極初期の段階の癌においては、病変が平ぺいなので発見が非常に困難である。従って、色調の微妙な変化が診断の決め手となり、特に食道癌、胃癌の検査ではモニターの精度が診断力に強く反映される。
そのため当院では常に最高の画質を求めてきたが、残念ながらこれまで使用していたモニターの画像に物足りなさを感じていた。そんな中、クリニックに診察に来ていたソニー社員(技術者)から、たまたま有機ELモニターの存在を聞いた。
実際にデモにて実物を見たところこれまで使用していたモニターと比較して画質の良さを感じられたため即導入に至った。
コントラストが非常によく感じられ、また黒が真っ黒である。
加えて色合いも良いため微細な診断をする際には非常に向いていると感じる。
内視鏡の映像には遠近感があり、診断においては近くから見た診断(近景)と引き気味に見る診断(遠景)の両方が必要であるが、特に遠景のときに色が鮮明にでていて解りやすい。
これまで使用していたモニターでは奥の方が暗くなってしまうが、有機ELは奥までが鮮明に見えるため診断のし易さにつながる。
また液晶モニターに比べて残像感も少ない印象がある。
腹腔鏡手術には向いている。また、気管支鏡は筒状になっており奥まで光が届き辛いため遠くの映像が見えにくい。 奥の暗い部分の映像が鮮明に見える有機ELはこの領域では威力を発揮するだろう。
モニターレベルで輪郭強調などのエンハンス機能があるとよいのではないか。内視鏡にもついているが、それがモニター自身でもできるとより便利になるのではないか。また3D映像などについても有機ELで見れるようになることを期待したい。