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アドベンチャーTVカメラマン 西川 茂樹 様

"まめカム" HD HXR-MC1は、フルHD撮影が可能な防滴仕様*1の小型カメラと、リモートモニタリング、カメラコントロールが可能なユニットに分かれたセパレート仕様のHDカメラです。従来は撮影困難だった場所やアングルでのHD撮影を可能にしたことで、バラエティ番組やスポーツ、ドキュメンタリーなどの映像記録に幅広く活躍しています。こうした番組の制作に参画するとともに、ラフティングやトレイルランといったスポーツ大会の映像記録などにも"まめカム"HXR-MC1を活用されているアドベンチャーTVカメラマン・西川茂樹様に、"まめカム" HDの活用方法や成果、性能・機能・使い勝手などを伺いました。

  • (※)インタビュー記事中には一部ソニーの保証の対象外となる内容も含まれます。
  • (※)本機に振動や衝撃を与えないでください。故障の原因になります。このような環境で使用する場合は、市販の衝撃吸収素材などをお使いください。

登山やアウトドアスポーツ全般の知識と技術を活用して独自の映像表現領域を開拓
より小さく、軽く、使い勝手に優れ、そして高性能なカメラが必須のアイテム

_西川様がご自身の職業としてアドベンチャーTVカメラマンと名乗られるまでの経緯をお聞かせください。


アドベンチャーTVカメラマン  西川茂樹 様

西川 もともと私はロッククライミングを主体とする登山や沢登り、トレッキングなどのアウトドアスポーツを趣味にしており、その経験と技術を生かして山岳ガイドやツアーガイドなどを行っていました。こうした経歴から、テレビのドキュメンタリー番組の撮影にガイド兼レスキューとして参画することも少なくなくありませんでした。1990年代初頭に、ヒマラヤの北側を流れる大河をカヤックで下るという企画があり、レスキューとルート工作という立場で参画しました。この時、たまたま民生用ハンディカムで撮影した記録映像が、テレビ局の関係者に高く評価されることになったのです。普通のカメラマンでは入っていけない地点からの撮影、極端な例で言いますとザイル一本にぶら下がっての撮影といったフットワークの良さが評価されたとも言えます。その頃から、アドベンチャーTVカメラマンという領域があってもよいのではないかと思ったのが原点になっています。

_いわゆる人跡未踏の秘境などで撮影を行うカメラマンということですか。

西川 そうですね。世界遺産や秘境、あるいはアドベンチャー紀行といったドキュメンタリー番組の撮影で、従来からのガイド兼レスキューに加え、映像記録やサブカメラマンとして参加要請を受けることが多くなりました。地上テレビ局の番組取材で、アラスカ・マッキンリー紀行や氷河横断、メコン川源頭探検、ギアナ高地、ネパール、エベレストなど世界各地の取材・撮影をサポートしているほか、CS放送における環境映像の撮影なども行っています。そしてもう一つ注力しているのが、ウインドサーフィン、ラフティング、マウンテンバイクといったアドベンチャースポーツの記録映像です。元々パラグライダーが登場した時に真っ先に飛びつき、日本で初めて前穂高岳・北岳・谷川岳をロッククライミングで登り、そこからパラグライダーで飛び降りるといったようにアウトドアスポーツを自分でするのが好きでした。そのため振興・普及を兼ねて各大会をサポートするともに記録撮影も行っています。

_"まめカム" HD HXR-MC1を2009年1月の発売と同時に購入された目的は何ですか。

西川 人やカメラが入れない場所、通常のカメラでは不可能なアングルでの撮影といった、特殊な撮影に使用することです。私が行う取材撮影では、とにかく小さく、軽く、その上で高性能・高機能なカメラが求められます。私はHVR-Z1Jに始まるHDVシリーズは3機種ともに保有していますし、最近はXDCAM EXカムコーダーPMW-EX1を取材のメインカメラとして使用しています。しかし、これらのコンパクトなカメラでさえも入りにくい、持ち込めない場所や、アングルに制約を受ける対象なども少なくなく、初代まめカム(CCD-MC100)のHD版が登場することをずっと待っていました。それが昨年秋のInterBEE 2008で登場し、実物を見て想像通りの完成度でしたので発売と同時に購入しました。

