デジタル技術全盛の現代において、人はいつからか、圧縮された音楽を聴くことに慣れてしまった。せっかく才能あるアーティストが作り上げた最高の音がこの世に存在するのに、それを存分に聴くすべがない...。しかしここに、夢をかなえる方法が誕生した。
夢の扉を開くカギは「ハイレゾ音源」だ。従来のCDを超える情報量を持つ高音質音源で、
サンプリング周波数やビット数の多さにより、CDや圧縮音源では伝えきれなかったレコーディング現場の空気感やライブの臨場感まで感じ取ることができる。新発売のソニーのマルチオーディオプレーヤーシステム「MAP-S1」なら、この臨場感を如何なく体感できるだろう。
では「MAP-S1」で何を聴いたらよいだろうか? ハイレゾ音源も配信している「mora」を運営する株式会社レーベルゲートで、ハイレゾ音源のマーケティングを担当してきたハイレゾのスペシャリスト、新田基博氏に聞いた。初めてハイレゾの音源を聴くなら、まずは、1970年代のスタジオでの録音方法によるアナログ時代の楽曲がふさわしいという。その理由は、当時のアナログのマスターが残っていること。当時のアナログ音源に立ち返り、当時のままハイレゾで復活させるので、現在流通しているデジタル音源と、音の違いが比較でき、今まで聴こえなかった曲のディティールやニュアンスまで、歴史的な名作を当時のまま、肌で感じることができるからだという。 そこで推薦してもらったハイレゾ音源は、1972年にスティーヴィー・ワンダーが発表したアルバム『トーキング・ブック』の中から、全米シングルチャート1位を記録したヒット曲、『サンシャイン - You Are the Sunshine of My Life』と『迷信 - Superstition』。
スティーヴィー・ワンダーといえば、世界的なプロデューサーであり、ソングライター、プレイヤーと、何でもこなす伝説的な存在。数々の有名アーティストが彼を崇拝し、曲をカバーしていることだけで、それ以上の説明は不要なスーパースターだ。
まず1曲目の『サンシャイン - You Are the Sunshine of My Life』は「MAP-S1」でどう聴こえるのか。新田氏によると、この曲をハイレゾ音源で聴く際には、ぜひ目を閉じて聴いていただきたい、とのこと。目が不自由なスティーヴィー・ワンダーが、太陽の光(サンシャイン)を想い、「君は僕の人生の太陽だ...」と歌に託す。曲が始まると電子式鍵盤楽器であるローズピアノの"ホワンホワン"とした、癒しの共鳴振動の音が鳴り、彼が想像する太陽光、そして彼の想像力の豊かさが感じられる。
この曲は、ローズピアノ、ベース、コンガと少ない楽器のアンサンブルなので、奥行き、空気感を識別しやすい。それもハイレゾ音源でこの曲が楽しみやすい理由だそうだ。「MAP-S1」には、ソニーが培ってきた高音質デジタルアンプ技術「S-Master」を、ハイレゾリューション・オーディオフォーマットに対応させた「S-Master HX」を搭載。ハイレゾ音源の再生帯域におけるノイズ除去性能の改善により音質を向上させているので、繊細な空気感までリアルに再現してくれる。
これにより、打楽器のコンガを打った瞬間のアタックの音も、ビート感が全身に響いてくる。まるでライブ会場に演者が並んでいるように、各楽器とコーラスが、それぞれの立ち位置から立体的に聴こえる。映画に例えるなら3D映画を観ているような、立体音楽とでも呼びたくなるような臨場感。本来は録音スタジオにいないと分からない風景が音という形で伝わってくる。「僕にはスティーヴィー・ワンダーが真ん中少し左くらいにいるように聴こえるんだけど、みなさんはどう感じますか? ぜひ聴いてみてください」(新田氏)
そして次の曲は、『迷信-Superstition』。電子キーボードのクラビネットが奏でる電子音とドラムがテンポよく、自然に体が動き出す。ライブで演奏するととても盛り上がる曲だ。だからこそ、こだわりぬいた外装・基板パーツを採用し、徹底的に高音質を追求した、ハイレゾ音源対応の「MAP-S1」で聴きたい。「ぜひ、スティーヴィー・ワンダーになりきって聴いてください」(同氏)
