映像制作機材
カメラ機能活用集
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第7回 映像の暗い部分が粗くならないように撮影する
■はじめに
映像をシャープに表現するには、DETAIL(ディテール)機能を使います(第3回参照)。
しかし、DETAIL 機能を使うとシャープな映像になる反面、映像の黒部分や黒に近い(暗い)部分が粗く見えることがあります。例えば、"設定前"の映像では、革のしわや金属の質感がDETAIL 機能によってシャープに表現されていますが、背景や画面下側の暗い部分は粗く見えています。これは、映像の暗い部分に含まれているノイズが、DETAIL 機能で強調されて目立ちやすくなるため起こる現象です。
このような場合、映像の暗い部分に対してはDETAIL 機能が働かないようにカメラを調整すると、ノイズが強調されず、映像の黒や暗い部分の粗さを軽減することができます。
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■ソニーのカメラの特長
ソニーのカメラは、映像の黒や暗い部分の粗さを軽減する機能として、LEVEL DEPEND(レベルディペンド)機能を搭載しています。この機能を使うと、一定のレベル以下の信号(ノイズを含む)が強調されなくなり、暗い部分が粗く見える現象を防ぐことができます。
例えば"設定後"の映像では、革のしわや金属の質感がDETAIL 機能によってシャープに表現されつつも、背景や画面下側の黒や暗い部分の粗さが目立っていません。
LEVEL DEPEND機能は他にも、夜間の撮影などで充分な信号レベルを得るためにカメラのゲインを上げたときに、暗い部分のノイズも同時に増幅されて、粗さが目立ってしまうのを防ぐ場合にも有効です。

LEVEL DEPEND 機能を搭載している主なソニーのカメラ
HDW-900 シリーズ、HDW-750/730シリーズ、
DVW-970シリーズ、PDW-530/510シリーズ、
DSR-450/400 シリーズ、MSW-970シリーズ
■カメラの設定方法
LEVEL DEPEND(レベルディペンド)は、PAINT メニューのDETAIL 1ページで設定できます。

1)PAINT メニューのDETAIL 1を開きます。
2)LEVEL DEPEND を ON(デフォルト)に設定します。
3)LEVEL DEPEND LVL を−99から+99の範囲で設定します。

+側に設定すればするほど映像の粗さが軽減される範囲が広くなり、−側に設定すればするほど狭くなります。
"設定後"の映像では、+99に設定されています。

設定値はDSR-450WSLの場合です。お使いのカメラやライティング環境によって、同じ設定でも映像の色合いなどが変わることがありますので、必ず映像を確認しながら設定を行ってください。
お使いのカメラに付属の取扱説明書などもあわせてご覧ください。
■技術情報
LEVEL DEPEND(レベルディペンド)とは
映像の低輝度領域(黒や暗い部分)のノイズの増幅を抑え、粗さを軽減するための機能です。
CRISPENING機能(第3回参照)が映像全体が粗くなるのを防ぐのに対し、LEVEL DEPEND機能は一定のレベルの信号以下の映像が粗くなるのを防ぎますLEVEL DEPEND LVLで、その値以下の信号に強調信号が付加される度合いを軽減することができます(「ディテール信号の状態」図参照)。

例えば、LEVEL DEPEND LVLを高く(+側に)設定すると、より広い範囲の低輝度部分の粗さを軽減することができます。ただし、高く設定しすぎると、例えば植物の葉などの高精細な映像がぼやけて見えることがあるため、必ずモニターなどで映像を確認しながら設定してください。
映像をシャープにするためのDETAIL 機能や充分な信号レベルを得るためのカメラのゲインアップなどでノイズが強調されやすい場合に便利です。