大人の秋と言えば、芸術の秋。「大人のソニー」では取り上げてこなかったクラシックにいよいよ挑戦し、ハイレゾ音源の力で、クラシック史に残る瞬間の体験者になれるほどの楽しみを提案したい。そこで聴いていただきたいのが、 「楽壇の帝王」と呼ばれた巨匠、指揮者カラヤンの名曲を選りすぐった『カラヤン〜ザ・ベスト・オブ・マエストロ〜アビイ・ロード・スタジオ新リマスターによる』である。ワーナーミュージック・ジャパン
ストラテジック本部
ワーナークラシックスでリーダーを務める"クラシック音楽の達人"杉本正氏に、作品の聴きどころをうかがった。
没後25年を迎えた巨匠カラヤンの演奏を1950年代〜80年代に録音したもので、「この時代は機械の進歩やエンジニアのノウハウの蓄積などにより、アナログ録音の技術が年代を追うごとに研ぎ澄まされた時代です。元々の音源の質がよく、それをハイレゾ化した際の一音一音のクリアさなど、"音の効果度"が非常に高い。ですから、この時代のクラシック作品は、ハイレゾでの楽しみどころが多い音楽と言えます」。(杉本氏)
さらに今回のアルバムのリマスタリングを手掛けたのは、イギリスのアビイ・ロード・スタジオ。それでは早速、熟練したエンジニアの手でハイレゾ化した音源を聴いてもらいながら、杉本氏に解説していただくことにしよう。用いるのは、ハイレゾ観賞にベストな組み合わせの一つ、ハイレゾ対応ウォークマン®の「NW-ZX1」と、ハイレゾ対応ヘッドホンの「MDR-1RMK2」だ。
幻のステレオ録音に息吹を。聴けばわかる当時の秘密。
※写真はイメージです。
まずは、『ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調作品125「合唱」より 第4楽章:プレスト』(1955年録音)、いわゆる『第9』です。当時はモノラル録音全盛時代ですが、ステレオ録音の実験も始まっていて、この演奏も実は、発売するモノラル録音とは別にステレオ録音も行われていました。実験だったのでずっと公開はされておらず、カラヤン本人でさえそんなに多くは聴いていないと思うのですが、没後25年に合わせ、そのステレオ録音版がハイレゾでも聴けるようになりました。資料的な価値も高い音源をハイレゾで堪能できる、貴重な1曲ですね」。(杉本氏)
通常ありえない位置に、合唱団がいる。
※写真はイメージです。
「具体的にどんな体験ができるのか。日本でも大晦日(おおみそか)に歌われることでおなじみの『歓喜の歌』の部分を、ヘッドホンで耳を澄まして聴いてみましょう。とても面白いことが分かるんですよ。合唱団が、ステージのどの辺りで歌っているように聴こえますか?向かって左側にいるんですよね。ステレオ録音全盛の時代になると、合唱団は、左右に等しく声が広がるよう、舞台のセンター、オーケストラの後ろにいるのが通常のポジションになります。でも、当時はモノラル録音の時代ですから、合唱団の位置はあまり重要ではなかったのかもしれません。それをステレオでも録音したので、合唱団が左に寄っているのが、ハイレゾだと特によく分かります。みなさんも、声が聴こえてくる方向を頼りに、合唱団の位置を探ってみてください。また、この曲はハイレゾの再現力が持つ"明瞭さ"もよく分かります。合唱団とオーケストラが同時に音を奏でるので、録音のテクニックとしてはとてもハードルが高いはずですが、ハイレゾでは、マスターのポテンシャルをきちんと引き出していて、混声四部合唱も、ソリストの声も、オーケストラの音も、あらゆる音が混じらない。ドイツ語の歌詞まで聴き取れるようです。(ウォークマン®「NW-ZX1」が、ハイレゾの再現力を引き出す技術について詳しくはこちら)どうぞ、耳を澄ませてみてください」。(杉本氏)
ヘッドホンから繊細に伝わる、空気が鳴っている音。
※写真はイメージです。
「次に"バランス"がとても分かりやすいのが『ヨハン・シュトラウスI:ラデツキー行進曲』(1960年録音)です。スピーカーとは違い、ヘッドホンで聴くと曲の種類や楽器の特徴に合わせて、自分好みの音量にいろいろ変えながらクラシックの世界に没頭できるのがいいですね。ハイレゾだと曲の冒頭から、管楽器の響き、リズムを取るシンバルやパーカッションの音色がきちんと表現されていて、低域から高域まで、空気が鳴っているのが分かります。先ほどは音が混じらないと話しましたが、混じるのではなく、すべての音域が、美しく"ブレンド"されて聴こえる。その絶妙な"ブレンド"が味わえるのが、ハイレゾですね(「MDR-1RMK2」が、楽器の響き、音色、空気感まであますことなく鳴らす、広帯域再生を実現した技術について詳しくはこちら)」。(杉本氏)
あなただけの、コンサートホールの"特等席"を。