もっと聴きたい...。まるで本人を目の前にしたような臨場感をさらに体験したい。その場合は、ボーカリストの歌をハイレゾで聴くのがオススメだという。推薦曲は2002年に女性ジャズ歌手のノラ・ジョーンズが発表した『Don't Know Why』。
「MAP-S1」で何が聴こえるだろうか? それはブレス(息継ぎ)だ。「息遣いが聴こえる、それはつまり、目の前に立っているということ」(同氏)。
歌がメインで、アレンジもシンプルなため、ハイレゾのよさが体験しやすい。声を張ったときよりも、低音の部分で、より歌声に癒しを感じられる。
最後に新田氏が言った言葉が印象的だった。「こういう歌は、音と音の間に"すき間"があるんです。でも、音が無いといっても、"無"ではなく、作り手が必須だから入れている"無音という音"がある。その音をしっかり再現できるのが、ハイレゾ音源の魅力なんです」。
今回の取材で、ハイレゾ音源を聴くことは、見えないものを感じ、無音という音を聴く、そんな音探しの知的冒険も醍醐味だと分かった。
「ハイレゾ音源」とは、従来のCDを超える情報量を持つ高音質音源です。
「mora」で従来から配信している圧縮音源では伝えきれなかった
レコーディング現場の空気感やライブの臨場感を、ビット数の高さにより、
楽器や声の生々しさや艶などのディティールに触れてより感動的に体感できる。
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1950年5月13日ミシガン州サギノウで誕生。
本名スティーヴランド・モリス・ジャドキンズ。
保育器内の過量酸素が原因で、生まれてすぐ永遠に視力を失う。1963年5月、『フィンガーティップス』でアルバム・デビュー。1976年8月には、7年間で1,300万ドルというレコード産業史上の最高金額でモータウンと契約更改。1989年1月に「ロックの殿堂」に入った。今回は72年発表のアルバム『トーキング・ブック』(Stevie Wonder)から『サンシャイン - You Are the Sunshine of My Life(Album Version)』と『迷信 - Superstition (Album Version) 』を紹介。ハイレゾ音源は1曲400円(アルバムまとめてだと全10曲で3,000円)。レーベル/Universal Music LLC
1979年3月30日ニューヨーク生まれ、テキサス育ち。
現在はニューヨークに在住。母親の膨大なレコード・コレクションを聴いて育つ。5歳より教会の合唱団でボーカルを、7歳よりピアノを始める。
ノース・テキサス大学でジャズ・ピアノを専攻。しかし1999年、1カ月だけのつもりで訪れたニューヨークにそのまま在住し、大学にはもどらず音楽活動を始める。
まもなくジェシー・ハリス(『Don't Know Why』の作者)、リー・アレキサンダーらと自己のグループを結成。ブルース・ランドヴァルの目にとまり、ブルーノート・レコードと契約。2002年2月26日、巨匠アリフ・マーディンのプロデュースでデビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ』(原題: Come Away With Me)をリリース。その後も数々の受賞作、ヒット作を生み、2009年11月には2年10ヶ月ぶり、自身4作目のアルバム『The Fall』をリリースし、全世界で500万枚を超える大ヒット。活躍は現在も続く。今回はアルバム『Come Away With Me』収録の『Don't Know Why』を紹介。価格はアルバム全14曲で3,000円。レーベル/Blue Note Records
2014年4月〜2015年3月にご紹介した商品です。ご紹介商品がすでに生産完了の場合もございます。
商品について詳しくは、ソニー商品サイトをご確認ください。