STR-DN1080ではデジタル基板用に一体成型メタルフレームを新設計。接合部のない一体成型とすることで、より剛性・堅牢性を高めデジタル基板をしっかりと支えます。これにより基板に伝わる振動を軽減し、オーディオ信号が変調することを防ぎます。さらにヒートシンクブラケットが、高速で動作するデジタル回路から発せられる不要な電磁波に起因するノイズの影響を防ぐためのシールドの役割も果たしています。HDMIとDAC系のデジタル系基板を一枚の4層基板に集約することで、信号経路長を極限まで短縮したデジタル系回路基板を採用。特に音質上重要なD/Aコンバーター部のグランドには、太さφ1.6ミリのOFC銅の導体線を基板上にマウント。グラウンドとDAC IC、DAC ICとオーディオ用DSPの電気的距離を限りなくゼロとすることで高音質を実現しています。また、通常DAC基板上に配置するアナログローパスフィルターをオーディオ基板上に配置したセパレートD/Aサーキット構成を新たに採用。繊細なアナログ回路をデジタルノイズから徹底的に保護することで、高音質を獲得しています。
STR-DN1080では最新の3次元サラウンドフォーマット「Dolby Atmos(R)」「DTS:X(R)」のデコードや、その音質を最大限に引き出す自動音場補正機能「D.C.A.C.EX」、「A.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)」「スピーカーリロケーション / ファントム・サラウンドバック」、その他「サウンド・オプティマイザー」「イコライザー」「各種サウンドフィールド」など、これまで以上に高度なDSP処理を実現するために高精度DSPを3基搭載しています。
※ Dolby、ドルビー、Dolby Atmos、Dolby Vision、“AAC” ロゴおよびダブルD記号はドルビーラボラトリーズの商標です
※ DTS の特許についてはこちらをご覧ください
DTS社 からの実施権に基づき製造されています。DTS、シンボル、DTSおよびシンボルの組み合わせ、DTS:XおよびDTS:Xロゴは米国および他の国々で登録されたDTS 社の登録商標または商標です。(C) DTS, Inc. All Rights Reserved.
32bitで処理されたDSP出力をそのまま32bitでDA変換します。「D.C.A.C.EX」「サウンド・オプティマイザー」「イコライザー」「各種サウンドフィールド」など高度なDSP技術により、各機能すべての音質がグレードアップしました。
有線/無線(Wi-Fi)LAN接続時の家庭内ネットワーク上のPCやネットワークHDD(NAS)、または、USBメモリーなどに保存したDSDの音楽再生機能においてPCMに変換することなく再生するDSDネイティブ再生に対応。DSDコンテンツ本来の音質を損なうことなく再生します。
ハイレゾ音源はCD音源に比べて立ち上がりが速く、また極めて微小な音楽成分が含まれている特長があります。ハイレゾ音源をより高純度に再生するためには、音量調整や小信号成分の増幅を行うプリアンプ回路の性能が音質的に重要です。高精度プリアンプはプリアンプからパワーアンプまでのグラウンドを分離独立して設計し、それらを直径1.6ミリもの太さの無酸素銅の銅棒でグラウンドポイントまで直結しシャーシに接続する、ESシリーズで培ったフィッシュボーングラウンド方式を採用しています。これによりグラウンドインピーダンスを限界まで下げ、充分なリターン電流容量を確保する事で力強い高音質を実現しています。また、増幅デバイスとして新開発の高精度プリアンプ専用IC「CXD90035」を搭載して構成しています。これにより、高速応答性と高SN比を実現しています。
プリアンプ専用IC「CXD90035」の特長
1. 高速応答性
アンプの最大立ち上がり速度であるスルーレートを従来の2倍以上に高め、高速なハイレゾ信号の立ち上がりに対する速度余裕を一段と高めます。
2. 高S/N比
音量調節回路(ボリウム回路)が発生するノイズを特に低域で約1/30に改善。
3. 熱干渉除去
チップ上では、搭載されているアンプの出力回路から音楽信号に応じて変動する熱が発生します。この熱による不要成分の発生を排除する「熱変調防止型回路」を採用。
4. IC内グラウンド分離方式
プリアンプIC内の各ステージのすべてのグラウンドをIC外に引き出し、ディスクリート構成と同じようにアンプとしてグラウンド処理を行う新しい方式を採用。