※写真はイメージです。
「3曲目は『ワーグナー:楽劇「ローエングリン」より
第3幕への前奏曲』(1974年録音)です。冒頭から、派手に管楽器が活躍します。ヘッドホンで聴くと、ちょっと言葉は悪いですが、ラッパから、つばが飛んでくるのが感じられるような気がしませんか(笑)。とはいえ、音全体の"型"を崩しているのではなく、演奏の中で、音が立つべきところだけ立っていて迫力がある。クラシック鑑賞において、迫力を追求するなら、LP盤や、レコードプレーヤーのピックアップ、スピーカーに高額な投資をして、アナログ音源でよりよい音をかなえるのも、趣味としてはあると思います。ただ、それほどコストをかけずに、手軽にベストに近い音を体験できるハイレゾは魅力的ですね。コンサート会場でクラシックを聴くと、ホールの構造や座る位置など様々な条件で、その時々、聴こえ方にばらつきが出ます。しかし、今はマスタリングの技術が上がっているので、逆にハイレゾで聴いたほうが、音を"良いところ録り"して、会場の特等席にいるように聴こえるかもしれません」。(杉本氏)
「カラヤンは、コンサートだけでなく、録音物のクオリティーにもとても厳しかった人として知られていて、名門オーケストラ相手でも納得のいくまで何度でも練習させたという逸話もあります。生の演奏、その瞬間に全力を傾けながらも、同じくらい自分の作品がパッケージ化され、世の中に普及すること、時代を超えることを強く意識していた最初の音楽家と言えるのではないでしょうか。モノラル、ステレオ、デジタルと、録音形態がめまぐるしく変化する時代を生き、柔軟に対応していた巨匠なので、もし21世紀に生きていれば、ハイレゾ録音にもきっと挑戦していた。そんな気がします」。(杉本氏)
秋の夜長にリビングで一人、巨匠やエンジニアたちのたくらみに思いを巡らせるもよし。外に出て、色づいた景色と一緒に気持ちよく吸収するもよし。「NW-ZX1」と「MDR-1RMK2」をお供に、クラシックでいっそう深まる大人の秋を。
2014年4月〜2015年3月にご紹介した商品です。ご紹介商品がすでに生産完了の場合もございます。
商品について詳しくは、ソニー商品サイトをご確認ください。
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1955年より1989年までベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督をつとめ(サイモン・ラトルの先先代)、一時期それと同時にウィーン国立歌劇場の芸術監督やザルツブルク音楽祭の芸術監督などのクラシック音楽界の主要ポストを独占して、圧倒的な権力を誇った。20世紀のクラシック音楽界において最も著名な人物のひとりであり、日本では「楽壇の帝王」と称されていた。
買ってすぐ、クラシック ハイレゾ音源を楽しめる。
CDを超える高音質を実現したハイレゾ音源に対応したHDDオーディオプレーヤーHAP-S1に、クラシック・ジャズ・洋楽、各ジャンル選りすぐりの名盤10枚のハイレゾ音源をプリインストール。
クラシックファン垂涎の〈CLASSICセット〉、ジャズマニアをうならせる〈JAZZセット〉、洋楽フリーク歓喜の〈洋楽セット〉、 そしてそのすべてをプリインストールした欲張りな〈全ジャンルセット〉をご用意。
本体にハイレゾ対応スピーカーをつなげれば、買ってすぐに感動のハイレゾ体験をお楽しみいただけます。
ハイレゾ音源とは?
一般的にオーディオ用のデジタル信号は、原音となるアナログ信号を一定時間ごとに標本化(サンプリング)し、それを量子化することで作られます。サンプリング周波数とは、1秒間に何回標本化作業を行うのかを表すもので、単位は「Hz」です。サンプリング周波数が高いほど得られる情報が多くなり精度は上がります。
サンプリングされた時点でのアナログ信号レベルをデジタルデータで表現することを量子化と言いますが、どれくらいの精度で読み取るのかをビット数で表しており、単位は「bit」です。bit数が高いほど、原音からより忠実に変換することが可能となります。
サンプリング周波数とbit数それぞれの数値が大きくなるほど、原音の再現性に優れ、微細な音の変化や音の余韻までも表現することが可能となります。ハイレゾ音源では、CDの「44.1kHz/16bit」規格を超えるものを指し、「96kHz/24bit」と「192kHz/24bit」が主流になっています。
従来から配信している圧縮音源では伝えきれなかったレコーディング現場の空気感やライブの臨場感を、ビット数の高さにより、楽器や声の生々しさや艶(つや)などのディテールに触れてより感動的に体感できます。