「単に信号を増幅すればよいということではありません」と関根は言う。「増幅すると、もともと信号に混入していたノイズも一緒に増幅させてしまいます。ノイズが多い画は、細やかさに欠けるざらついた感じになってしまったり、色むらが出てしまったりします。感度を上げて被写体ブレを防いでも、ノイズの多い画では使いものになりません。高感度化を推し進めながらもノイズをいかに抑えて画の艶を保つかは、画づくりにこだわる我々にとって、非常に重要なポイントでした。」
「ですから、まずは回路全体からでるノイズを根本的に減らすことに取り掛かりました。デジタルスチルカメラの中には、CCD、電源、さらに回路そのものから出るノイズが蔓延しています。例えば、ISO100に対応していればよい時代には目立たなかったノイズが、ISO640では目に付くようになります。これを防ぐために、電源、基板、回路などすべての設計を見直しました。地味で手間もかかる作業ですが、これが効くのです。」(関根) |