放送局
2017年8月掲載
ワイヤレス報道ワークフローの導入で、突発的な出来事への迅速な対応が可能に。
静岡放送株式会社様は、ストリーミングレシーバーPWS-110RX1、ワイヤレスアダプターCBK-WA100、ワイヤレス機能を持ったXDCAMメモリーカムコーダーPXW-X500 4台、PXW-X400 2台、PXW-X200 2台、PXW-X70 3台により、報道におけるワイヤレスワークフローを2017年1月より導入されました。
同社 技術局 技術センター 放送技術担当 兼 総合メディア局 メディア事業部 兼 報道局 ライブセンター(Web企画担当) 専任部長 高橋 聡様、報道局 ライブセンター カメラマン 中井 秀様に、今回の導入コンセプト、システム選定の経緯や決め手、運用状況と成果、今後の期待などを伺いました。
なお、記事は2017年4月中旬に取材した内容を弊社でまとめたものです。
報道システムファイルベース化、アーカイブシステム導入事例(2016年導入)はこちら
※オプティカルディスク・アーカイブサイトへリンクします。
しずおか市町対抗駅伝では、PXW-X500にCBK-WA100を装着して使用。ビットレートは5Mbpsに設定。
もともと当社は、別のシステムを数式所有していましたが、報道はとにかくスピード、現場の画が欲しい、ということで、ファイルベースのカメラの利点を最大限に活用できるのは何だろうと考えていました。そこでソニーのシステムに着目し、早速一昨年にデモの依頼をし、検討を始めました。導入を決めたのは2016年11月ごろです。
導入の背景には、局内のファイルべース化にともない、支局からの伝送がファイル転送になり、その伝送のバックアップの意味も持たせること、このコストパフォーマンスでライブ伝送が実現できることがありました。局内のカムコーダーにはWi-Fiのドングルを常時装着しており、かつ記者はWi-Fiルーターを常時携帯しているので、現場で急に何かが起きても伝送が可能なことが魅力のひとつでした。
実際に使用をしたのは、2016年12月のしずおか市町対抗駅伝のWeb上でのライブ中継です。ここで出た数々の問題点を解決して、現在の運用につなげています。例えば、立ち上げの手順や、接続開始になるまでにどのくらいの時間が必要なのかを把握しました。映像は最大5Mbpsで伝送しました。人が多く集まっていたゴール付近では、回線が混んでいたようでつながりにくいことなどがありました。最近では、ビットレートを下げることでこれを回避できることがわかってきました。
局内ラックに設置されたストリーミングレシーバーPWS-110RX1(写真・左)。設定操作はタブレット端末より行われます(写真・右)。
課題はあったものの導入の決め手は、突発的な出来事に対応できることです。初めての運用事例が象徴的でした。ある日の夕方、事故現場に遭遇した記者がPXW-X70を使い、難しい操作無しで簡単に現場から映像を送ってくることができ、その夕方のニュース内で映像を使うことができました。この初運用事例により、ワイヤレス伝送が報道局内で高く評価されました。
ライブ伝送で送られてくる映像は、ベースバンド収録することで、撮りながら編集に入ることができ、スピーディーなワークフローが実現できています。
導入してまだ半年も経っていませんが、平均するとひと月に10回くらいは使用しています。
使っているうえでの要望としては、複数回線接続による安定性の向上です。一方でこのシステムの音だけは最後まで途切れないというところが非常にありがたいです。あとはカムコーダーの機種による操作性の違いが多少あるので、統一されると助かります。また、現在は30pまでですが60iができるようになるとなお良いと思っています。今後は、ショルダー2台と、ハンディ2台の導入を予定しています。順次カメラの更新により、対応機材への入れ替えが進むと思われます。将来は5Gなど通信環境が変わっていくことに対応した新たなソリューションを期待します。