市橋映画「ホノカアボーイ」は、ハワイ島の小さな町ホノカアの映画館で働くレオ(岡田将生)が、イタズラと料理が大好きなビー(倍賞千恵子)を中心とした風変わりな町の人々と出会い、人との触れ合いや別れを通じて成長する姿を描いています。
黒木当初、この作品はフィルム撮影する予定でした。全編を通して舞台となるのがハワイ島のホノカアで、その美しい自然と、人と人との触れ合いを描いた叙情的な作品ですから、フィルム撮影の方が合っているだろうと考えたのです。ですが、ハワイの現地にはフィルム現像所がなく、東京やロサンゼルスに送って現像するという方法もありますが、それも現実的ではありません。そこで、デジタルシネマカメラF35によるデジタル撮影に切り換えることにしました。
稲葉F35であればシネレンズがそのまま使えますし、S-Logで撮影することでフィルムと同等のラチチュードを確保でき、フィルム撮影と同様のワークフローが可能です。また、後処理の幅が広いですから、表現については、技術的にも問題なく協力できるだろうと考えました。
黒木撮影スタッフには迷惑をかけたかもしれないですが、結果的にこの選択は正解だったと思っています。真田監督にとっては、現場ですぐにプレビューできるデジタル撮影は非常に有効でしたし、2008年10月に撮影を開始して2009年3月に公開という短期間で仕上げることができたのもデジタル撮影のおかげだと思っています。もちろん、作品としてもフィルム撮影で狙っていたトーンや質感がよく表現できていると思います。
映画「ホノカアボ−イ」より |