1984年 東京大学医学部卒業。二十数年間にわたり脳動脈瘤、頚部頚動脈狭窄、バイパス術などの脳血管障害の手術治療、良性脳腫瘍の手術を中心に取り組み、この分野において豊富な手術経験を有するエキスパート。遠来からの紹介も多い。解離性脳動脈瘤の症例は約300例を超え、世界一の症例数である。
水谷先生:
私がこれまでにかかわった脳動脈瘤の手術症例数は、約2000件に達します。手術に際し、クリップを脳動脈瘤ネックの適正な位置に、迅速にかけることが、手術の成否への重要なカギの1つと考えています。
脳動脈瘤に到達する過程では、細い血管や組織を損傷・出血させないように、顕微鏡下で正確に、手術操作を実施しなければなりません。
水谷先生:
また、クリップをかけた後には、動脈瘤内への血液流入がクリップによって確実に遮断できているか、母動脈が狭窄していないか、穿通枝が温存できているか、直視下によく確認し、さらにICG* 蛍光法(写真③)を用いてチェックします。
水谷先生:
前述のクリップ留置の準備(写真①,②)と、A.I.M.E.画像技術を使用した画像(写真④,⑤)を比較すると、A.I.M.E.画像はコントラストや色調の強調機能により、「赤」が強調され、より鮮明な画像であると感じました。実際の術者は顕微鏡のレンズを直接覗いて手術しているのですが、周囲でこのモニターを見て手術を会得しようとする医師にとって、より細かい組織や術者のハサミの動きを識別することができ、手術を学びやすく、また術後に手術を何回もチェックする上で、とても有用ではないかと思いました。モニターの鮮明度が上がれば将来モニターを見ながら手術を施行することができる可能性にもつながると思います。
水谷先生:
さらに、ICG蛍光法での確認(写真③)でも同様に、A.I.M.E.のコントラスト強調効果(写真⑥)により、明瞭な画像になったと思いました。これらのことからA.I.M.E.は、顕微鏡下の手技において、いろいろな可能性と、将来性を秘めていると思いました。
水谷先生:
脳室経由でアプローチできる場合、より低侵襲である脳内視鏡による生検を行うことが可能です。術者は、脳組織へのダメージを与えない細心の注意が求められますが、脳脊髄液に若干濁りがある際など、目的組織までの距離感がつかみにくく、生検サンプル採取時に難渋する場合があります。
水谷先生:
A.I.M.E.を使用した画像(写真⑧)は、A.I.M.E.使用前の画像(写真⑦)に比べ、より焦点が合ったように見え、組織の形状を把握しやすいように感じました。また周囲の髄液に、濁りが存在している環境下でもこの技術で、より明瞭に見える可能性があり、より手術のリスクが減るのではないかと感じました。
水谷先生:
顕微鏡下の脳動脈瘤クリップの挿入、クリップ留置後のICGでの確認、また、脳内視鏡での生検時の画像において、“A.I.M.E.画像処理技術は、高いコントラストを実現し、それぞれの組織を明瞭にすることによって、術者のストレス低減と手術中のリスク軽減に貢献する可能性を感じました。”
(ソニー編集者:水谷先生、インタビューと画像評価ありがとうございました。)
A.I.M.E.™ (Advanced Image Multiple Enhancer)は、内視鏡カメラなどからの医療画像を内蔵画像処理技術(ハードウェア処理)により、高速に、コントラストや色を強調できるソニーの独自の技術であり、従来のエッジをシャープにする強調とは異なり、構造物自体を強調することができます。
※ソニーLCDモニターは診断や治療を意図した医療機器ではありません。(日本では非医療機器扱い)
また、A.I.M.E画像処理技術は臨床上の効能・効果を保証するものではありません。