地デジやブルーレイの、美しいフルHD映像。そのさらに4倍、約829万画素の解像度をもつのが、4K(水平3,840x垂直2,160画素)液晶パネルだ。大樹の葉の一枚一枚が、滝のしぶきの一滴一滴が、その質感やディティールまでもリアルに描き出され、まるでその世界に引き込まれたかのような臨場感を体験することができる。
ソニー・ピクチャーズは、昨年から4Kならではの高解像度で名作映画を楽しめる「Mastered in 4K」のブルーレイ盤を発売している。ソニーの4K 対応ブラビアなら、 Mastered in 4Kモードを搭載しており、オリジナルの4Kに近いハイクオリティーな映像を楽しめる。
現在15作ラインナップされている中で、まず最初にこの4Kの美しさを体感するとしたら、どのタイトルがよいだろうか?
ソニー・ピクチャーズでプロダクトマーケティングを担当している正木祥貴マネージャーに聞いたところ、オススメの作品はピーター・オトゥール主演の『アラビアのロレンス』(1962年公開)と、ロバート・デ・ニーロ主演の『タクシードライバー』(1976年公開)。この2つのタイトルを、15日に発表したばかりの、新しい4K対応ブラビア「X9200Bシリーズ」で体験した。
『アラビアのロレンス』では、まず、ロレンスがオートバイ事故を起こす。バイクが猛スピードで走る背景を木々の緑が飛ぶように流れていく。正木氏によると、こうした動きのある場面では、その緑色が従来のDVDなどではにじんでしまうのに対し、「X9200Bシリーズ」なら公開当時の色合いに忠実に観ることができる。超解像度高画質回路「4K X-Reality PRO」が、高精細かつ高品位な画質を実現。フルHDでは表現しきれなかった細部まで再現でき、質感やディティールまでもリアルに描き出すから、砂漠をラクダに乗って移動するシーンでは、砂ぼこりの細かな広がりや、砂漠の遠景のシーンでは、山の稜線や遠くの人物もぼやけずに見える。
そして、最も「X9200Bシリーズ」で4Kクオリティの威力が発揮されるシーンと太鼓判を押すのが、砂漠の夜明けのシーンだ。X-tended Dynamic Rangeがソニー独自のアルゴリズムに基づくバックライトのコントロール高画質処理によって優れた光の表現力を実現。暗い部分はより暗く、明るい部分はより一層明るくしてくれるから、薄暗いシーンでも、そこに映っている人物が演じる表情まで明確に見えるため、「観づらいから目を凝らす」といった、観客の没入感を損なうことがない。夜の砂漠を照らす月明かりや、夜明けの太陽光線の輝きが美しく観られる。
正木氏は『アラビアのロレンス』について、フィルムの傷や、クラシックフィルムに特有の画面のざらつきをきれいにし、顔などについた砂漠の砂の細かな粒や、大自然の限りない色彩を、ここまで忠実に再現してみせた作品はないという。「もちろん技術的に直すことはできますが、フィルムに色を載せすぎると、CGになってしまう。そうなると一瞬にして名画の価値が損なわれてしまいます」。
「この映画で印象的な映像の一つに、主演のピーター・オトゥールの青い眼があります。当時の製作者により、彼の眼もとても鮮明な青さに再現されています。ぜひ4K対応ブラビアで見てください」。
そして、「X9200Bシリーズ」に搭載された大型フロントサイドスピーカーが、映像との一体感をもたらす迫力あるサウンドを実現してくれる。映画には、音楽も切っても切れないもの。4Kクオリティの映像だけでなく、音楽も迫力ある音で楽しむことで、『アラビアのロレンス』のすばらしさを再発見できる。
そしてもう1作は、『タクシードライバー』だ。
物語は、デ・ニーロ演じる元海兵隊員の青年トラヴィスが、大都会ニューヨークでタクシー運転手の職を得るところから始まる。嫌な大人たちに支配された世の中に不満と怒りを感じた彼は、精神を少しずつ病み始め、自分の存在を世に知らしめるため、恐ろしい行動に出る。1960年代後半から米国で映画に新たな視点を加えようとする作品が生まれた「アメリカン・ニューシネマ」の時代を象徴する名作だ。
冒頭のシーンでまず、選挙事務所の壁の赤い色が鮮明に出ていることに、驚くだろう。広色域のディスプレイ「トリルミナスディスプレイ」が、今までは表現できなかった色まで忠実に再現してくれるのだ。そしてトラヴィスは、タクシー運転手の仕事を得て、夜のニューヨークの街を流し始める。
ニューヨークの街を象徴する、地下から上がる水蒸気の細かな広がりや、街のネオン、若きデ・ニーロの髪の毛の一本一本まで、忠実に再現されている。
