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  HDCAM-SR/RGB4:4:4撮影で制作された日清食品「江戸そば・京うどん」CM
  (c)日清食品株式会社
日清食品株式会社の人気商品「江戸そば・京うどん」の新しいテレビCMがオンエアされました。HDCAM-SRのRGB4:4:4で撮影されており、緻密な合成処理を駆使した作品で、テレビCMとしてはもちろん、ハイクオリティーな映像表現として話題を集めています。

制作を担当された株式会社博報堂プロダクツ CM制作事業本部 制作部長 井口雅司様、撮影監督の有限会社アーティザム 松永正之様、カラリスト・ビデオエンジニアとして参加された株式会社ピラミッドフィルム ピースリー ビデオ事業部 長谷川将広様に、HDCAM-SR RGB4:4:4撮影の狙いや成果、今後のCM制作における可能性などを伺いました。
 
  CG合成のシーン。RGB4:4:4撮影ならではの抜けの良さが活きています。
  (c)日清食品株式会社
 
  フィルム撮影が主流のシズルでもCineAlta HDCAM-SRが使われました。
  (c)日清食品株式会社
「江戸そば・京うどん」は縦型のカップ麺で、男女を問わず大変人気の高い商品です。テレビCMは、基本的に商品特性に合った和風テイストで制作しており、今回もこの路線を踏襲し、モチーフとして雪女のイメージが選ばれました。巨大な雪女が、冬の到来とともに村に姿を現し、江戸そば・京うどんを食べ尽くしてしまう。村人は、その美味しそうな様子から、早く自分たちも食べたいと思う....。そういった笑いの要素を持たせた内容です。

これまで、この商品のCMはフィルム撮影で制作してきましたが、今回は大きく二つの狙いがあって、HDCAM-SRを採用しRGB4:4:4で撮影しました。狙いの一つは、RGB4:4:4撮影による合成処理の優位性や、CGとの親和性の高さを評価したことです。前述しました今回の雪女をモチーフにした企画内容から、緻密な合成処理を多用する必要があることが分かっていましたし、そのための編集作業のスケジュールも考慮してクライアント側と相談し、RGB4:4:4撮影が効果的、効率的であると判断しました。

結果的に、この判断は大正解だったと思っています。ディティールまでしっかり再現されているのでブロックノイズなどの不安もなく、合成やカラーリングなどの編集作業を行うことができました。たとえば、雪女の髪が風で舞い上がるシーンも髪の毛1本1本が非常にきれいに抜けていたので、作品自体のクオリティーもアップしていますし、編集作業もスムーズに、しかも短時間で行うことができました。
もう一つの狙いは、ハイビジョン放送時代のCM制作の在り方や表現方法を模索していくためのステップにしたいと考えたことです。地上デジタル放送が開始され、一般家庭でハイビジョン放送を手軽に楽しめる時代がやってきました。普及のスピードは今後さらに加速し、現在のアナログ放送が停止される2011年より前に、ハイビジョン放送が一般家庭に浸透しCMのハイビジョン放送が当たり前のことになってきます。こうしたハイビジョン放送を前提としたCM制作では、HDCAM-SRのようなハイエンドのHD制作ツールを使った方がより効果的・効率的です。

ただ、そうなってからHD制作や、HDCAM-SRを使った表現方法に取り組み始めるというのでは間に合いません。CM制作のプロとして、できる限り早くそうしたノウハウを蓄積したいと考えていましたし、クライアントサイドにCMにおけるHD制作の具体的な情報や成果を早く提示して、一緒に考えていきたいと考えていました。

たとえば、食品や飲料水などのCMで極めて重要な役割を担っているシズル(sizzle:広告や写真の表現で、食べ物が生き生きとして美味しそうに見える表現のこと)の撮影ですが、これまではフィルム撮影でないと、美味しそうには見えないというのがCMの制作サイドではごく一般的な認識でした。確かに昔のビデオ撮影では、特有の生っぽさが災いして、安っぽく、まずそうに見えることがあったことも事実です。しかし、HDになり、さらにHDCAM-SRというフィルムに匹敵する高画質の撮影が可能な現在では、決してそんなことはありません。その意味で、今回のCMでシズルをHDCAM-SRのRGB4:4:4で撮影した意義は決して小さくはないと思っています。

逆に、視聴者・消費者が本当に美味しそうだと感じるのはどのような映像なのか、原点から考え直してみる良い機会になるのではないかと期待しています。フィルムにはフィルムならではの特長と魅力があることは改めて言うまでもありませんが、その一方で、鮮明なHD画像を使った新しいシズルの表現も可能ではないか。最近、HDCAMSRを使ったCM制作を通して、ハイビジョン放送時代のシズルの表現を追求してみたいと考えるようになりました。
 