ウインドサーフィン、ラフティング、マウンテンバイクなどの映像記録に活用
ハウジングを使った水中での特殊な撮影にも大いに威力を発揮

_これまで、どんな撮影で"まめカム" HDをお使いになっているのでしょうか。

西川 最初はウインドサーフィンの特殊撮影に使用しました。自作の取り付け器具でセイルポールに付けて、競技者の表情や水の上を疾走するサーフボードの躍動感のある映像を撮ることができました。カヤックやラフティングボートの前後に取り付けた撮影も行っていますし、マウンテンバイクの大会では競技者が走るコースのイメージ映像撮影のためにバイクに取り付けて撮影しています。離れた場所から選手の様子を追いかける撮影では得られない、競技者の目線での躍動感や臨場感を得ることができ、期待通りの撮影を行うことができました。


カメラ部をラフティングボート後方部に取り付け撮影
(コントロール部はボートの中)


カメラ部をカヌーに取り付けた状態
(コントロール部は中央のタッパーの中)

_スポーツ以外の分野では、どんな撮影でお使いになったことがありますか。


ハウジング*3を装着した状態

西川 バラエティ番組で、タレントがヘルメットにカメラを付けて自分撮りするシーンがあると思いますが、同様の使い方をしました。バラエティに限らずドキュメンタリーでも、番組撮影ではビデオエンジニアの方がメインカメラとは違ったアングルの画が要求されます。そのため番組制作の関係者から"まめカム" HDを貸して欲しいという要望も少なくありません。今後、様々な番組で、より幅広い撮影シーンに使われるようになるのは間違いないと思います。
それから、これはテストも兼ねてのことですが、ハウジングを付けて水中撮影*2も行いました。海中の珊瑚と魚の群れ泳ぐ姿やサメの餌付けのシーンなどを撮りましたが、非常にきれいで満足できる成果を得ることができました。

小型ながらフルHD(1920×1080)撮影を実現した高画質・高性能が最大の魅力
セパレート仕様によるリモートコントロールなど使い勝手の良さも魅力

_お使いいただいて満足できる成果を得られたということですが、まず何より画質に代表される性能面で評価していただくといかがでしょうか。

西川 撮影はすべてFHモード(1920×1080、16Mbps)で撮っていますが、非常にきれいな映像で放送にも十分対応できます。特に驚いたのが、水中映像の美しさです。水中ではどんなカメラでも解像度が低下しますが、"まめカム" HDは水中撮影でも非常にきれいな映像でした。クリアビッド配列“Exmor”CMOSセンサーやカールツァイス「バリオ・テッサー」レンズといった高解像度、低ノイズの最新テクノロジーが功を奏した結果ではないかと思います。

_16GBのメモリースティック利用で、FHモードでも約110分記録可能、別売NP-FH100利用で約6時間のバッテリーオペレーションが可能ですが、撮影可能時間に関してはいかがですか。

西川 まったく支障ありませんでした。これだけの長時間の記録、バッテリーオペレーションを実現してもらったことに満足しています。もしそれ以上の長時間撮影が必要になった場合でも、コントロールユニット側でメモリースティックやバッテリーを交換すれば問題ありません。

_機能面や使い勝手、操作性といった点はいかがでしたか。

西川 これまでのスポーツや水中シーンの撮影では、引きの構図が威力を発揮しますので、ワイドコンバージョンレンズ(VCL-HG0730A)を装着して固定撮影しています。そのためズームやスローモーション、静止画撮影といった機能はまだ使用していません。こうした機能は、動植物の観察撮影などに威力を発揮するのではないかと思います。
使い勝手や操作性については十分満足しています。一番のメリットは、カメラヘッドとコントロールユニットのセパレート仕様であることです。カメラの向きを任意に変えてもモニタリングは一定して行うことができますし、設置したカメラヘッドから最長2.8m離れた場所でモニタリング、リモートコントロールすることができ、非常に便利です。

激しく揺れるボートやバイクに取り付けた撮影でも使用
撮り直しができないスポーツや自然を相手の撮影で心強い信頼性・安定性の高さ

_つねに放送を前提とした撮影、あるいは撮影のチャンスが限られる対象を相手にされておられるようなので信頼性・安定性が重要になってくると思いますが、こうした点ではいかがですか。