これまでのパッケージ商品で『タクシードライバー』の再現に限界があったのは、夜の場面だった。トラヴィスは夜のシフトに就いて、タクシーを運転する。車の外には街頭やネオンが素早く流れるが、その動きと暗さで、これまでのDVDやブルーレイではどうしても画面がにじんでしまっていた。それを「Mastered in 4K」は忠実に再現し、「X9200Bシリーズ」なら、X-tended Dynamic Rangeによりその鮮明さを明確に体感できる。
正木氏によると、数ある「Mastered in 4K」の作品の中で、『アラビアのロレンス』や『タクシードライバー』といった、クラシック映画のほうが、新作よりも売れているという。それは、4Kとクラシック映画の親和性をユーザーが分かってくれているからだと正木氏は見る。
クラシック映画というと古ぼけた映像というイメージがあるが、それは過去のDVDやブルーレイが公開時の作品が持つ表現力を省かざるを得なかったことにある。
4K対応テレビの登場で、過去の名作を当時の作り手が意図した色合い、そして、これまで気づかなかった画面の端々に至る演出、表現のこだわりを、ここまで家庭にいながらでも体験できるようになった...。新しい発見だった。さて、次はどんな知的冒険が待っているだろうか。(続く)
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント作品を4K解像度の高画質映像を使用し、フルHDで広色域データに対応させたのがMastered in 4K ブルーレイ。ソニー・ピクチャーズ フィルムレストアの専門家が各作品ごとに、4Kアップスケーリングで視聴することを想定し、制作・監修。4K・広色域の状態で制作された映像をブルーレイマスターとして使用し、高いビットレートでエンコード。広色域なためダイナミックかつ躍動感ある映像に。4K対応液晶テレビで再生することを考えて作られている。さらに、フルHD テレビでも綺麗な画質で視聴できる。ソニーの4K対応ブラビアはMastered in 4Kモードを搭載しており、更にオリジナルに近い4Kクオリティで再現可能。
第35回アカデミー賞(1962年)7部門受賞(作品賞(ドラマ部門)、監督賞、撮影賞(カラー)、編集賞、音響賞、作曲賞、美術監督・装置賞(カラー))。
1914年、第一次世界大戦が勃発し、アラビアはドイツと結んだトルコ帝国の圧政下にあった。英国は、ドイツ連合軍の勢力を分散させるため、稀代の天才戦略家ロレンスをアラビアに派遣する。ファイサル王子の軍事顧問となったロレンスは、ハリト族のリーダー、アリや黄金を探し求めるアウダらとともに、独自のゲリラ戦法を駆使して反乱軍を指揮し、アラブ国民から砂漠の英雄とうたわれるようになる。だが次第に自分が軍上層部に利用されていることを知り、アラブ民族もまた、部族間の対立からロレンスを裏切っていく・・・。
出演(声の出演)/ ロレンス:ピーター・オトゥール(山寺宏一)、アリ酋長:オマー・シャリフ(磯部勉)、ファイサル王子:アレック・ギネス(小林尚臣)、監督デビッド・リーン、音楽モーリス・ジャール
Blu-ray /3,314円(税抜)
© 1962, renewed 1990,
© 1988 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
デ・ニーロ&スコセッシ 全世界を驚嘆させた衝撃の出世作。
タクシー運転手として働く帰還兵のトラヴィス。戦争で心に深い傷を負った彼は次第に孤独な人間へと変貌していく。汚れきった都会、ひとりの女への叶わぬ想い - そんな日々のフラストレーションが14歳の売春婦との出逢いをきっかけに、トラヴィスを過激な行動へと駆り立てる!!
出演
トラヴィス・ビックル:ロバート・デ・ニーロ、ベツィ:シビル・シェパード、アイリス:ジョディ・フォスター
監督:マーティン・スコセッシBlu-ray /3,314円(税抜)
©1976 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES,INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2014年4月〜2015年3月にご紹介した商品です。ご紹介商品がすでに生産完了の場合もございます。
商品について詳しくは、ソニー商品サイトをご確認ください。