旅行の思い出の残し方。すぐに思い浮かべるものといえば、写真撮影ではないでしょうか。しかし、旅の道中、使っているのは目だけではありません。聴覚に触覚、嗅覚、味覚…。そう、五感を活用すれば、旅の思い出はもっとリッチに残せるはず。
そこで今回、大人のソニーでは、聴覚と記憶との結びつきに注目。旅作家の小林希さんと一緒に、“耳に思い出を残す旅行”を考えてみました。
その方法は2つ、「旅のプレイリスト」と「サウンドフォト」です。
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小林希 旅作家
1982年東京都出身。大学在学中から海外をバックパッカーとして旅をする。2005年サイバーエージェント入社。子会社のアメーバブックス新社で多くの書籍を編集した後、2011年末に退社、その日の夜から一眼レフとともに旅に出る。1年後帰国して、その旅を綴(つづ)った『恋する旅女、世界をゆく ――29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎)でデビュー。9月末には各国旅先で撮りためた猫の写真集、『美しい柄ネコ図鑑』が発売予定。
曲を選んで、スーツケースに詰める
最初に紹介するのは、旅のプレイリストをつくって思い出を耳に残すという方法。
まず出かける前に、旅先のイメージをふくらませながら、楽曲をウォークマンに転送します。選ぶ曲は、旅する場所の文化などからインスピレーションを受けたものや、自分が聴きたいと思う曲で大丈夫。ふだんの荷造りに、音楽を選ぶという要素を加えます。
旅先でイメージとつながった曲を聴くことで、旅行でのことを思い出す手がかりを増やします。いわば、旅先で曲を聴くという行為は、テレビドラマなどでの「その場面での挿入歌を設定する」ということ。
この方法、旅をライフワークにし、数えきれない場所を訪れてきた小林さんに体験していただきました。
今回の企画はクラブツーリズムとのコラボ企画。おすすめの旅先を巡ってきました!
旅のはじまりはテーマソングから
今回、思い出を耳に残すという方法は初体験、のはずだった小林さん。しかし、旅のはじまりに聴いている曲、テーマソングが実はあるとのこと。それは、久保田早紀の『異邦人』。
「私が旅をするようになったのはアジアからなのですが、この曲はアジアンな雰囲気もあって、その旅からずっと聴いています。曲調が旅の出会いと別れを示すものだったり、情景が思い浮かびやすいものであったりしたので、どんな旅の雰囲気にもマッチするのです」(小林さん)
小林さんのように、旅のときに毎回聴くテーマソングを設定すると、これからはじまる旅に対して、自分の気持ちを高められそうです。
歩き疲れたら、音楽と一息
ここからは、旅先のシチュエーションに合わせた曲の選び方を、実際の小林さんの旅を追いながらヒントを紹介します。
「写真が風景を記録するものなら、音楽は感情と結びつくもの。休憩のときなんて写真は撮らないかもしれないけれど、歩き疲れる前までに見てきた景色やできごとに対して、きっとなにかの感情を持っているはず。その思いと曲が結びつきます」(小林さん)
旅のどんなときにもある「歩き疲れ」。そんなときは、なんだか癒やされる優しいボーカルを聴いてみるのも良さそうです。
音楽が気持ちをさらに高める
自然の音が美しい波打ち際。ここでも、小林さんに音楽を聴いていただきました。
「旅先で音楽を聴くメリットのひとつに、『旅を作品に仕上げられる』というものがあると思います。そのときの心境を、効果音として盛り上げてくれる。そうすると、旅そのものに躍動感が出ます。自然の音を聴くのもいいけれど、自分で選んだ音楽を聴くと、旅を自分でプロデュースできる。一本のドラマのように仕上げられそうです。もちろん、自然の美しい音を聴かないのはとってももったいないので、曲は自然の音を楽しんだあとで聴いてみてくださいね」(小林さん)
自然のなかでは、落ち着いたインストゥルメンタルの曲がおすすめ。自然のなかでリラックスした気持ちを損なわず、むしろその気持ちをもっと高めてくれるはずです。
