大学病院様(東京都)
大学病院様(東京都)では、生まれたばかりの新生児における先天性疾患から急性虫垂炎などの急性疾患や、便秘などの内科的疾患まで、多岐にわたる病気に対し専門医として責任を持って治療を行っています。お子さんやご家族の視点に立って患者さんそれぞれに最適な治療を選択し、手術の際には整容性にも充分配慮した低侵襲手術を心がけています。また、小児科・新生児科と外来のブース・入院の病棟を共にし、スムーズな連携で包括的な治療を行っています。
私の研究領域の一つに「VR技術の臨床応用」があるのですが、よりよい診療や教育に生かせる最新の映像技術はないかといつもアンテナを張っています。その一環として、これまではヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を活用していました。患者さんであるお子さんやご家族にHMDを装着してもらい、STLファイルで作成した3D映像を見せながら病状や手術についての説明を考えていましたが、そういった大事な話をする際にゴーグルで顔が隠れてしまうことでそれまでの空気が途切れてしまうため、相手の目を見て話せないことを以前から課題に感じていました。
また、HMDを学生の指導にも使用していましたが、昨今のコロナウイルスの感染対策で、1人使うたびに毎回消毒する手間や時間がかかることにも悩まされていました。さらに、使用していたHMDは使用者の位置情報を検知するセンサーを室内に設置する手間もありましたし、普段眼鏡をかけている私が装着すると見づらさを感じるなどさまざまな問題があり、代わりとなる手段を探していたところ、ソニーの『空間再現ディスプレイ(以下、SRD)』を知りました。担当者に連絡を取り、数回のデモを経て導入することを決定しました。
ゴーグルなどを装着することなく立体的に見えるSRD
初めてSRDの映像を見たときは、その解像度の高さに正直驚きました。高精細、高画質な3DCG映像を映すことができ、その立体感はまさに想像以上でしたね。しかも裸眼のまま見られるので、患者さんへの説明を行う際も目と目を合わせながら行えます。映像を見てもらった患者さんや学生たちの反応も非常によく、「とてもわかりやすい」という声をいただいています。セッティングにもそれほど時間はかかりませんし、交代で映像を見るだけでしたら消毒の手間もありません。
また、小児の手術の場合、なるべく体に跡が残らないようわずか数センチの傷から手術をすることも多く、とても視野が狭くて見づらいのですが、その細かな傷の画像をSRDで拡大して高精細な画質で見られるので、学生たちの理解をより深めることにも役立っています。
高精細な3DCG映像をさまざまな研究領域に応用
現在は私の研究室に1台設置し、主に少人数の指導に使用していますが、今後台数を増やしてもう少し人数が多い授業に取り入れることも検討しています。また、小児の手術を学生が見学する際、患者さんの体が執刀医や助手で隠れて見えにくくなることがあるのですが、手術の様子を撮影してSRDに映して確認するといった使い方もできると考えています。患者さんへの説明に使用した例はまだ多くありませんが、ゆくゆくは外来にも設置し、より手軽に見てもらえるようになるといいなと思います。
いまはSRDとパソコンをセットで使用していますが、将来的にこれが1台で完結するようになるとさらに機動性が高くなるのではと期待しています。個人的に昔からソニー製品が大好きで、これまでにない発想の製品を次々に出してくれるので、これからもそういった最先端の技術と連携することで、さらなる医療の発展を実現していきたいと思っています。
空間再現ディスプレイ ELF-SR1/BZは、ソニー独自の視線認識技術により、裸眼のままでもクリアで色鮮やかな立体視を再現するディスプレイです。あたかもそこに実物が存在するかのような実在感のある空間表現が、クリエイターのコンテンツ制作やデザインの確認をはじめ、美術館、博物館、イベント会場やショールーム、教育用途、店舗など、幅広い分野で新たな可能性をもたらします。
※本製品は医療機器ではありません
空間再現ディスプレイ
ELF-SR1/BZ
神奈川歯科大学大学院 XR研究所 板宮朋基所長が開発したソフトウェア『SR View』は、3D形状の標準ファイルフォーマットであるSTLを取り込み裸眼での立体視を実現するSRDに表示することが可能です。STL以外にもOBJやPLYデータにも対応。カラー表示も可能で、任意の3点の距離と角度を測定することもできます。同一LAN内にある複数SRD間の表示・操作内容の同期も可能です。
※本ソフトウェアはプログラム医療機器ではありません