5. チップ内電源分離配線
IC内部の電源回路からアンプへの配線を、各回路ごとに配線する独立電源配線方式を採用。
6.金ボンディングワイヤ採用
ボンディングワイヤは通常、銅線、アルミ線、金線が使われますが、その中でも音質のよい金線を採用しています。
通常プリアンプをICで構成する場合、その最大応答速度を示すのがスルーレートです。図2、3は高域成分を含んだ打楽器の音のCD音源とハイレゾ音源の波形です。ハイレゾ音源には立ち上がり速度が早い波形が含まれていることがわかります。このような早い立ち上がり、立下りを含むハイレゾ音源の再生には、これまで以上の高速な応答性が求められます。「CXD90035」のスルーレートは従来モデルの2倍以上の値で、オーディオ用オペアンプをも凌駕(りょうが)する性能を実現しました。これはハイレゾ音源(192kHz/24bit)が求めるスペックの5倍以上もの余裕がある周波数帯を有しており、高域の硬さやゆがみが無くエネルギー感にあふれた抜けのよい音を実現しています。
ハイレゾ音源に含まれる微小な音楽成分を再現するには、これまで以上の低いノイズ特性が求められます。従来のモデルにおいても全帯域で-105dB以下と十分に低いノイズ特性ですが、高域と低域でノイズ量が違うことがわかります。「CXD90035」 では低域のノイズパワーを高域と同等まで下げることに成功。改善量はノイズパワーが約1/30に減少し、100Hz以下で約15dBです。同時に高域のノイズもノイズパワーでほぼ半減の3dB程度に改善。この結果「CXD90035」は全帯域にわたって極めて低くフラットなノイズ特性を実現し、聴感上のS/N感が大変よくハイレゾ音源が持つ美しい弱音部を余すところなく再現します。
一般にIC化されたアンプは、シリコンチップ上の一つのアンプの出力回路からオーディオ波形が出力されていると、その出力回路は出力に応じて発熱します。その熱はシリコンチップ上を拡散し、同じ回路上の熱に敏感な部分からの出力信号に、入力信号には無い応答が現れることがあります。これは非常に遅い応答なので、特に低域の分解能を悪化させてしまいます。「CXD90035」ではこうした熱流による温度勾配への感度の対策を行った、熱干渉除去型回路を開発して搭載しました。熱流による不要応答が少なく、ビット長が大きなハイレゾ音源の低域などの微細なニュアンスを余すところなく増幅します。
一般的なICでは、いくつかの回路ごとにグラウンドをまとめてから外部に引き出しています。ところがこの方式だと、内部グラウンドの共通インピーダンスによる干渉がおこることがあります。「CXD90035」で採用したIC内グラウンド分離方式は、各増幅ステージとボリウム回路を完全に分離して専用のリードピンに接続。これをIC外部でアンプのプリアンプグラウンドに接続することで、問題となる電圧を発生させなくできます。これにより、従来はディスクリート構成のプリアンプでないと実現できなかったエネルギー感を実現。音の輪郭がにじむことがなく、繊細な細かい音までフォーカスした残響や音の勢いまでもが豊かに再生できるようになりました。
チップ内電源分離配線
モノリシック構造のIC上には入力セレクター、入力バッファ、増幅回路で構成されています。これらを一つの電源で駆動する場合、回路同士が干渉する恐れがあります。「CXD90035」では電源パッドから各回路へ独立配線することによって、通常の一括配線に比べてアンプ回路間の干渉がなくなり、聴感上の音の分離が大変よくなりました。
金ボンディングワイヤ採用
「CXD90035」では、ICのシリコンチップと外部をつなぐボンディングワイヤに金線を採用しました。柔らかい金を採用することで外部の振動がチップ内部に伝わりにくく、また導電率が高いため電気的性能も高く維持できます。
クロックジッターの影響を受けにくいスイッチド・キャパシタ方式により、小信号の歪みが少ないきれいな音質を実現し、HDMI, USB, DLNA経由でのDSDの高音質を損なわずに、最大でDSD5.6MHz 5.1chの再生が可能です。
HDMIのデジタルオーディオのマスタークロック用に真空で密閉された水晶振動子を採用することにより、発振効率を上げ位相ノイズを低減しました。HDMI音声のマスタークロックのジッタを抑えることで、音場透明性と明瞭なフォーカス感が得られます。さらに内部の水晶の電極に、機械的な振動があっても高い接触性を保ち伝導性に影響をおよぼす酸化物を形成しない金蒸着を使用することで、より深い低音再生と豊かなサウンドを再現します。