CineAltaカメラによる撮影風景  
 
HDCAM-SRポータブルレコーダーSRW-1/SRPC-1による収録の様子  
現状のテレビ放送は2006年末から全国でデジタル/アナログのサイマル放送がスタートすることになりますが、当面はアナログが主流となります。今回のCMも最終的にはSD納品でしたので、一部の合成シーンはHDCAM-SRで編集しましたが、基本的にはダウンコンバートした映像で編集・仕上げを行っています。

その意味では、CineAltaやHDCAM-SRが持つフルスペックを活用していませんが、数々の特長や優位性を活かすことで、現状のアナログテレビ放送でも、狙った意図や効果を発揮する映像や表現に仕上げることができました。たとえば30P撮影だけでなく、CineAltaの魅力の一つであるガンマ作成ソフトCVP File Editorを駆使して、アナログ放送のオンエア画像でも効果を発揮するような画づくり、色づくりをかなりのレベルまで追い込んで撮影でき、作品としても満足できる仕上りとなりました。

こうした柔軟な対応ができるのもCineAltaやHDCAM-SRフォーマットの魅力ともいえますが、やはりHDCAM-SRの最大の特長・魅力は、HD最上位フォーマットならではの440Mbpsの高画質にあります。CMというハイエンドのコンテンツ制作にとって、非常に有効な選択肢であることは間違いないと思いますし、その威力をフルに発揮できるハイビジョン放送時代が間もなくやってきます。
おかげさまで、今回のCMはクライアントからの評価も高く、私たちが提案したHD撮影によるシズルについても、納得いただけました。
私たち制作サイドでも、これまで以上にHDCAM-SRの研究や、表現上のノウハウを蓄積し、さらにスタッフ間で情報や知識を共有できるような仕組みを作っていく必要があると思います。そのためには、何より使い込んでいく必要があります。本当の意味での経験やノウハウは、特有の緊張感の中で行われるCM制作の現場でこそ実感し、収得できるものだと思います。現在準備を進めているCM制作の中でも、電車内での長時間撮影が必要なシーンがあることなどからHDCAM-SRのRGB4:4:4撮影で行う予定でいます。こうした体験の積み重ねを通して、CMのHD制作におけるノウハウを蓄積していきたいと考えています。編集環境が充実していけば、CM制作におけるHDCAM-SRのRGB4:4:4撮影も増えてくると思います。
ソニーには、従来の枠を超えた、よりCM制作に適したCineAltaやHDCAM-SR機器の開発を期待しています。
株式会社博報堂プロダクツ(Fireworks) CM制作事業本部 制作部長 井口雅司様
HDCAM-SRを使ったCM作品は、実は今回が初めてではありません。2006年春にオンエアされた日清食品「スパ王」のCM撮影でも使っており、その高画質、合成処理における優位性やCGとの親和性の高さは充分に認識していました。今回の作品は、内容的に緻密な合成処理が必要ですから、その意味でかなり有効に使える撮影手段と判断できました。それともう一つ、「スパ王」の時にはできなかったシズルの撮影もHDCAM-SRを使って撮影したいと念願していました。そのためにソニーからも映像資料を借りるなど綿密な準備を整えてプレゼンを行って了解をいただきました。ハイビジョン放送時代のシズルの表現を模索する第一ステップはクリアできたと思います。
有限会社アーティザム 松永正之様
5年ほど前からHD撮影にも意欲的に取り組んできましたが、その進化のスピードには非常に驚いています。特に、最上位フォーマットHDCAM-SRが登場した意義は大きいと考えています。一つはフィルム撮影に匹敵する高画質、高解像度を実現したことで、映画やCMなどのハイエンドのコンテンツ撮影の選択肢が増えたこと。もう一つは、情報量が豊富なので撮影現場で画づくりや色の再現について、かなりのレベルで追い込める点です。今回の作品でも、現場でかなりの部分まで詰めた撮影を行うことができました。RGB4:4:4を含めて、可能性の高さを改めて実感しました。
株式会社ピラミッドフィルム ピースリー ビデオ事業部 長谷川将広様
HDCAM-SRの最大の魅力は、映像データレート440Mbpsという豊富な情報量にあります。ディティールもしっかり再現されますので、ブロックノイズなどの不安なくカラーリングの編集作業を行うことができました。RGB4:4:4についても同様で、たとえば女性の髪の毛1本1本がきれいに抜けるなど、担当者も合成処理における優位性を実感したようです。ストレスを感じることも少なく、作業自体も短時間で済みました。まだRGB4:4:4の編集環境が未整備ですが、今後システム的に充実し、コスト的にも使いやすくなることで、CM制作におけるRGB4:4:4撮影のアプリケーションは確実に増えていくものと思います。
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