内視鏡下での鼻副鼻腔・頭蓋底手術を専門分野とし、難治性副鼻腔炎から鼻副鼻腔・頭蓋底腫瘍まで、嗅覚など鼻副鼻腔機能も温存する手術に取り組んでいます。
神経内視鏡手術(脳神経外科領域の内視鏡手術)を専門とし、下垂体部病変や水頭症、頭蓋内出血などへの治療に携わっています。
畑崎先生:
もともと民生用のヘッドマウントディスプレイに興味を持っており、医療用ヘッドマウントモニターが発売されたことを知って、脳神経外科の手術で試用してみました。下垂体手術においては、耳鼻咽喉科と協力して手術を行っているため、試用の際に耳鼻咽喉科の小林先生にもお使いいただきました。
畑崎先生:
まず映像に臨場感が得られるところ。実際は2Dの映像であるにも関わらず、疑似3D感を得ることができます。更に3D内視鏡と組み合わせた際の立体感は、本当に鼻の中にいるような感じでした。また、眼前にモニターがあることで自由な体勢での手術が可能となり、特に助手のオペレーションは楽になると思います。それぞれのヘッドマウントモニターにそれぞれ必要な映像や情報を表示できればさらに有効だと思います。
小林先生:
特に内視鏡を動かしている時に3D感が得られます。今回試用した下垂体の手術においては、内頸動脈などの危険部位を立体的に感じることができるため、副損傷の危険回避にもつながります。また、眼前の背景が暗い中で、映像だけがくっきりと見えるため、没入感が得られる効果もあります。自由な姿勢で手術が行える点も効果的で、例えば脳神経外科医と耳鼻咽喉科医が協力して手術をする際、内視鏡を保持してサポートする医師は、これまでやや不自由な姿勢で固定モニターを見ていたのですが、ヘッドマウントモニターを使用することで、固定モニターの位置を気にせず、楽な姿勢で手術を行うことができます。
小林先生:
頭蓋底操作には有効です。損傷してはならない血管が多く、また隆起が多い箇所であるため、リアルな3D感を得られることで危険部位が認識しやすくなり、安全性の向上につながると考えます。また立体感と臨場感が得られるため、若手医師と医学生の教育にも使えると思います。
畑崎先生:
同じく教育向けには向いていると思います。没入感が得られるため、自分自身が手術している感覚が得られるのではないでしょうか。また目の前で大きく映像を見ることができ、術者それぞれで表示画面が選択できる点が、血管内治療領域でも有用かもしれません。ただその際には手元が十分に確認・操作できるかは重要ですね。
小林先生:
手術指導教育用に指導医が映像上で指示できる機能(スーパーインポーズ機能)があればよいですね。また、小型カメラを装着して、手元など周囲もフットスイッチなどで画面を切り替えて見えるようにすれば、より使いやすくなると思います。
畑崎先生:
やはり、フルハイビジョンへの対応など、より画質は向上していって欲しいと思います。また、ナビゲーションなどを重ねて表示することができたりするといいですね。このあたりが機能追加できれば、ヘッドマウントモニターはより一気に普及していく可能性があると思います。