HDMIやデジタル音声信号のマスタークロックに原理的に含まれるジッタを排除する「ジッタ・エリミネーション」回路を搭載。ESシリーズに採用したこの技術により、高いS/N感と美しい音色を再現できます。ブルーレイディスクのフォーマット音声のみならず、リニアPCMや従来の圧縮音声を用いるDVDにも有効で、HDオーディオ時代にふさわしい音質の向上を実現しています。
すべてのマイコン、デジタルビデオおよびデジタルオーディオ用のすべてのデジタルデバイスに、それぞれ独立したアナログ定電圧レギュレーターを採用しました。このアナログ定電圧レギュレーターをそれぞれのデバイスの近辺に配置することで、アナログ信号ラインやアンプ回路への高周波ノイズの影響を抑えています。さらに、電源のインピーダンスを著しく低下させ、デジタルビデオ・オーディオ、クロックなどデジタル信号ラインにおけるジッタ低減にも役立っています。これらの効果は、デジタルビデオ・オーディオ信号のS/Nの改善に最も顕著に表れ、低域の再生能力も大きく向上します。
広帯域かつローノイズを実現した「リニア広帯域パワーアンプ」。回路パターンの最適配置や電源供給ラインの大型ジャンパーワイヤーによる低インピーダンス化を図ることでスピード感、パワー感を生み出すとともに豊かな低音、より澄んだボーカル、自然な空間表現や音色を再現します。さらにヒートシンクには、一枚のアルミ版にアーチ形状を持たせるように折り曲げ加工をほどこしてから、厚み4ミリのアルミベースに装置した高音質「ラウンドコルゲート」ヒートシンクを採用しました。フィンにラウンドアーチを持たせ、フィンの枚数を共鳴しにくい適性な数にすることや圧着部分を改善するなど、不要振動を低減します。スピーカーの音圧に起因するフィンの分割振動が少ないので、音の色付けが少なく、きわめて良好なフォーカス感、エア感を再現します。
基板の高密度化に伴い、小型表面実装抵抗を必要とする回路に対応するために、高音質表面実装抵抗「ファインサウンドレジスター」を開発し搭載しました。専用の抵抗素材や構造に加えて電極に純銅を採用すことにより、情報量が多く力強い音質を実現しています。
高音質表面実装コンデンサーを採用し、厳選された高容量の電圧レギュレーターICと共にDACの電源を強化。さらに周辺回路と基板パターンニングを徹底的に検討し、高い解像度を伴った安定した低域を実現。
ESシリーズにも採用してる大型ブロックコンデンサーをアンプ用電源供給回路に採用しました。大容量に加え、音質まで吟味して開発されています。また、抵抗器も極めて音質に優れた特性を備えた、ソニー独自開発のオーディオグレード品を使用しています。こうした音質に優れた専用部品を贅(ぜい)沢に使用することで、より優れた音質を追求しています。
クラス最大級の容量の大型電源トランスは、巻線にムラなく均一にワニスを塗布するため真空含浸処理を行いました。トランスから発生する電磁ノイズが回路ブロックへ悪影響をおよぼすことを防ぐため、銅板のショートリングを珪素鋼板のハムプルーブベルトでラッピングしました。これらにより、豊かな低音と繊細な高音を両立。広がりの豊かなステージ空間に、楽器とボーカルが鮮明に浮かび上がる立体感のある音場再生が楽しめます。
オーディオ製品の製造において、最も重要なパーツがはんだです。何千箇所にもおよぶ信号経路上の部品を接続するのがはんだであるため、その品質がアンプの性能に大きな影響を与えます。ソニーでは2005年モデルから独自開発した音質専用はんだを採用してきましたが、さらなる高音質を追求しESシリーズで開発した「高純度無鉛高音質はんだ」を採用しました。はんだの母材となるすずに純度99.99%以上の超高純度材を採用し、高純度無酸素銅や微量元素を高音質化を考慮して配合することで、より自然で豊かな音質を実現しました。
耐振性に優れたFBシャーシは、エンボス加工によって設けられたビーム(梁)がシャーシの左右両端まで伸び、トランスの重量を強固に支えるとともに、アンプ回路への不要な振動の伝播を遮断するように最適な配置としています。厚みのあるトップケースを採用するなどの高剛性化と厳重な振動対策により、豊かな量感と歯切れ良い音の再現を両立しています。
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