WM1Z/WM1A Project Member’s Voice 目指したのは、アーティストの想いまで伝わってくる高音質
ZXシリーズを超える、ウォークマンの新たなフラッグシップとして誕生した「WM1シリーズ」。理想のポータブルオーディオを追求し、制約のない環境で一から作り上げた開発メンバーに、フルデジタルアンプへの強い想いやチャレンジングな筐体設計の内幕、そしてエンジニアとしての細部にわたるこだわりを聞いた。
真の高音質を自由に追求した結果、図抜けたウォークマン®が誕生した
漆原 映彦[商品企画]
ZXシリーズ(NW-ZX1/ZX2/ZX100)は、ウォークマンのラインアップの中で最も音質を追求したフラッグシップモデルでしたが、いくつかの部分で開発に制約があったことは事実です。そこで、そういった制約が本当にもう何もない状態で「真の高音質を追求したウォークマンを作ろう」というコンセプトから話が始まったのが、今回のWM1シリーズになります。
ハードウェアやソフトウェア等の品質を自由に追求しながら開発を進めた結果、ZXシリーズとはちょっと違う非連続なスタイルの、そこよりもさらに進化を遂げて飛び抜けたモデルに仕上がったというわけです。
漆原 映彦[商品企画]
やはりウォークマンというブランドを考えたときに、その「ウォークマン」という名称を型番に入れたいと思い……原点回帰ではないですが、歴代ウォークマンを超えるウォークマンを目指そう、という意気込みもこめてWM1シリーズという名前にしました。
漆原 映彦[商品企画]
その経緯を包み隠さず話しますと、そもそも「人によって音の方向性の好みってやっぱり全然違うよね」という話から検討が始まりました。
例えば、ウォークマンがもともと得意としている「スピード感のあるシャープなサウンド」がベースとしてありつつ、一方で「上品で柔らかい音質」を好まれる方も当然いらっしゃる。そこは相容れない部分であると考え、我々としては「2つのモデルから音の好みで選んでください」というスタンスで開発に着手しました。
漆原 映彦[商品企画]
これは、開発を進めて音のチューニングをしていく過程でより鮮明になっていったことなのですが……。WM1Zの方がよりナチュラルでアコースティックな領域まで再現できるモデルなのでWM1Aに比べて音の表現幅が広く、結果的に上位モデルという位置づけになりました。
佐藤 朝明[プロジェクトリーダー]
さきほど「ZXシリーズとはちょっと違う非連続なスタイル」という話がありましたが、あえて誤解を恐れずに言えば、今回のWM1Aはある意味NW-ZX2(以下“ZX2”)を正統進化させたモデルと言えるのです。基本的なオーディオ技術に関しては踏襲している部分が数多くありますから。とはいえ、筐体やフルデジタルアンプが刷新されていて、そのジャンプアップの差が大きいのでZXシリーズを名乗らなかったわけですが。
佐藤 朝明[プロジェクトリーダー]
そこからさらに突き抜けたものに、WM1Zは到達したと思っています。それこそコスト度外視で、素材やパーツに糸目を付けずに開発しました。音質の為とはいえここまでやっちゃって大丈夫かなぁ?と少し心配になるくらい、もう本当に羽目を外したエンジニア冥利に尽きるモデルになりました。
佐藤 朝明[プロジェクトリーダー]
他のラインアップにはステレオヘッドホン(MDR-Z1R)とヘッドホンアンプ(TA-ZH1ES)がありまして、このSignature Seriesが追求したのは、演奏が始まる瞬間から最後の音が消え入り完全な静寂に至るまでの「微小音の再現性」です。もちろんWM1シリーズも、この共通テーマを意識して音作りをしました。
WM1シリーズ
NW-WM1Z / WM1A