もちろん、ドラマのロケ地なら…
映画やドラマのロケ地めぐりというのも、旅の面白みのひとつ。行く先にロケ地があれば、その映画やドラマの主題歌を聴いてみるのも素敵です。当時、ドラマをみていた時の記憶が一瞬でフラッシュバックしそうですね。
気持ちを休めて明日に備える
1日が終わり、もうあとは寝るだけ。旅館の部屋でくつろいでいるときには、気持ちを落ち着けてくれるクラシックやジャズを聴いてみるのがいいかもしれません。気持ちも落ち着いて、今日もぐっすり眠れそう。
「旅って、五感をフルに使っていますよね。見たこともない風景に出会ったことのない人、味わったことのない食べ物、それに聴いたことのない音。慣れていないものばかりだから、ずっと心のアンテナが立っている状態。旅のあいだ、ずっとその状態だと疲れきってしまいます。なので、宿泊先では目をつぶって、いつもリラックスするときに聴いている親しんだ曲などを流して、心のアンテナを休ませてあげるんです」(小林さん)
旅の思い出は音楽とともに
小林さんには、今回の「耳に残す旅」を体験いただいたあと、後日また、旅の最中に聴いた音楽を聴いていただき、感想を話してもらいました。
――耳に思い出を残すという方法でしたが、いかがでしたか?
「とても良い体験になりました。私は普段、一眼で写真を撮って思い出を残すのですが、それは日記を書いているのとおなじ感覚で、瞬間瞬間を一枚の写真に封じ込めています。それが写真。でも、音楽って一瞬のシーンではなくて、聴いている時間はもっと長かったりしますよね。だから、そのとき、その曲を聴いていたときの感情とぴったり結びつくんです。写真よりも、感情的な部分をより思い出しました」
――「旅を作品にする」というコメントをいただきましたが、どんな意味があるのでしょうか?
「はい、旅行であれば、行先を自分で決めるというのはあたり前のことだと思います。でも、そこに行ったときの感情も自分でつくり出せたらもっと面白いですよね。ここでこの曲を聴こうという意志と、目の前の風景が結合される」
「曲で、旅先での感情をプロデュースするんです。曲を選ぶことが、旅先に持っていく感情を選ぶことになって、曲が、旅に彩りを添えるのです」
ヘッドホン「h.ear on Wireless NC(MDR-100ABN)」には、ノイズキャンセリング機能も搭載
「旅先って、ふだん聞き慣れない音がたくさんあって。特にアジアなんて音の海なんです。そんななかにいると、落ち着きたくても落ち着けない。ホテルの部屋のなかにいても、外の音って聴こえていますから。そんなときにはこんなノイズキャンセリングの機能があるといいですね。しかもワイヤレスなので快適です」
サウンドフォトが思い出を強くする
さて、もうひとつ、耳に思い出を残す方法としてご紹介したいのが「サウンドフォト」です。サウンドフォトというPlayMemories Camera Appsのアプリをカメラに入れて撮影をすると、シャッターを切る前後数秒の音を録音、静止画に音が記録されるというもの。
実際に撮影したものがこちらです。
動画を撮るほどではないけれど、写真だけでは伝えたい良さがなかなか伝わらない。そんなものとして、今回は風鈴を撮影してみました。みなさんのアイディア次第で、旅行先の土地独特の音を撮れるとさらに面白そうです。
「音が加わると、写真に立体感が出ますね。豊かになる気がします。意外と、写真では想像がつかないようなギャップがあったりとか、隠された前後のシーンをおさめられるのが面白そうです。私なら、旅先で出会った動物を録ってみたいですね。猫なんかは、鳴き声も一緒に記録したほうが、もっとかわいさが伝わるような気がしませんか?」(小林さん)
企画協力
- 小林希
- 旅作家。9月末には新刊『美しい柄ネコ図鑑』を刊行予定。キジトラ、サバトラ、三毛、サビ……猫好きの著者が長年旅する間に撮りためた、世界と日本の美しい柄猫を厳選して紹介。肉球や目の色、鼻や耳などネコパーツや日本の猫島などさまざまな地域でのネコ柄の特徴、世界30都市の美しい柄ネコ代表など盛りだくさん。