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人気ユニット「モーニング娘。」のデビュー10周年を記念して結成されたスペシャルシャッフルユニットによる「愛しき悪友へ」がリリースされました。この「愛しき悪友へ」のミュージッククリップの撮影に、デジタルシネマカメラF23が使われました。
監督・撮影を担当された株式会社ジーグラヴィティ 代表取締役 田所貴司様、プロデューサーの同社 あがたさとる様に、F23採用の理由と成果を伺いました。
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「愛しき悪友へ」のミュージッククリップ制作にあたっては、基本的に楽曲タイトルのイメージを大切にし、歌詞に合った内容・構成にすることにしました。結婚する友達がきれいになったことへの賛辞と同時に、友達=ライバルとして自分を見つめていく、といった歌詞なのですが、そうした感情を表現することをコンセプトにしました。
このコンセプトを映像化するには、まず彼女たちをきれいに撮る必要があります。同時に、5人の女性の等身大の個性をリアルに表現したいと考えました。こうした条件を満たすには、これまでの常識だとフィルムカメラで撮影ということになるのですが、今回はスケジュールなどの都合もあり、それが不可能でした。
そうした時に、デジタルシネマカメラF23の話を聞き、早速試してみました。その結果、非常に高画質で、撮影メニューの選択によってリアリティーのある映像も撮ることができると判断し、今回のミュージッククリップ制作で使うことを決めました。その意味では、F23の発売は非常にタイミングが良かったと思っています。
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デジタルシネマカメラF23による撮影風景。全編を30p、S-Logを使って撮影しています。 |
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今回のミュージッククリップ撮影は、歌詞に合わせて、結婚式場を使って行いました。まず一人一人の個性やライバルへの感情などを表すために個別に撮影を行い、その後に集合シーン、そしてそれぞれのアップなどを撮っていき、すべてを丸1日で撮り終えることができました。こうした効率性は、ビデオカメラによる制作ならではのメリットと言えます。
今回は全編を30pで撮影しました。また、撮影時にはS-Logを選びました。これにより、HDならではの高画質や臨場感といったものを活かしつつ、しっとりした風情や質感も表現することができました。
また、SR Motionも、有効に使うことができました。楽曲が入らないイメージシーンや水たまりで水が撥ねるシーンなどでは、2倍速のハイスピード撮影を行いました。彼女たちの心象風景を表す上で、有効な画づくりができたと思います。高画質であることに加え、効果を撮影現場ですぐに確認できる点も、SR Motionならではの特長だと評価しています。
また、カメラ本体がフィルムカメラのようにコンパクトなので、使い勝手や機動性の面でメリットがあると思いました。
このカメラの高画質と使い勝手の良さにより、撮影中にストレスを感じることはまったくありませんでした。
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いろいろな面で可能性の高さを感じました。中でも、S-Logは、F23の魅力のひとつだと思います。
S-Logは、本来、フィルムと同様にダイナミックレンジの広さを活かし、カラーコレクションなど後処理を前提とする撮影モードだと思います。収録の段階で、ダイナミックレンジが非常に広く、SNにも優れた高画質の映像だと評価できました。特に、スキントーンがきれいに出る点やカラーバランスの良さは、人物描写やイメージ作りが大切なミュージッククリップ撮影で威力を発揮すると思います。今回の作品でも、ユニット5人それぞれのアップシーンがありますが、女性ならではの肌の色や張りがよく再現されていると思います。
また、S-Logの特性は、暗部の階調や質感を表現するのに想像以上に有効だと感じました。窓ガラスを雨の滴が流れていくようなシーンや、雨の中で傘もささずに佇む女性の風情などに、そうした特性がよく現れていると思います。うまく使いこなしていくことで、CM制作などで欠かせないシズル感の表現にも役立つのではないかと思います。
いろいろと画作りを検討した結果、今回はS-Logの映像を基本に、ポストプロダクション作業でのカラーコレクションは最低限に抑えた作品としました。本来のS-Logの使い方とは少し異なるかもしれませんが、今回の制作コンセプトにマッチした画作りができたと思います。S-Logで撮影した映像は、ハイエンドのコンテンツとしてそのまま使えるクオリティーだと感じました。
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今回の作品は全編をF23で撮影しましたが、SD完パケしています。こうしたワークフローでも、F23で撮影したメリットは、作品としての仕上がりに十分に生きていると思います。社内外はもちろん、クライアントからも非常にきれいな仕上がりであると高く評価していただきました。
F23は、その高性能・多機能・使い勝手の良さから、今後CMや映画など、幅広いコンテンツ制作に活用されると思います。今回のようなミュージッククリップや、PV制作などでも同様に、企画内容に合わせて有効に使うことができると思います。派手な演出や動きで見せる場合は、SR Motionのアンダークランク/オーバークランク撮影が効果的に使えます。今回は、全編S-Logで撮影し、現場での画作りはほとんど行いませんでしたが、カスタムモードを使って、撮影現場で色や画づくりを追い込んでいく制作手法をとることも可能です。
PV制作では、以前はフィルム撮影を指定してくるアーティストが多かったのですが、HDW-F900/F900RなどCineAlta(シネアルタ)の登場でデジタル撮影も増えてきています。HD制作のクオリティーや安定性・信頼性が評価されつつある結果といえます。逆に最近では、テレビのハイビジョン放送に見慣れてきたこともあるのか、HD制作を希望するアーティストも少なくありません。F23の登場で、こうしたPVのHD制作に拍車がかかるかもしれません。
また、F23の登場で、CineAltaのラインアップが一段と充実したことは、制作サイドにとって選択肢がそれだけ増えたということになります。予算やスケジュール、企画内容に合わせた撮影機材の選択ができるので、歓迎すべきことだと思います。
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