディーカムを装着する事例もありますが、それだと重量がかさんだり機動性に制限があります。その点、ソニーのHDビデオカメラは小型サイズで軽量なので治療機器の操作性に影響を与えにくいということがあります。毎日毎回の治療で使用していく中で重要なポイントです。
学会やセミナーにおいても映像によるプレゼンの機会は今後ますます増えてきます。明るく描写力の高い映像は目を引くでしょうし、より説得力のあるプレゼンに仕上がるはずです。歯科治療撮影におけるノウハウを積み重ね、正確さと審美性を求められる歯科医のニーズに応えて、静止画記録装置の画像にも負けないくらいさらに良い映像になるようにアップデートを重ねてもらえることをソニーには期待しています。
奥行きのある根管内の広い範囲でピントが合い、解像度が高いことでひび割れの進行がどの範囲で起きているのか患者にもわかりやすく説明できます。
暗いところ、明るいところも黒潰れ、白飛びしにくく撮影できるため簡易的に全顎的な口腔内写真撮影に用いることもできます。
色彩が豊かに表現され、術者が実際に鏡筒をのぞいている時に見ている色とほとんど変わりない印象の映像が撮れます。特に赤がよく出るのが良いところです。
MCC-1000MD
圧倒的な高感度と広いダイナミックレンジを実現し、リアルに近づく新世代3CMOSセンサーカメラです。
※本記事に記載されている製品は医療機器ではありません。