複数のレンズから構成されるカメラレンズは、原理的には1枚の凸レンズと同じです。このレンズの中心から光が結像する焦点面までの距離を「焦点距離」と言います。焦点距離はmmで表され、距離が短いほど被写体は小さく写り、長いほど被写体は大きく写ります。また、同一の焦点距離であっても、撮像素子のサイズが異なれば、画面に写る範囲が変わります。
レンズの焦点距離によって写る範囲は異なります。「画角」とは、レンズが焦点面に画像を写せる範囲を、角度で表したものです。画角47°前後のレンズが肉眼で見える範囲に最も近いといわれ、一般的に標準レンズと呼ばれています。また、標準レンズより画角の広いものは広角レンズ。画角の狭いものは望遠レンズと呼ばれています。
「遠近感」とは、手前にある被写体と背景がどのくらい離れて見えるか、という視覚効果のことです。広角レンズになるほど、近くにある被写体は大きく写り、遠くにある被写体ほど小さく写るという特性が強く現れます。また、望遠レンズはこれとは逆に、焦点距離が長くなるほど被写体と背景の写りかたの大小の差が小さくなり、遠近感がなくなります。
レンズの明るさを表す値で、レンズの焦点距離をレンズの有効口径で割った値です。また、「開放F値」とは、そのレンズの開放絞りの時のF値で、この数値が小さいほどより明るいレンズと言えます。開放F値の明るいレンズは、絞りを開ければ、より大きなボケ像が得られること、ファインダーが明るく見やすいこと、そして暗いところでもより速いシャッター速度で撮影でき、手ブレを防げるなどのメリットがあります。
ピントを合わせた被写体の前後にある、像が鮮明に写っている範囲を「被写界深度」と呼びます。被写界深度はその範囲が狭い場合に「浅い」といい、広い場合は「深い」といいます。被写界深度は、絞りを絞りこむほど深くなり、開けるほど浅くなります。また、広角になるほど深くなり、望遠になるほど浅くなります。さらに、被写体との距離が遠いほど深くなり、近いほど浅くなります。
被写体の実際の大きさと、撮像面に写る大きさの比を表したものです。たとえば1:1という表示のマクロレンズでは、被写体を焦点面上に実際と同じ大きさ(等倍)に写せます。倍率表示は、画面上の大きさと実際の被写体の比率、あるいは倍率そのもので表示します。被写体がいちばん大きく写る撮影倍率のことを「最大撮影倍率」と呼びます。
APS-Cサイズ撮像素子を搭載したデジタル一眼レフと、35mm判一眼レフでは、同じ焦点距離でも実際に写る画角は異なります。これは、デジタル一眼レフの撮像素子(APS-Cサイズ)の焦点面が、35mm判の画面サイズと比べて小さく、写せる範囲が約2/3ほどにトリミングされるためです。つまり、APS-Cサイズ撮像素子を搭載したデジタル一眼レフで撮影する場合、35mm判換算の焦点距離イメージは約1.5倍になります。たとえば焦点距離50mmで撮影した場合でも、実際の画角は75mm相当になります。