HUSシステムでの手術は、顔を上げて執刀ができ、顕微鏡を覗き込み続ける姿勢がなくなるので、頚椎や腰椎を痛めるような身体の負担が軽減されます。また、術者自身が年齢を重ねて老視が進んでしまった場合でも、鮮明な映像がくっきりとした色でモニターに大きく映し出されるので、手術がしやすくなり、術者寿命が伸びることが期待されます。高倍率条件でのアナログ顕微鏡では、術野の被写界深度がとても浅くなり、手術中にピント合わせを頻繁に調整する必要があり、手術効率や正確性が低下する可能性がありましたが、HUSシステムにおいては深い被写界深度を得ることができ解決しました。

3D対応4K液晶モニター LMD-XH550MTは、手元の動きとモニターに映し出される映像にほとんど遅延を感じません。液晶モニターに映し出される映像は、カメラはオート設定のままでも明るく自然な色合いで、従来品（LMD-X550MT）と比較してコントラストが高く解像感があります。「ローカルディミング方式」で、液晶パネルのLED発光量がエリア単位で個別に制御されているので、術野の細部や質感が視認でき、OLED方式のモニターと比較しても遜色はありません。さらに、表示する映像の色やコントラストを強調して、暗部の視認性を高める「画像エンハンス機能 A.I.M.E.」があり、これは執刀医ごとの好みや術野の症例に合わせて手術中でも適宜ON/OFFを切り替えることができます。

従来の接眼鏡筒を覗き込む手術の場合は、術野を明るくするために強い照明をあてる必要があり、それが長時間に渡った場合は顕微鏡の強い光による網膜への負担（光毒性）が懸念されていました。一方、HUS眼科手術においては、高感度カメラで撮影した映像は、画質を落とすことなくモニターに鮮明に映し出すことができ、照明が足りず暗い画像になっている場合は、ゲインを上げるなどの操作で明るくすることが可能なので、少ない照明でも充分明るい術野を視認できます。このことで患者の術中光障害は大幅に軽減されているはずです。

手術中は常に術野が大型モニターに3Dで立体表示されているので、助手やスタッフも3Dアイシールドを装着することでリアルな状況を把握できます。このことで器械出しなど次にすべきステップのタイミングが共有でき、作業の効率化につながります。

学生や若手医師はベテラン執刀医の技術を見たままにわかりやすく体験することができます。また、若手が執刀の場合、その場で指導医がモニター上で術野を指し示してレクチャーすることで学習や安全性につながります。手術後は、3D HDビデオレコーダー HVO-3300MTに記録された録画映像を執刀医自身が見直すことや、指導や学会利用にも活用しています。HUSシステムでの手術では、手術中の映像画角が部分的でなく全体として残るので、若手は癖のない模範的で上手な手術を身につけることがしやすくなるのではないでしょうか。