映像制作機材
カメラ機能活用集
「カメラ機能活用集」トップへ戻る
第6回 明るい環境で被写体の立体感をリアルに表現する
■はじめに
スポットライトが当たった花束などを撮影するとき、明るい部分が白くつぶれて見える"白つぶれ"が起こることがあります。この現象は、KNEE機能を使って、カメラのダイナミックレンジを超えた被写体の信号を圧縮することで防ぐことができます(第5回参照)。
ただし、このとき被写体の高輝度部分が圧縮されるため映像のコントラストが弱くなり、輪郭がぼやけているように見えることがあります。例えば"設定前"の映像では、花びらやプラスチックのふちなど、高輝度の被写体の輪郭がぼやけています。
この場合、圧縮された高輝度部分の輪郭を強調すると、コントラストが強くなり、立体感がリアルに表現された映像を撮影することができます。
[拡大画像]
■ソニーのカメラの特長
ソニーのカメラは、被写体の高輝度部分の立体感をリアルに表現するKNEE APERTURE(ニーアパチャー)機能を搭載しています。
KNEE APERTUREのレベルを高く調整すると、KNEE機能で圧縮された高輝度部分の輪郭が強調され、例えば"設定後"のように、黄色い花びらやプラスチックなどが際立ったシャープな映像を撮影できます。逆に、レベルを低く調整すると、ぼんやりとした柔らかい印象の映像を撮影できます。
この機能は、ウェディングドレスや雪景色、雲など、高輝度で立体感のある被写体を撮影するときなどにも効果的です。

KNEE APERTURE 機能を搭載している主なソニーのカメラ
HDW-900 シリーズ、HDW-750/730シリーズ、
DVW-970シリーズ、PDW-530/510シリーズ、
DSR-450/400 シリーズ、MSW-970シリーズ
■カメラの設定方法
KNEE APERTURE(ニーアパチャー)は、PAINT メニューのDETAIL 2 ページで設定できます。

1)PAINT メニューのDETAIL 2を開きます。
2)KNEE APERTURE をON に設定します。
3)KNEE APT LVL を−99から+99の範囲で設定します。

KNEE APT LVL を+側に設定すると立体感が強調されたシャープな映像になり、−側に設定すると高輝度部分が柔らかい印象の映像になります。
"設定後"の映像では、+90に設定されています。

設定値はDSR-450WSLの場合です。お使いのカメラやライティング環境によって、同じ設定でも映像の色合いなどが変わることがありますので、必ず映像を確認しながら設定を行ってください。
お使いのカメラに付属の取扱説明書などもあわせてご覧ください。
■技術情報
KNEE APERTURE(ニーアパチャー)とは
KNEE機能を使うと、ニーポイントを超えた高輝度部分の信号が圧縮されますが(図1)、信号のレベルが小さくなるため、映像のコントラストが小さくなり、立体感があまりない映像に見えることがあります。
このような場合に、圧縮された部分の信号だけに強調信号を付加することで(図2)、映像にシャープさや立体感を持たせるように調整する機能がKNEE APERTURE(ニーアパチャー)です。
KNEE APERTURE機能は、DETAIL機能(第1回参照)と似ていますが、DETAIL機能が映像全域に強調信号を付加する一方、KNEE APERTURE機能はニーポイントを超えた高輝度部分の信号のみに強調信号を付加します。