西川 これまでの撮影でトラブルは一切ありません。前述しましたように、これまで水しぶきのかかるオンボード、ボート、あるいは振動が激しいマウンテンバイクに取り付けた撮影などを行ってきました。その中には防滴仕様や温度・湿度、取り付けの方法や振動などの点で、ソニーの保証範囲を超えるような状況もあったとは思うのですが、画の乱れ、機器の故障といったことはありませんでした。もちろん、これらは自己責任の範疇でしていることなので、ほかの方に勧めるといったことはできませんが。

_取り付けや撮影方法に独自の方法を採用しているようですが、具体的には、どんな工夫をされているのですか。

西川 最初にあげたウインドサーフィンやカヤック、ラフティングボートなどでは、カメラヘッドとワイドコンバージョンレンズを固定するためシリコンで固めたり*4、コントロールユニットはタッパーに入れてカラビナで留めるといった工夫です。水中撮影の時にはモップの柄にカメラヘッドを付けて、サメの餌付けやウツボの巣穴の撮影などを行っています。現地にあるもので臨機応変に対処するのもアドベンチャーTVカメラマンには不可欠ですが、"まめカム" HDの機動性・信頼性の高さがなければできないことです。

光学10倍ズームやスローモーション撮影は自然・生物などの観察記録にも有効
探検・紀行のドキュメンタリー番組などより幅広いアプリケーションに期待

_先ほど、"まめカム" HDのアプリケーションが今後さらに広がってくるとのことでしたが、具体的にはどのような用途・目的に使われる、あるいは使いたいとお考えですか。

西川 さまざまなスポーツにおいて、アスリートと併走して撮影するような運用はもちろんですが、通常のHDカメラでは設置が困難な山岳撮影やステージの固定カメラ、動植物の自然観察など色々考えています。もちろん、アドベンチャー・探検紀行などのドキュメンタリー番組でも同様だと思います。先ほども触れましたが、こうした撮影では、光学10倍ズームやスローモーション、静止画撮影といった機能も威力を発揮するはずです。私も、様々な要望に応えられるように運用のノウハウを蓄積していきたいと思っています。

_本格運用にあたって、ソニーや"まめカム" HDにご要望、ご意見などございますか。

西川 時間が解決することだとは思いますが、"まめカム" HD HXR-MC1が圧縮方式として採用しているAVCHDの編集をはじめとする後処理環境の整備に期待しています。そうするとより広範囲に活用されるようになると思います。あとは周辺機器を含めたラインアップの一層の拡充です。用途・目的に応じた使い分けで、一層アプリケーションが広がるのではないかと思います。

_ありがとうございました。
  • *1 カメラ部のみJIS C0920 防水保護等級2級(IPX2)に適合しています。ハウジングを用いない場合、水中では絶対に使用しないでください。故障の原因になります。本体部は防滴構造になっていませんので、水にぬらさないでください。
  • *2 ハウジングメーカーの推奨するご利用方法(保証する範囲内)でご使用ください。
  • *3 本文に登場しているハウジングは株式会社フィッシュアイの製品です。
  • *4 このような利用法もソニーの保証の対象ではありません。
西川茂樹様のプロフィール

(にしかわ・しげき)アドベンチャーTVカメラマン、山岳ガイド。
1960年岐阜県生まれ。東京理科大学卒、学生時代から社会人ロッククライミングクラブに所属し、国内外の岩場で技術を磨く。1990年代からカメラマンとして地上波テレビ局、BS/CS放送局のドキュメンタリー番組、あるいは環境映像撮影などに参画し、ヨーロッパの山々はもちろん、ネパール、ヒマラヤなどの山や川を対象とした撮影をサポートしているほか、ラフティング、ウインドサーフィン、マウンテンバイクなどのスポーツ大会の記録撮影でも活躍している。登山家・山岳ガイドのキャリアを生かして、人やカメラが入りにくい秘境と呼ばれるような地域での撮影、あるいはアドベンチャースポーツでの特殊撮影などで高い評価を得ている。

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